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第2話:異世界の村へ

森を抜け、マップに表示された村の入り口にたどり着いた圭は、キッチンカーを停めて様子を伺った。

木造の門には、簡素だが丁寧に作られた「オルグ村」という文字が彫られている。


「ここがマップに出てた村か。まずは、この世界がどんな場所か聞いてみないといけんな。」


圭はキッチンカーから降り、村の中に歩みを進める。広場では農具を持った村人たちが行き交い、平和そうな空気が漂っていた。だが、圭が現れると、その姿を見た人々が驚きの声を上げ始める。


「なんだあれは……馬車か?いや、見たことのない物だぞ。」

「変わった服を着た男だ……!」


圭は周囲の視線を感じながらも、村人たちに話しかけるタイミングを探していた。その時、一人の中年男性が近づいてきた。


「お前さん、旅人か?それとも、どこかの貴族様かい?」


男性は警戒しつつも、どこか穏やかな口調だった。


「いえ、旅人というわけでもないんですが……少し道に迷いまして。こちらがオルグ村で間違いないでしょうか?」


「そうだ。ここはオルグ村だが、あんたが来るような場所じゃないだろう。それに、あれは……お前さんの馬車か?」


「ええ、あれは私のものです。少し変わった造りですが、特に危険なものではありません。」


そう言いながら、圭は後ろに停めたキッチンカーを振り返る。中年男性は興味津々な様子で近づこうとしたが、突然、村の奥から女性の声が響いた。


「待って!その人、帝国兵と戦った跡がある!」


現れたのは、槍を持った若い女性だった。金髪を後ろでまとめた彼女は、険しい顔つきで圭を睨んでいた。


「帝国兵に襲われたので、身を守るために戦っただけです。先に手を出してきたのは向こうなんですが……。」


圭の言葉に女性はさらに警戒を強めた。


「帝国兵を倒すなんて……普通の人間じゃできない。それで、本当は何者なの?」


「突然のことで説明が難しいのですが、私はただの通りすがりの者です。帝国兵を倒したことについては、余計な混乱を招いてしまったのなら謝ります。」


圭が丁寧に頭を下げると、中年男性が女性の肩に手を置き、落ち着けと促した。


「リーナ、少し落ち着け。帝国兵を倒したってことは、もしかすると村を守ってくれる存在かもしれない。」


「それでも、そんな簡単に信用するわけにはいかないでしょ!」


リーナと呼ばれた女性は槍を構えたまま、圭を睨み続ける。圭は一つため息をつき、手を軽く挙げた。


「誤解を解く方法があれば、お教えいただけませんか?できる限り協力します。」


圭の冷静な態度に、リーナの目つきが少しだけ和らいだ。


「……本当だとしても、証拠がなければ何とも言えないわ。」


「それなら、この能力をお見せしましょう。」


圭は視界にステータス画面を呼び出し、その場で鑑定スキルを使ってみせる。リーナに向けて表示された情報が浮かび上がった。


[対象] リーナ(Lv.22)

職業:村の守護者

スキル:槍術中級、危険察知


「な……なんで私のことがわかるの?」


リーナが驚きの表情を浮かべる中、圭は軽く微笑んだ。


「私は『鑑定』という能力を持っています。これを使えば、相手がどんな人か簡単に把握できるんです。もちろん、危害を加える目的ではありません。」


リーナはしばらく考え込んでいたが、やがて槍を収め、深く息を吐いた。


「……わかった。けど、もし何か怪しい動きをしたら、容赦しないから。」


「もちろんです。ご心配なく。」


中年男性が場を和ませるように笑い、圭に手を差し出した。


「まぁ、何にせよ、ようこそオルグ村へ。お前さん、しばらくここに滞在していくといい。」


「ありがとうございます。まずはこの世界のことをいろいろと教えていただきたいです。」


こうして、圭はオルグ村に迎え入れられた。彼の異世界での生活が本格的に始まろうとしていた――。


(第2話終了)


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