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第3話 高まる自己肯定感

 それから数日経って、若林のエッセイ漫画の『いいね』数は、伸び具合を落ち着かせてきた。

 それに伴い、当初は大量の『いいね』に困惑していた若林も、事態に対して好意的に受け止めるようになった。


「小売店への卸売り価格では、ついに1『いいね』が3,000円に達するところも出てきており……」


「高まる『いいね』価格に対して、政府は備蓄『いいね』の放出を続けていますが、依然として価格は下がらず……」


 朝のニュースを見て、若林は機嫌が良くなっていた。


「ふふふ……。『いいね』一個で3,000円か……」


 スマホを見ると、例のエッセイ漫画の『いいね』数は10万を超えている。


「これを全部売れば……!」


 若林は大胆にもあることを考えていた。それは、『いいね』の売却である。

 市場での単価が3,000円とするなら、10万『いいね』は3億円にも及ぶ。

 3億円……それは、一生贅沢にとはいかなくても、働かずに普通の水準の生活ができる程度の金額である。

 若林は、『いいね』を売って手に入れた金で、働かずに悠々自適な生活を送ろうと企んでいた。


 彼は、大金を手に入れた生活を想像した。今より豪華なマンションにでも引っ越し、車も買う。無理に働く必要もなく、趣味に時間を使う優雅な暮らし……。


「ははは、きっと上手くいくに違いない……!」


 彼はいつになく気が大きくなっていた。短期間で大量の『いいね』を手に入れたことで、自己肯定感が高まり過ぎていたからである。


 若林はアパートから外の景色を、スマホで写真に撮った。

 そして、その写真をSNSに投稿し、こうコメントした。


「今住んでるアパート、もう少しで引っ越します!

 次は今より良いところで暮らす予定です!」


 投稿してすぐに、スマホの通知が鳴った。

 誰かがその投稿に『いいね』を付けたのである。


「世の中ではこんなにも『いいね』が不足しているのに、俺は簡単に『いいね』が手に入る。なんて幸せなんだ!」


 若林はかつてないほどに浮かれていた。


 

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