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第59話 紙と氷河期とマンモスと?

◆貨幣価値

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

白金貨 ▶平民の数年分の年収 (一千万円?)

▪金貨 ▶平民の平均的一般年収 (百万円?)

▪銀貨 ▶平民の1ヶ月分の給与 (十万円?)

小銀貨 ▶平民の1週間分の食料 (一万円?)

大銅貨 ▶流通硬貨 (千円?)

中銅貨 ▶流通硬貨 (百円?)

小銅貨 ▶流通硬貨 (十円?)

▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩


えーと、あれから少しして、やっと落ち着いた男性とお話をしました。


男性の名前はハンスさん。

どっかの映画に出ていた外国王子の名前ではなく、ちゃんと本業が商人さんでありました。勿論、裏切りは許しまへんで。

へんで?


それで、やっぱりオルデアンちゃんの侍女、テリアさんの依頼で此処に来たようです。

ただ、その依頼が難問でした。


【紙の食べ物をカーナ様から預かる事】


紙の食べ物を私から預かる?

言っている意味が理解できません。

そもそも紙の食べ物って何ぞや?


「えー?ハンスさん、本当にそんな依頼なの?」

「え、ええ、違うんですか?」

「いや、質問してるの、私なんだけど」

「は、す、すいません↓」

「別に謝って貰いたい訳じゃないわよ?」

「はい、すいません↓すいません↓」


ヘコヘコするハンスさんは謝ってばかり。

まるで気の弱い日本人みたいです。

こんなんで商人やってられるんですかね?


「とにかくその手元の依頼書、私に見えるように掲げてほしいんだけど」

「は、はい、すいません」


さっきから、手元の紙を何度も見返してるハンスさん。

やっぱりその依頼書が原因のようです。

私にも見える様に、此方向きに高く掲げて貰いました。

なになに?


《かーなさま、おるであんです。おるであんはかーなさまにおねがいがあります。とってもとってもじゅうようなおねがいです。いま、おるであんは、どうしてもおしろからでることができません。なので、てりあのおしりあいのしょうにんさんをむかわせました。どうかわたしに、かみのたべものをいただきたいのです。あの、かみのたべものがこいしくて、おるであんはおひるねもよるもねむれません。どうかかーなさま、わたくしにかみのたべものをおゆずりくださいませ。おねがいいたします。おるであんより》


は?

私の自動翻訳で皇国語の手紙が読めたのは良かったのですが、何故か全て平仮名変換されてます。

五歳児オルデアンちゃんが書いた手紙だと分かりますが、それが平仮名変換された理由なんでしょうか?

確かに殴り書きのように汚い文字で、あちこち直し書きの黒いシミがあります。


まさか、自動翻訳機能が汚い文字で読み込みエラーを起こしている??

うーん、これだと【かみ】としか判らず、意味合いが汲み取れません。

ナビちゃん、何か方法ないの?


(………………)


ナビちゃん、無言で返しました。

普段はドーデもいい時に勝手な解説入れるのに、此方からのアプローチには無反応って何かアバウト過ぎない?


むむむ、仮に紙だとしてヤギさんじゃあるまいし、紙で出来た食べ物なんて知りません。

うーむ、迷宮入りですか。

困ったな。

今の私の気持ちを表現すると、こんな感じかしら。


黒ヤギさんからお手紙着いた。

白ヤギさんたら読まずに食べた。

仕方がないのでお手紙書ーいた。

さっきの手紙のご用事なあに?

白ヤギさんからお手紙着いた。

黒ヤギさんたら読まずに食べた。

仕方がないのでお手紙書ーいた。

さっきの手紙のご用事なあに?


的な?


「依頼内容が判らないって事ですか?」

「そう、もっと具体的説明を所望」

「ショモウ?ではテリアに再確認の手紙を出しますが」

「いや、それは無限ループ」

「はい?ムゲン???」

「なんでもないです」


黒ヤギ白ヤギの轍を踏む訳にはいきません。

すでに踏んでる?


紙の食べ物……オブラートかな?

オブラートに包む何かとか?

オブラートとは、いわゆる可食フィルム 。

透かし紙みたいに見えますが、そのまま食べれます。

でん粉を糊化して急速乾燥、紙みたいにしたでん粉加工食品なのです。

ゼリー系や飴系の菓子などを包むのに使われたりします。

ポンタンアメとか、寒天ゼリーとか。


うーん、でもねぇ。

オルデアンちゃんがポンタンアメ知ってるとは思えませんよねぇ。



「あ、そういえば、その食べ物の名前プーリンって言ってました!」

「プーリン?」


プーリン?

や~れん、そ~れん、プーリン、プーリン、プリン、プリン……

ピチピチプリンの事ですかね?


「あ、思い出しました。もう一枚、手紙があったんです」

「もう一枚の手紙?」


《ついしん、かーなさま。かみのたべもの、ぷーりんは6っこせっとでおねがいします。おとうさま、おかあさま、おにいさま、わたし、あるたくす、てりあのぶんになります。できれば、まいにちほしいの。よろしくおねがいします。おるであんより》


は?

六個ボックスセットは、私がご褒美セットで手に入る1日の最大の量です。

また私のおやつ、取られるの?

それも毎日?

いや━━━━━━━━━━━━━━━ッ!



「はあ、その食べ物は多分、分かりました」

「おお、お分かりになりましたか?!」

「お分かりになりたくなかったけど………」

「へ?」


なのでちゃんとお話して、妖精通商条約第5条を締結しました。(ただの契約書です)

ああ、ペリーさんの日米修好通商条約のような不平等ではありませんので大丈夫。

ん?ペリーさん知らない?

それはいけませんね。

日本史の再学習をおすすめします。

え、現役で勉強中?

それは失礼致しました。


ま、いいです。

とにかく契約書には、ピチピチプリンは六個ボックスセット全部じゃなく、毎回マイナス一個の五個にしてもらう事で交渉成立です。

もちろんマイナス一個は私の分です。



それでついでに、あまりにも世間知らずなものですから、いろいろとハンスさんから情報を頂きました。


通貨の貨幣価値などエトセトラ。

なにしろ世捨て人ヨロシク、森の中でのウサギとの戯れ……ヤバい、ヤバいでしょ、この生活!

コホンッ

とにかく、商人さんとのお話は本当に有意義で御座いました。


ヒューリュリ様?

勿論、パトロールに行って貰いました。

雪ウサギを乗せて、いつものカミカミ骨釣竿(ばし)りです。(長)


だって仕方ないでしょ。

ヒューリュリ様がいると商人さん、雪景色の中で大汗かいてるんですもの。

まともに交渉も出来ないじゃないですか。



それで見えてきたのは、この世界の実情です。

前にオルデアンちゃんからも聞いておりましたけど、この世界、たぶん小氷河期か氷河期にあるようです。


氷河期が分からない?

マンモスさんの世界ですよ。

パオーです。

ようは、氷と雪に閉ざされた世界という訳ですパオー。


それじゃ人間は原始生活の洞窟暮らし?と、思いきや、この世界は魔法がある地球とは違う異世界。


魔石という、魔法を発現させる乾電池みたいな物を使い、一定空間にバリアーのような障壁?を発生させて暖かく過ごすのが主流とか。

魔石は魔物から取れるけど、石油や石炭みたいに魔石鉱山から取る方法もあって、魔石の質や量にもよるけど、大抵は一般家庭の一軒分のバリアーを一個の魔石で賄えるんだとか。

なんか凄いよね。



まあ、私の【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】もチートなのかも知れないけど、ある意味、この世界の魔法は地球の科学力を凌駕するような力を持つ事もあるという事。



でもね、ここからが本題。

さっさ迄の話しはオルデアンちゃんに聞いていた通り、なんだけど、彼女は王族でお金持ち。だから一般庶民の生活は分からない。


まあ五歳児だから当然とも云えるけど、その辺は一般庶民で商人のハンスさんの方が圧倒的に情報過多。

流通通貨や相場、近隣諸国の実情まで丸分かりです。


それで見えてきたものは、この森に接している国は三国あり、その中でオルデアンちゃんの国、テータニア皇国はもっとも裕福な国なんだそうです。

プリンは無かったけど。


で、その裕福度の優劣ですけど、国を覆うバリアーの面積に比例しているようです。

その理由は耕作面積の確保。


ようは、バリアーの大きさが食料増産と合わせて人口増加による国力増進に繋がり、工業、産業の育成とともに富国強兵となる。

かつての近代日本の歩みと同じなんですが、大きな違いは全ての土台が【バリアーの大きさ】に左右されているということ。


なら、バリアー無しで生活は成り立たない、か?というと、そうでもない。


勿論、生活基盤は小さくなるけど、狩猟、炭焼きなど中心ではあるが、生活できない訳ではないらしいです。


南極みたいな極寒の寒さという訳ではないので、寒冷地でも育つ 氷木(ひょうき)という針葉樹系の木々や、白雪草(しらゆきくさ)と呼ばれる雪下でも育つ食用のコケ類などもあり、一部の村や町はバリアー(がい)にもあるようです。


いわゆる、エスキモー村や町と考えればよいみたい。

ただ、エスキモーは穀物は食べず、カリブー、クジラ、アザラシの肉だけを食べていたそうだけど、コッチのエスキモーは魔物の肉だそうだ。


魔物の肉!?

あの大毒ネズミみたいな?

やべぇ、でっかいドブネズミはもう見たくありません。


もちのロン、冷え症の私には住むのは到底無理です、はい。


それで話しは戻るけど、国力差がバリアー面積なら当然、そのバリアーを発生させている技術や材料が国家間の問題になってくるんだけど、案の定というか、ほとんどの国は、その力を巡って凌ぎを削っている。

でもパワーバランスは、圧倒的にテータニア皇国側にあって、他国の追随を許さないんだって。


じゃあ、オルデアンちゃんの国は安泰だねって言ったら、まったくの逆で、しょっちゅう、テータニア皇国は狙われているらしい。


テータニアは近隣諸国の追随を許さない位、富国強兵なんじゃないの?


「いや、どうも、その障壁を発生する力は、一個の魔石から発生しているらしくて、その魔石が近隣諸国に日々、狙われているんです。先日も国の新年の行事、【雪ウサギ狩り】の時に襲撃にあい、危うく皇女様が拐われるところだったと聞きます。おそらく皇女様を人質に、魔石を要求するつもりだったのではないかと、もっぱらの噂ですが……」



え、それって、先日にオルデアンちゃんが此処に来る事になった原因って訳?



けど、その前に【雪ウサギ狩り】って、どういう事よ?!!


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