第418話 砂漠の城9(イドちゃん誕生)
◆砂漠の城(大坂城モドキ?)
カーナ視点
((見つけました。奥に凄いのを見つけました!))
((キュイキュイキュイイ《ヤバいのです。この城はヤバ過ぎるのです!》))
「ぎゃあ、お化け?!」
はい、私は二人の精霊が戻るのを待っていました。ですが疲れが出たのでしょう。
ちょっと、うつらうつらしてしました。
それで目を開けたら、血のけの薄い前髪垂らした黒髪女子高生と半透明ハムスターがドアップで迫っていました。
普通に驚き悲鳴を上げた私は悪くありません。
いや見知った人物でも目覚めの一杯ならぬ目覚めのドアップは普通に驚くから。
しかも一人は元幽霊のホラー映画女優担当とか、洒落になりません。
勘弁して下さい。
((え?う、うらめしや??))
「それヤメレ!地味に怖い。あと、なんでワクワクしてんの?」
((キュキュイキュイイ《アタシはどうなの?》))
「ただの透明ハムスターの着ぐるみ?いきなりだったからビックリしただけ」
((キュイイ《何か負けた気がするのです⋯⋯》
「アンタら、私でお化け勝負は止めろや」
それから二人の話は皆んなを驚かせました。
なんと城の中は殆ど迷宮、本来?のダンジョンが形成されてるんだとか。
なんじゃそりゃーです?!
((だからお化け出るよぅ。メッチャ怖かった!))
((そーなのです。暗いし怖いしヤバいんです。絶対にお化けが出ます!))
「アンタらがお化け怖がるの意味不明だから」
お城の中に迷宮があって暗かったら、確かにお化けが怖い、は分かります。
だけどそれを半透明な二人が怖がってるってどうなの?
特に白装束黒髪女子高生は、元浮遊霊兼ホラー映画女優の井戸精霊だよね?
(経歴長!)
とにかく内部情報が知れました。
だけど依然として大きな問題が解決してません。
それは未だ、城門を開ける術が無いという事です。
「さて困った。肉体のある私達はどうやって中に入ろう?」
((あ、あの、私、抜け道を知ってます!))
「は?」
えー私達が城の侵入方法に悩んでいたら、白装束女子高生井戸精霊が脈絡も無く叫びました。
《抜け道知ってます》って、はあ?
「抜け道?抜け道があるの!?それは何処に有るって?」
((あ、あの、私の井戸精霊の特技、なんです。井戸を繋げるの⋯⋯))
「いや、今聞いてるのはアンタの特技じゃなく、城門の向こう側に行く為の抜け道だけど」
((その、特技が、繋げる、事なん))
「だからアナタの特技は聞いてない」
((⋯⋯⋯うう、話を聞いて、貰えない。うらめし、い))
「ヤメレ、顔をアップで近づけない!」
この娘、言いたい事があると顔が近い。
地味に怖いって!
((ですから私の特技で、この井戸とお城の中の井戸を繋げる事が出来るんです!))
「井戸と井戸を繋げる?!」
な、なんとーっ!?
井戸精霊の特技は井戸と井戸を繋げる事でした。
何のこっちゃ。
((それも距離に関係なく、繋げる事が出来るのです))
「《ドコデモ井戸ー》?!でも、何か嫌⋯⋯」
((何でですか?!))
こうして私達は、グルちゃんに匹敵する移動手段を手に入れたようです。
井戸で移動とか、駄洒落かよ。
「はい、イドちゃんに質問」
((イドちゃん?))
「井戸精霊だからイドちゃん」
((安直過ぎじゃないですか?!))
「だって名前を知らないもの。今更だけど名前はなんて言うの?」
((あの、死後が長くて生前の事があまり思い出せなく⋯⋯イドちゃんでいいです⋯⋯⋯))
「ん、イドちゃんね。それでイドちゃん、井戸繋ぎは何か条件があるの?」
((はい。移動は井戸から井戸しか出来ません。つまり移動には移動先に井戸が必要なんです))
「うん、使えないわ」
((何でですか!))
予想した通りイドちゃんの移動方法は向こうにも井戸がないと出来ません。
つまり普段は使えねーです。
でも、取り敢えず今回は使えるって事で、さっそく全員井戸に入る事となりました。
あれ?
ところで井戸に入るにはどーすんだろ??




