第13話:新たな盟友
ミリアを仲間に加えた圭とリーナは、自由都市連合での仲間探しを続けていた。ミリアの情報によれば、自由都市にはもう一人、帝国に反感を持つ有力な人物がいるという。その人物は、「雷のガイ」と呼ばれる冒険者だった。
「ガイさんですか?」
リーナが首を傾げる。
「そう。彼は帝国軍との戦いで数々の武勲を上げた実力者。でも今は……」
ミリアは少しだけ言葉を濁した。
「どうしたんですか?」
「聞いた話だと、最近は酒浸りで、まともに冒険もしていないらしい。」
「それって、仲間になってくれる可能性は低いんじゃ……」
リーナが不安そうに言うと、ミリアは肩をすくめて答えた。
「可能性が低いからって諦めるの?説得する価値はあると思うけど。」
その言葉に、圭は頷いた。
「行ってみましょう。話をするだけでも何か変わるかもしれません。」
ガイがいるという場所は、街の外れにある薄汚れた酒場だった。店内に入ると、昼間にも関わらず酔っ払いが何人か眠りこけている。その奥に、一人の男が大きなジョッキを手にして座っていた。
「あなたが『雷のガイ』さんですか?」
圭が声をかけると、男はゆっくりと顔を上げた。乱れた髪と無精ひげ、鋭い目つきから、かつての栄光を感じさせるものが残っているが、どこか疲れた様子があった。
「ああ、そうだが……俺に何か用か?」
ガイは酒を飲み干し、面倒くさそうに答える。
「帝国に立ち向かうための仲間を探しているんです。あなたの力を貸していただけませんか?」
「帝国に?……くだらねぇ。そんなの勝ち目があるわけねぇだろ。」
ガイは冷たい目で圭たちを見た。
「帝国は強大だ。俺もかつて戦ったが、何も変わらなかった。だからもう諦めたんだよ。」
その言葉に、リーナが口を開く。
「でも、何もしなければ、もっと多くの人が苦しむことになります!」
「……お前らみたいな青二才が何を知ってる?」
ガイの声には怒りと諦めが混ざっていた。だが、その目はどこか寂しげでもあった。
「だったら、俺たちに勝てるか試してみませんか?」
圭が突然提案すると、ガイは驚いたように目を細めた。
「……俺に勝てるか試すだと?」
「そうです。もし俺たちがあなたに勝てたら、力を貸してください。」
「いいだろう。どうせ暇だ、相手になってやる。」
酒場の裏手にある広場で、圭とガイの一騎打ちが始まった。
「言っとくが、俺は本気でいくぞ。」
ガイがそう言うと、彼の周囲に電撃が走る。雷の魔法だ。
「さすが『雷のガイ』……すごい迫力だ。」
圭は柔道の構えを取り、相手の動きをじっと見つめた。
ガイは一瞬で距離を詰め、拳に雷をまとわせて殴りかかる。その速さは人間離れしており、普通の相手なら避けることすらできないだろう。だが、圭は冷静だった。
「来た!」
ガイの拳を受け流し、その勢いを利用して背負い投げを決める。
「ぐっ……!」
ガイは地面に叩きつけられ、驚いた表情を浮かべた。
「まさか、俺の動きをここまで見切るとは……」
圭は手を差し伸べながら言った。
「俺たちは本気です。帝国に立ち向かうために、あなたの力が必要なんです!」
ガイはその手をしばらく見つめていたが、やがて苦笑いを浮かべて立ち上がった。
「……どうやら、ただの青二才じゃなさそうだな。いいだろう、力を貸してやる。」
その言葉に、リーナとミリアは喜びの声を上げた。
こうして、圭たちは新たな仲間「雷のガイ」を加えることに成功した。彼の力が、帝国との戦いにどれほどの助けとなるのか――期待と不安を抱きながら、次なる旅へと進むのだった。




