第414話 砂漠の城5(お化け屋敷?)
◆砂漠の城(大坂城モドキ)
カーナ視点
「まさか、お化け屋敷とか⋯⋯」
はい、ついに私達は砂漠に現れた和風の城の前まで到着する事が出来ました。
途中から民芸品達が作り上げた積乱雲、そこから放たれたカミナリ竜巻に襲われましたが、私が亜空間収納から取り出した《絶縁仕様ノアの方舟》に全員すかさず避難。
難なく上手くやり過ごしました。
こういう時は自分の物持ちの良さに感謝ですよね。(第294話参照)
それで、大坂城モドキの和風の城は遠方から見ていたら普通に日本にある大坂城のレプリカくらいに思っていたのですが、近づくにつれ異様さが際立ってきたのです。
その異様さですが黒いオーラとか、妖気?とか、ドロドロした感じとか、いわゆるホラーに登場するアイテムみたいなもんでしょうか。
綺麗な城とかでなく、とにかくおどろおどろしいボロボロの城でお化け屋敷なんです。
まあ、そこが妖気を感じるように思うところでしょうか。
で、取り敢えず、お城の前にある井戸には近寄るのは止めときました。
何でかって?
⋯⋯言いたくないんですが、井戸の回りに割れたお皿があるからなんです。
しかも長い黒い髪の毛?の一部が井戸の中から見え隠れしています。
おい、そこに誰か近づくのを待ってるヤツがいるんじゃね?とか。
しかも驚かそうと見え見えに用意してんじゃね?とか。
あり得ないスチエーションが起きそうな雰囲気がてんこ盛りの盛り沢山なんです。
やべぇ、真面目にやってるコッチが馬鹿らしくなりそう。
「命懸けでここまで辿り着いて、さあ真剣に目的地を攻略しようと緊張感に包まれていた時、文字通り嘲笑うような状況が起きるとか。馬鹿にしてんのかって誰かに言いたくなるんだけど」
「私に言っているなら、こんな城などダンジョンとは関係ない。言いがかりだ!」
「まだ何も言って無いんだけど⋯⋯」
えー私の言動に勝手に黒アゲハが反応しました。
殆ど被害妄想ですが知らない間に城が生えていたとか、ダンジョン管理者としてどうなの?って思ってしまった私は正しいと思います。
まあ今は簀巻きで虫籠のアゲハ。
何を言ってもどーでもいいですけど。
「おい貴様、私の話を無視するな?!」
うーん、負け犬の遠吠えが聞こえますが、気にする必要はないようです。
とにかく今は前に進む時です。
要らない雑音は忘れましょう。
さて予定通り大坂城モドキ前の井戸をスルー。
うん、何事も起きませんね。
順調順調。
このまま一気に天守閣を目指し進んで行けばいいのでしょうか。
「えー天守閣はと」
「カーナぁ、お城の上に何か乗ってるよぅ」
「錬金ちゃん、それは鯱鉾よ」
「シャチホコ?」
「そう鯱鉾。昔の人達の空想上の生き物で《火除けの守り神》という御呪いの意味があったんだって。でも金で綺麗に飾ってあるから、お城の装飾品って意味合いが強かったかしら。つまりお城の主さんの見栄の象徴ね」
「そうなんだぁ。だけど何か動いてるよぅ」
「チッチッチッ錬金ちゃん、装飾品が動くわけなないじゃない。それは見間違いよ」
「カーナぁ、確かに動いてるよぅ」
「はい?」
錬金ちゃんの言葉に半信半疑の私。
とにかく百聞は一見にしかずです。
お城の屋根を見上げてみました。
((ゴワァアアッ、グワアアアッ))
あー何かエビ反ってのが動いですね???
しかもコッチを睨んでますよ。
うーん、鯱鉾が動いたらあんな感じなんだ、じゃなく確かに動いてる?
金ピカのウロコ?が波打って、デカい目玉がコッチを威嚇しています。
鯱鉾が動いたらあんななんだ?!
メッチャ気持ち悪いじゃん。
「いや、鯱鉾は動いて欲しく無かったよ」
『主、それどころではなかろう』
「ヒューリュリ様?」
はい、久方ぶりのヒューリュリ様。
鯱鉾と同じ金ピカの丁髷オッサン達に今だ神輿のように担がれて、しっかりとお座りを決めたまま、私を見下ろしながら喋ってます。
本人は威厳たっぷりに話てるつもりのようですが、頭のハチマキ付き丁髷カツラがどうしても笑いを誘って情けない。
笑いが込み上げて直視出来ないんだけど。
『主、何故に震えているのだ??』
「いや別に」
先程まで寝ていて起きたヒューリュリ様。
担架に神輿になっていてバカ殿犬とか、理解が追いついて無いようです。
まあ、アル中で駄犬でバカ殿なだけですけどね。




