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第5話:帝国の影

圭の作った焼きそばは村人たちに大好評だった。

初めて味わう日本の味に、子どもたちから大人まで、次々と「おかわり」を求めてくる。


「圭さん、この料理、本当に美味しいです!」

「こんな味、初めて食べました!どうやったら作れるんですか?」


圭は鉄板の前で手を動かしながら、村人たちの質問に笑顔で答えた。


「作り方はそんなに難しくないですよ。材料があれば誰でも作れます。ただ、このソースが少し特殊で……。」


圭が言いかけた時、村の入口の方から慌ただしい声が聞こえてきた。


「リーナさん!リーナさん!帝国兵が近くまで来てます!」


その声を聞いた瞬間、村の雰囲気が一変した。先ほどまで笑顔だった村人たちは不安そうな顔でざわめき始める。


「また帝国兵か……!」


リーナが険しい表情で立ち上がると、周囲の空気が一気に張り詰めた。


「圭さん、すみませんが、少しだけここで待っていてください。状況を確認してきます。」


「いや、俺も行きます。何かあった時に少しでも力になれれば。」


圭の言葉に、リーナは一瞬驚いたような表情を浮かべたが、すぐに頷いた。


「……わかりました。無理だけはしないでください。」


村の入口近くに向かうと、数人の村人が緊張した面持ちで立っていた。その視線の先には、4人の帝国兵が歩いてくる姿があった。全員が鎧をまとい、剣を腰に差している。


「ここがオルグ村か……貧しいが、使えそうな資源はありそうだ。」


「おい、村長を呼べ。我々は帝国の名の下、この村を調査する。」


圭は少し後ろに下がりながら、鑑定スキルを発動した。


[対象] 帝国兵A(Lv.15)

戦闘力:中

スキル:剣術中級、防御術中級


[対象] 帝国兵リーダー(Lv.25)

戦闘力:高

スキル:指揮統率、剣術上級


「こいつら、さっきのやつらよりも厄介そうやな……。」


圭は静かに呟き、状況を観察する。リーダー格の男は、明らかに周囲を威圧するような目つきで村人たちを見下していた。


「村長はどうした?早く出てこい!」


その声に応じて、村長が静かに現れた。


「私が村長です。何のご用でしょうか?」


「我々は帝国から派遣された調査隊だ。この村がどのような状況か、そしてどんな資源があるかを確認させてもらう。」


「この村は小さな農村に過ぎません。何も差し出すようなものはございませんが……。」


村長の冷静な対応にも関わらず、リーダー格の男はニヤリと笑い、剣の柄を握った。


「我々がそれを判断する。協力を拒めば、それなりの処置を取らせてもらうぞ。」


その言葉に、村人たちの顔がさらに青ざめる。圭はリーナの顔を見ると、彼女もまた怒りを堪えているようだった。


「……リーナさん、ここは俺が話をします。」


圭が前に出ると、帝国兵たちは一斉に彼に視線を向けた。


「なんだお前は?村人に見えんが。」


「私はこの村に滞在している者です。この村に危害を加えるような行為は控えていただけませんか?」


その丁寧な口調に、一瞬、帝国兵たちが戸惑いの表情を見せた。だが、リーダー格の男はすぐに冷笑を浮かべた。


「ほう、異国の人間か。だが、この村を守る義務はないだろう?」


「確かにその通りです。ただ、私はお世話になっているので、村に迷惑をかけるのはやめてほしいと思っています。」


圭の言葉に、リーダー格の男は剣を半分抜きかけた。


「ならば、力を見せてみろ。その自信が本物かどうか、確かめさせてもらう。」


周囲が一気に静まり返る中、圭は冷静にリーダーを見据えた。そして、ステータス画面を呼び出し、戦う準備を整えた。


「わかりました。少しだけお相手します。」


(第5話終了)

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