第399話 ダンジョン砂漠5(生活魔法?)
◆ダンジョン砂漠
カーナ視点
「ヒューリュリ様、いつから生活魔法使ってたの!」
『主、何を今更言っておるのだ?』
「錬金ちゃんも使ってたんだ?!」
「カーナぁ、最初からだよぅ」
何という事でしょう。
皆は当たり前の如く、普段から生活魔法を使っていたようです。
知らぬは本人ばかりなり?
知らぬは仏?
知らぬ顔の半兵衛は知らんがな。
「うう、ヒューリュリ様に負けるのは嫌だわ」
『何でそうなるのだ?!』
いや、ビール腹駄犬フェンリルに負けるのは何か納得いきません。
ものすごーく残念な思いがこみ上げます。
ほら、あるじゃないですか。
今どきの小学校で出る問題に答えられず、従姉妹のクソガキに馬鹿にされるみたいなヤツ。
あんな気分が漂います。
『主、我を何だと思っておるのだ!?』
まあ、いいです。
これから社会は分業制です。
餅は餅屋というように《出来ない事を嘆くより出来る部下を上手くこき使う》。
これに限るのではないでしょうか。
「カーナぁ、考えが酷いよぅ」
『主、あんまりなのだ』
という事で、いちいちアルタクスさんに風を送って貰うのも悪いので、ヒューリュリ様の背中で涼んでいる私です。
そーいやぁここまでの道中、暑いは暑かったけど風は時より冷たく感じてました。
アルタクスさんのポケットとか、ヒューリュリ様の背中とかは生活魔法の恩恵を受けていたのでしょうね。
全然気づか無かったんだけど。
「カーナぁ、そんな気にする事ないよぅ」
「錬金ちゃん」
「カーナぁは何でも生み出せる魔法を持ってるんだよぅ」
「何でも生み出せる魔法?」
「カーナは創造魔法の使い手だよぅ」
「創造魔法……何かステイタスにあったような」
「カーナのスキルは創造魔法によるものが多いんだよぅ。スキルそのものもカーナは創造してるんだよぅ」
「スキルそのものを私が創造してるの?」
「創造魔法は無から物質を作り出したり、魔法やスキルを作り出せる万能な魔法なんだよぅ」
「え、じゃあ、私って神様みたいじゃない?!」
「そーだよぅ。ただ本来は創造魔法って膨大な魔力が必要だから普通は使えないんだよぅ」
「え、なら私は膨大な魔力持ちなの?」
「それが不思議なんだよぅ。カーナからは普段、殆ど魔力を感じないんだよぅ」
「は?えーと?私って魔力無いの?」
「そうだよぅ。ボクらの誰よりも普段は魔力が無いんだよぅ」
「魔力無かったら魔法使えなくない?」
「そこがカーナの変なところなんだよぅ」
「変な認定要らないんだけど!?」
錬金ちゃん、失礼な!
私は変じゃありません。
だけど、魔力が無いのに創造魔法を使ってるっておかしいでしょ。
いや、それ以前に私に魔法を使った覚えがありません。
どういう事?
「錬金ちゃん、私はいつ創造魔法を使ったの?」
「多分カーナに自覚が無いよぅ。殆ど無意識でやってるみたいなんだぁ」
「無意識に?それって魔法を使える事にならないんじゃない??」
「本人の認識はそうなるよねぇ」
無意識で魔法使えるって何なのよ!?
何かの嫌がらせみたいじゃない。
大体、魔法が無意識に発動したら色々とコントロールとかヤバくない?
「カーナが使えるのは創造魔法だけ。暴発しても何か要らない物を作り出すだけだよぅ」
「私、暴発すると要らない物を作っちゃうんだ?それってスッゴク阿呆みたいじゃない!?」
「そうだねぇ。先日無意識に暴発したの、ボクが持ってるけど見てみるぅ?」
「え、私すでに暴発してたの?妖精爆弾?何かめちゃくちゃ迷惑とか」
「うん。その時カーナは寝てたから分からなかったはずだけど、いっぱい出来たから、みんなボクの口の中に収納したよぅ」
えー因みに錬金ちゃんの口の中は魔法的に無限収納になってるんだそうです。
何でも食べて保存出来る羽根スライム。
食事の時との差別化はどうやってるん??
じゃなく、私はとっくに暴発してたようです。
だけど無意識だから何を作り出したか分かりません。
え、何を作ったの?!
「あの人そっくりなのを作ったんだよぅ」
「はい?あの人ソックリって誰?ハリウッドスターとか???」
「ちょっと吐き出すよぅ」
んべぇっ
と、言って錬金ちゃんが吐き出したのは人型の、いわゆるマネキンでした。
でもそのマネキン、ふかふかの柔らかい布で出来ていて、よく見たらアルタクスさんソックリでした。
え、これって、抱きアルタクスさんじゃん?!




