第410話 砂漠の城(香水と服と人形?)
◆砂漠の城
カーナ視点
さて、それでは作戦会議。
後々怖いかもだけど民芸品達が力を蓄える為か、合体目的だろうか、積乱雲こさえて地面の別働隊とともにボコボコと密集体系を取り始めている模様。
まさに振り返りたくない事実の中、これからのキャラバン方針を決める重要会議。
あ、当然ながらパワードスーツは解除してます。
蒸れまくりだからね⋯⋯⋯。
「パワードスーツ解除!」
ガランッ
「く、べっしょりで一張羅が臭くてヤバい」
『主、使い古した靴下の臭いがするのだ』
「ヒューリュリ様、それはレディに禁句よ!」
『何処にレディがおるのだ?』
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
その後、アル中ヒューリュリ様には暫くチンチンの刑をしてやりました。
当然の報いです。
これでアル中が治ればなおよろし。
で会議は空転してお流れ。
まあ、背後に民芸品達が居るんですから前進しかありませんで決まりです。
会議意味ねー。
で、私の(臭いの)ですが、幸いアルタクスさん達は部隊の点検に忙しく今は離れて安全です。
私が臭いのバレずに済んで良かったよぅ。
「んじゃ、バラの花でも呼び出して、香水を作りを始めるよ!」
「カーナぁ、香水の蒸留器なら作るよぅ」
という事で、急に香水作りになりました。
臭い→香水という構図です。
目の前に真っ黒積乱雲があるのに呑気です。
いいじゃん、乙女の嗜みよ!
「それでは咲き乱れよ、ベルバラ降臨!」
シュババババッ
はい、さっそくスキルの花召喚。
砂漠にバラを咲かせます。
翳した先にバラの園。
まさにベルサイユ級なバラ園の出来上がりです。
「はい、バラ園が完成。次はどうするの、錬金ちゃん?」
「香水作りに必要なのは、アルコール(エタノール)+水+植物油だよぅ。バラは香料と同位だから水蒸気蒸留で濃縮で抽出、それをアルコールと精製水に混ぜ合わせれば出来上がりだよぅ。だけどバラはどの部位を使うとか、濃縮濃度とか、バラに他の物を混ぜるのも有りだし、色々調整が出来るよぅ」
「いや私に香料作成過程説明されても色々ブレンドしたりしないし?それより緊急なんだから通常のレギュラー一択でスピード重視がいいわ!」
「了解だよぅ」
オゲーッ
ガラガラガチャンッ
はい、さっそく錬金ちゃんから吐き出されたガラス製の香水精製器具?
乱雑に吐き出されたガラス器具類、不思議に割れずに工程連結された状態で出てきました。
いわゆる香水キットです。
そこに摘み取ったバラの花を入れ、アルコールランプに火が点いて、水蒸気が熱せられたら上部のフラスコに液状のバラ抽出液が溜まります。
本当は2週間とか熟成期間などがあるのですが、今使いたいのですっ飛ばしの時短加工。
それを小瓶に入れたらバラ香水の出来上がりです。
やっほー。
「完成?完成だよね、錬金ちゃん?!」
「はい、完成だよぅ。最初の香りはキツいから、ちょっと少な目に様子を見るのがいいよぉ」
と、言われてる間に付けました。
ブワッとバラの香りが広がります。
うん、確かにちょっとキツい。
これが所謂トップノートな香りってヤツですね。
出来たて香水は最初に香りが凝縮されてますから、かなりキツく香りを感じます。
強い香りはちょっと下の方にかけて、馴染んできたら顔付近にかけていきましょう。
対外的にもかけ過ぎに注意しつつ慎重がベターです。
当然ながらバラの匂いが嫌いな人もいますから、そこは気をつけるのが良いでしょう。
なお、ここが日本なら香水製造は免許制。
私はモグリというわけです。
どうでもいいか。
「うん、靴下の臭いは感じない。香水作戦大成功かしら」
「カーナぁ、素直に新しく服を作りなよぅ」
「うん、下着は結構作ったんだけど、ワンピースは一目に触れるから躊躇しちゃうんだよね。私、裁縫は下手くそだから」
当たり前ですが妖精サイズの服が売ってる洋服屋はこの世界にありません。
前世の日本にもありません。
でも前世の日本ならバービぃちゃんとか理科ちゃん?とかのお人形の服なら着れたかも知れません。
バービィとか理科ちゃん?の服とか。
余談ですがバービぃちゃんとか理科ちゃん?にはボーイフレンドがいます。
人形のくせにボーイフレンドがいます。(重要)
バービぃちゃんはオオカミ少年と同名の彼氏で、何故か毎回肌の色と髪色が違います。
ナニ人か分かりません。
理科ちゃん?は6人のボーイフレンドと付き合ってます。
逆ハーを謳歌してます。
生意気だぜコンチクショウ。




