第86話 妖精カーナの冒険5
◇カーナ視点
タッタッタッタッタッタッタッタッタッ
テバサキ、乗って屋根から屋根へ♪
生きているから飛べるんだ♫
テバサキ、みんな生きている♪
生きているから走るんだ♫
手ーのヒラを電灯に、透かして《《見れば》》♪
黒っぽく見えーる、私の指の骨~♫(見えます)
ケンタッキーだーって♩6ピースだーって♪
テバサキだーって♫
みんな みんな、骨付きなーんだ♪
ご馳走《《なんだ》》ー♫
『ゴゲッ!?』
「こら、こら、テバサキ。急に止まったらオームに追い付かれちゃうでしょ。風の谷ゴッコ出来ないじゃない」
『コケケ??』
「まあ、アンタに言葉は通じないんだけど。さて、ここは一体何処かいな、と?」
えーと、皇国エール工房で迷子になった私。
お陰で方向音痴なる不名誉なスキルを手に入れてしまい、ニッチもサッチもいきません。
幸い、テバサキに出会えたのは神のお恵み?
じゃなくて、神のお導き。
良い乗り物に出会えたのは、私の日頃の行いが良かったからだと納得です。
乗り物?食べ物?納得です。
「さてさて、現状把握はここまでにして、これから私とテバサキはどうしましょうか」
悩んでいる私。
ここで一番の問題は、スキル方向音痴です。
実はテバサキに真っ直ぐ進むように指示したのですが、先程から一向に景色が変わりません。
だがら鼻歌を唄い終えてしまえるほど、このドードー巡りにウンザリです。
しかもこのスキル、私が触れた者まで方向音痴になるみたいでメチャクチャうざい。
「ちょっとテバサキ、頑張んなさいよ。なんとか真っ直ぐ進んで!」
『コケ~っ……』
ドードー巡りでテバサキのHPが無駄に削られています。
顔が青いのは変わりませんが、目がぐるぐるしていて、このままではドラクエの初期呪文、メラでも簡単に倒せそうです。
はぁ、とはいえ、このままでは埒が明きません。
何か、このスキルに対抗する方法はないものでしょうか。
『コケケ!』
「ん?テバサキ、私に見上げろって?」
テバサキにゼスチャーされ見上げると、何か目が赤い黒い鳥が飛んでる。
あの鳥が何だっていうの?
テバサキは、ノッポさん並みのゼスチャーで私に降りろと言い、私は素直に従ってテバサキから降りました。
は?私はゴン太君か?
するとテバサキ、紙とセロテープ、ハサミを取り出し、さあ何が▪で▪き▪るかな?じゃなく、何故か近くにあった輪っか付きロープを取り出し、ヒュンッヒュンッと振り回し出しました。
そしてカウボーイなノリで、巧みに空に投げ上げると、あらあらあら?
見事に赤目の黒い鳥に輪投げが成功。
素早くそのロープを身体に巻き付け、ターザンスタイルで私を掴んで空に舞い上がります。
何か、テバサキが凄い!
しかもテバサキ、太黒眉毛になって筋肉質に変化してます。
格好いいやん?!
アンタ何者?
『アホー、アホー、アホー』
黒い鳥、何かキョエちゃんそっくりで腹立つ鳥ですね!
まあ、いいです。
とにかく私達はこれで、スキル方向音痴を克服です。
だけどコレ、スキルじゃなくて呪いでは?
こうして一歩前進した私とテバサキは、魔鳥バカラスにぶら下がり、皇国の空に舞い上がりました。
さあ、これから一体どうなるのでしょうか。
私は愛でたく手羽先に有り付けるのでしょうか。
『コケーッ!?』




