第421話 城の迷宮3(方言?)
◆城内無限廊下?
カーナ視点
「あんたら、私と会った事なーい?」
「不法侵入者に知り合いは居ないだっちゃ!」
「「「「居ないだっちゃ!」」」」
うん、見事な仙台方言。
後ろの4人は釣られ方言でハモるのかよ。
それでこんな訛りがある人物を、私は何故か知っています。
「あんたら、誘拐犯の中にいたわよね?」
「し、知らんだっちゃ。俺らは神からココを守るように云われてたんだだっちゃ!」
「神??そんな事より金髪幼女と黒髪幼女、二人を拐った挙句にダンジョンの扉を開いて連れ込んだでしょ。その時に私も一緒だったよね?」
「あああ!お、お前はあの時の性悪妖精?!」
「誰が性悪よ!!」ゲスッ
「痛!?」
はい、正解。
この黒装束達は誘拐犯の仲間だった《意思薄弱日和見主義盗賊団》な人達です。(長)
そして今、私の悪口たたいたお頭さんには顎に一発入れさせて頂きました。(アッパー昇竜拳)
本来ならこの連中、こんなヤラレキャラやる前に逃げるタイプのその他大勢。
それが何故か今回は、なけなしの勇気を総動員してまで私達が進むのを妨害しようとしています。
どういう事?
だけど全員手に得物を持ち威嚇してますが、足はガクブルで少しずつ後退りする有様。
たぶん普段の彼らであれば、もうとっくに逃げ出しているところでしょう。
これは無理やりヤラレキャラをやらされている?
「カーナ様、どうしますか?」
「うーん、取り敢えず捕まえてオルデアンちゃん達に繋がる情報を吐かせましょう」
「分かりました」
アルタクスさんは頷くとイケメン予備軍達に指示し、ものの数秒で黒装束達を縛り上げました。
うん、何しに出てきた黒装束達。
「ふわぁぁ!?助けてくれだっちゃ!」
「「「「助けてくれだっちゃ!!」」」」
「仙台弁でハモるなや!」
うん、小心者大人が約5匹。
可哀想なくらいビクついて完全にパニックです。
何なの、この連中?
「俺ら、巻き込まただけだっちゃ。ゴーストゾンビも取り込まれるのも嫌だっちゃ。もう助けてくれだっちゃ!」
「「「「くれだっちゃ!」」」」
「後ろの4人、端折ってハモるのは止めれ!取り込まれ?って一体何があったのよ?」
「そ、それは⋯⋯⋯⋯⋯⋯!」
「「「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯?!」」」」
「は?」
突然どうしたのでしょうか。
私が質問した途端5人が一斉に口を噤みました。
急に両手で口を押さえ息もし辛いくらいに、ええ、それも5人同時にダンサーの合わせた踊りの如くに必死になって口を押さえているのです。
まるで自動で身体が動いてるみたいで、真っ赤になって本当に息が出来てない風に倒れ込んだ?
ヤバい、これホンマモンだ?!
「アルタクスさん!」
ザザッ
私が叫ぶや否や、アルタクスさんとイケメン予備軍達は既に動いて、彼らの腕を口から引き離していました。
手を引き離された黒装束達は真っ青で、完全に気絶しています。
ところがここからが怪奇現象。
な、なんと?!引き離された彼らの腕はウネウネと波打ち、尚も黒装束達の口を求め勝手に動いていたのです。
主人格である本人達が気絶してるにも関わらずです。
なんか、めちゃくちゃ怖くて気持ち悪!
「うん、ホラーだな」
「カーナぁ、冷静過ぎるよぅ」
「いや錬金ちゃん、驚きを通り越すと変な冷静さが芽生えるもんなのよ」
「意味分かんないよぉ」
やべぇのは分かりました。
だけど対処方法が分かりません。
しかも凄い腕の力らしく、アルタクスさんやイケメン予備軍達の額に汗が滴ります。
トンデモねーな。
「自分の手足が勝手に一人歩きしたらあんな感じなの?なんか嫌だわ」
「そのレベルの感想しか出ないカーナぁの気持ちが異常だよぅ」
はい、錬金ちゃんに異常認定を受けた私です。
失礼な!?
うーん、最近の錬金ちゃんは私より理知的を気取っているようです。
え、私の感覚が異常過ぎる?
いえ、私は至って正常で普通の妖精です。
(正常で普通の妖精とは?)




