第408話 ダンジョン砂漠14(空の戦)
◆ダンジョン砂漠上空
カーナ視点
キィィイーーーーーーーンッ
はい、現在高度千メートル。
時速1224 km/hで飛行中。
つまりマッハ1と言う訳です。
それでも後方から追いすがる民芸品達。
その最たるものは木製木彫りの龍の置物です。
いやいや木彫りの龍の置物って何?
何でそんなもんがマッハで飛んでる私に追いついてくるん???
とか色々疑問が尽きませんが、ハッキリ言ってここは考えた方が負けです。
何かと常識が通用しないダンジョン内?
一々考え悩んだら頭が茹でダコショートでたちまちフリーズ。
悩むのは止めましょう。
「とは言え私が一番の脅威に見えるように行動した結果、上手く引きつけられたみたいね!」
一撃加えて即離脱。
後は付かず離れず隙見せ行動。
これでアルタクスさん達キャラバン隊から奴らを引き離す事に成功中。
多勢に無勢は逃げるが勝ち。
マトモに戦うわけがありません。
「だけどこれは、ちょっと引き付け過ぎじゃない?」
と下方を見れば、まるで黒い川が流れている如く、地上を這い回る漆黒昭和民芸ヘビ笛の群れ。
いやどんだけ集まってんだ、ってくらいのスケールで増え続けています。
何なのよコイツらは!?
「危なかった。あのまま進んでいたら、あれだけの数のヘビ達に囲まれてどうにもならない事になってたかも。地面の下は分かんないものね」
パワードスーツを着てれば感知出来ただろうけど如何せん、このパワードスーツは蒸れます。
蒸れます。
(ここ重要だから2回言います)
常時着用はゴメンだし、それは無理な話。
未来技術の塊?なのにエアコンの一つも無いコンチクショウな設計。
殆ど着る人間度外視でメカフェチの夢と希望を盛り込んだカブト虫型フェアリー用パワードスーツなんですコレ。
因みにパワードスーツの兜角のカブト虫は日本種でなく南米原産のヘラクレス角。
スラッと尖っててカッコよいでしょ。
あと黒アゲハが着ていたのも何故か同じでした。
真似された?!
そんで錬金ちゃん曰く。
このパワードスーツは私の創造魔法の産物なんだって。
しかも私が無意識に望んだからだそう。
はい?
だとしても使う人に優しく無いよね?!
それについては、想像の創造だからアンバランスは致し方無いらしい??
結局完ぺきにはほど遠いオーパーツという事なんでしょう。
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⚫型式名フェアリー・ウォリアー(識別名)
動力▶魔力波動炉
出力▶10万馬力
防御▶鎧表層魔力伝導バリア
材質▶スペースミスリル合金
武器▶7ウェポン
(創造ロケットランチャー、創造ホーミングレーザー、その他は未解放)
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そんでスペックはまさかの馬力表示⋯⋯。
もう、どうでもいいか。
だけど、これだけのスペック?を持ってしても昭和民芸ヘビ数体を相手にするだけで息が切れます。
いや、私が蒸れます。
蒸れます。
(ここ重要だから2回言います)
汗だくビショビショで鎧脱いだら使い古しの靴下の臭いがするし私一張羅じゃん。
しかも錬金ちゃんの唾液付きだよね。
臭いに混ざるよね。
スゲー臭いになるよね。
私女として終わってんじゃね?
最悪じゃね?
勘弁して下さい。
『キシャー!!』バリバリバリバリッ
「きゃあ!?」
やっべぇ。
考え事してたら木彫り龍がいきなり雷撃を撃ってきやがった。
唯でさえ民芸品の木彫り龍が空飛んで物理現象を守れてないのに雷撃とか。
いくらファンタジーだから何でもあるって物理学は守れや!
で、スーツはちょっと帯電しただけでバリアの範疇だったけど、さすがに何発も直撃受けたらパワードスーツが持つか分かりません。
今は逃げの一択でしょ!
『『『『『ギェエエーンッ!』』』』』
「何!?」
木彫り龍達が騒いだので後方を振り返ると、アイツら寄り集まって何か始めてました。
何かグルグルと回りだしてる?
そしたらその周りに黒い雲が発生して、木彫り龍達は雲の中に紛れ見えなくなりました。
どういう事?
そして更に見守っていたら、その雲がモクモクと膨れ上がり巨大な入道雲に急速発達。
全体が帯電してバチバチとカミナリを発生させてます。
え、日本民謡の龍みたいに、いわゆる《雲を呼んだ》って言う事なんでしょうか。
あと真っ黒な雲だから雨雲だよね?
砂漠に雨を降らせるのかな?
意味不明。
民芸品の気持ちなんて分かりません。




