神様の懐
私はどうあればいいのか。この問いを忘れないように記録しておく。
この世は緩やかな地獄だった。
幸せが無いということでは無い。笑いもする。ただ懊悩や痛みが拭いきれない。
どうにか救いはないのかと探し求めてある集落に出会った。白い霧に阻まれて底の見えない崖がある集落だ。その集落の言い伝えでは、その神様の懐という崖に飛び込めば救われる、と言う。
私は鼻で笑った。
好奇心に駆られて一晩を集落で明かした。村民に歓待され、大いに笑った。意外と話せる人々だ。だが本気で言い伝えを信じている。
私は崖を調べることにした。超音波、カメラ、発信機、、私は無力だった。今日も村人は飛び降りている。
ただ苦しい。