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第93話 妖精怒る

◆テータニア皇国▪平民街の教会裏

カーナ視点


さて現在、私達は教会裏公園広場の茂みの中、絶賛籠り中です。


先ほど気絶男が目を覚ましたんですが、私を見るなり指差して絶叫、再び気絶してしまいました。

人を見るなり絶叫を上げるとは、ホント失礼極まりない男です。

私はオバケか何かなんですかね?


「テバサキ、私 ヒヘウ(キレイ)?」

「コケケ??」

「いや、なんでも無いわ」


口に指を入れ両端に引き延ばしました。

《口裂け女》の振る舞いをしたつもりですがテバサキは怖がってませんね?


なので私の姿は怖くない!

気絶した懺悔男はやっぱり失礼!

ギルティ決定です。


私が悶々と自身の顔を確かめていると、テバサキは男を引きずって疲れたのか、手拭いを首から掛け、座り込みながら汗を拭いてました。

何故か、トサカの上に小さな麦わら帽子が乗っています。

似合ってますが調達手段が謎です。


因みに手拭いは妖精印ビールが販促用に配った雪ウサギ手形入り手拭いです。(Tシャツもあるらしい)

更に(テバサキ)のトサカからはキラキラした汗が舞い、農作業で一仕事終えたイモ農家の顔をしております。(芋顔?)


「ゴケ!?」


《《とにかく》》この失礼懺悔男を目覚めさせ、オルデアンちゃんの事を聞き出さなければなりません。

私には時間が無いのです。


と、いう事で一休み中に悪いのですが、テバサキの力を借りましょう。



「テバサキ、この懺悔男を目覚めさせて!」

「ケケ!」


敬礼しながら立ち上がるテバサキ。

最近、軍隊式に目覚めてしまいました。

流行ってるんですかね?


そして立ち上ったテバサキ。

気絶男を見る目が血しばっております。

握り拳ならぬ握り手羽先。

気絶男に馬なりです。


バシッバシッ


あああ!?

筋肉隆々の手羽先が気絶男の顔面に炸裂!

右に左に男の頬を叩きます。

これは痛い!


しかし男は今だ 鼻提灯(はなちょうちん)。目覚める兆候はありません。

痛くないの!?



バシバシッバシバシバシバシッ


ん~、これは目覚めるより先に男の顔がモッツァレラチーズになってしまいます。

それは可哀想ですね。


ん?

私は急にある事が気になり、テバサキを男から引き離しました。

そして気になってた事をやってみます。



「えい!」パチンッ

「ほげっ?は!わ、私は何を!?」


楊枝(ようじ)を取り出し、男の気になってた部分にソレを刺しました。


するとどうでしょう。

あれ程、テバサキに叩かれても起きなかった男が目をぱちくりさせて起き上がりました。


実は私、男の鼻提灯(はなちょうちん)が気になり、それを楊枝(ようじ)でツツイたのです。

まったくギャグのような話ですが、男がモッツァレラチーズなる事だけは避けられてホッとしました。



「は?ス、スプリングエフェメラル様?!」


「はいストップ、気絶は無し!私はカーナ。スプリング何々じゃ無いわ。それより先ほどの懺悔室の話、詳しく教えなさい!」



私はすかさず再気絶せんと倒れ込む男をテバサキに支えさせ、その目の前にホバリング。

男を睨みながら用件をはっきり伝えます。


男は相変わらず私を怖がっていて、中々口を割りません。

また私がオバケに見える?


「ヘロヘロば~」

「ほぇ!?」


ここで再度《口裂け女のポーズ》。

でも、男はキョトンとして無反応。

テバサキといい、口裂け女は需要がないんですかね?

どうでもいいですけど。


「別に取って喰おうなんてしないわよ。アンタが懺悔で言いたかった事を洗いざらい聞きたいだけよ」

「わ、分かりました。ただ、これだけはお願いします。もし罰を与えるなら、弟は関係ありません。私だけ罰して下さい……」


男は観念したかのように地面に正座すると、必死に言葉を絞り出し話し出しました。

しかも涙目で。


バツって✕じゃなくて罰ですか?

私、神様じゃないし、罰を与えるような存在でもないからね?


「顔を上げて下さい。アナタの話を聞きたいだけで、罰するつもりはありません」

「罰するつもりはない……本当ですか!」

「疑り深いですね!?」



罰に拘りますね。

よっぽど罰っして欲しいのかしら。

まさかSM趣味?



「あ、有り難う御座います。私、皇城専任御者を務めてますバーチと申します。エフェメラル様が私などのところに降臨なさり、信者として天にも昇る思いです。私達兄弟は日頃から敬虔(けいけん)な信者に務め、朝の拝礼から教典の教えを全て唱えるよう努力を忘れず、片時も妖精信仰の信者として品格を落とさぬよう精進してまいりました。日々善心に務め、一日一善をモットーにテータニア皇国の平和への祈りを怠る事はありません。ですのでエフェメラル様、どうか私達兄弟に呪いを授けるのだけはお許し願いないでしょうか。もしお許し願えるのでしたら、これからは教会での祈りの回数を増やし、更なるエフェメラル様の拝礼を行い、そのお気持ちに添えるように」

「話が長!おまけに関係ない話ばかり。それにエフェメラル様って呪うの?怖いんだけど!って、早く懺悔の内容話なさいよ!」

「は、はい?!」



こうして、ようやく懺悔男バーチから、オルデアンちゃん達の状況を聞けた私です。


内容からすると《誘拐犯達にまんまと操られ、オルデアンちゃん達を誘拐場所まで誘導してしまった》という事。


懺悔の内容としては、たったこれだけ!?

それを聞く為に随分、遠回りした気がするのは気のせいですかね?


はあ。

大きな溜め息が出た私は悪くない。

それよりというか、何だか私は無性に腹立たしいんだけど!


だってそうじゃない?!

私のプリンでオルデアンちゃんを誘い出したんだよ!

コレ、私が怒ってもいい案件よね?!




いくらオルデアンちゃん達がプリンに飢えていたからとしても!

容易くプリン欲しさに誘拐犯達に駆けていったとしても!

私がスイーツの店を出したという嘘情報に簡単に引っ掛かったとしても!



いやいや一国のVIP、それでいいの?


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