第403話 ダンジョン砂漠9(再合流?!)
◆ダンジョン砂漠
カーナ視点
結局ララちゃん君もあの氷結城で、私達が飛び込んだ空間断裂銀河に遅れて飛び込んだようですが、到着した場所と時間にズレがあったようで時間にして1日程度の違いだったよう。
(第387話 氷漬けの世界)
だけど水もない炎天下の砂漠。
一人遭難はハードモードでしかありません。
そこでララちゃん君は、ご自慢のヘルメスバック内に小さくなって避難してたそうです。
便利だな。
そんでララちゃん君のヘルメスバックは亜空間収納になっていて、中は意外に涼しいんだそうな。
アレレ?
だけど亜空間収納は生き物は入れないシステムだった気がするけど?
「は?するとララちゃん君って、只のハムスターじゃなくて《精霊》って種族だったと?」
はい、突然ハムスターの幽霊に苛まれて、ガクブルでパニック症候群に陥っていた私。
ララちゃん君の説明に、なんとか平常心に戻る事が出来ました。
って、グルちゃんのペットなゴールデンハムスターじゃなかったの??
「キュイイッキュイキュイキュイイ《精霊でも実体化したのがアタシなの。ただ今は力が弱いから半透明化してるのです》」
「そーなんだー。確かに普通のゴールデンハムスターは大きくなったり出来ないものね。何か納得。でも何でハムスターなの?」
「キュイイキュイ《アタシ、精霊前はハムスターヤッてたのです。そこから神格化したせいなのです》」
「成る程。そしてグルちゃんのペットとしてランドセルに住んでいたと」
「キュイイキュイキュイ《そうじゃないの。私はグルちゃんのペットだったんだけど死んでから精霊になった。つまりペットは元々なのです》」
「ほうほう、最初からグルちゃんのペットだったと?それでどうして死んじゃったの???」
「キュイイキュイ《生前もグルちゃんのランドセル内に暮らしてたんだけど何か餌を貰えない時があったのです。それで気づいたら精霊になってたの。後でグルちゃんに聞いたら『餌をあげるの忘れてた。テヘッ』って謝ってたの。やーねぇ》」
「……………………」
にこやかに自身の生い立ちを話すララちゃん君。
ララちゃん君が精霊化したのはグルちゃんの《餌やり忘れ》が原因だったんですね。
あーその前にランドセルでハムスター飼ったらランドセルが臭くなっちゃうよ、じゃなく!
餌やり忘れでララちゃん君死んでね??
しかも餓死してんじゃね?!
そんで《精霊化け》したのを《テヘッ》で済ましてるグルちゃん。
何してんのグルちゃん…………。
だけどララちゃん君は、その死んだ理由に何も感じて無いようです。
それでいいのか、ララちゃん君???!
「キュイキュイイ《あと一ヶ月くらいで寿命だったから結果オーライ?》」
「ハムスターは二年くらいが寿命だから……ね」
「キュイイ《失礼な!場合により三年以上なのです》」
「ゴメンナサイ………」
「キュイイキュイキュイ《大体、サンマより長生きなんだから霊長類なのです》」
「………………」
比較対象がサンマな理由を聞きたいですが、サンマより長生きでもハムスターは霊長類には入りません。
絶対に入りません。
「キュイイキュイキュイイ《今年は水揚げ個体が大きいらしいわ。美味しいサンマが手に入りそうなのです》」
「そろそろサンマから離れようか」
そんなこんなで再び合流出来たララちゃん君。
ちゃっかりと私の後ろに取り付きました。
背後霊じゃねーか!
「私、恨まれるような事した??」
「キュイイキュイキュイ《カーナしゃまにお願いがあったのです。聞いてくれる?》」
「私に出来る事なら???」
なんと、私の背後霊になったララちゃん君には私にお願い事があったそうです。
いや《タマシイくれ》とか無しだからね!!
「キュイイキュイキュイ《一度お顔にヒマワリの種シャワーをしたかったの。カーナしゃまなら出来ると思って》」
「私はヘルナンデスじゃねーよ。それにホームラン打てや」
くだらない理由で背後霊になるのは止めて下さい。心臓が持ちません。
仕方無いので取り敢えずララちゃん君の顔にヒマワリの種シャワーしておきました。
小躍りしてなんか楽しそうです。
お祭りかよ。
早く成仏しろや。
はあ、何か疲れた。
肩がスッゴク重いんだけど???
私、ララちゃん君に精気吸われてね?
「キュイイ《アタシにそんな力は無いわよ》」
「勝手に心を読まないで下さい」
背後霊になったララちゃん君に隠し事は出来ないようです。
以心伝心かよ!?
もう勘弁して下さい!!
こうして再びキャラバンに加わったララちゃん君。
誰かお祓いをお願いします。




