第392話 ダンジョン?(熱砂の砂漠5)
◆ダンジョン砂漠
カーナ視点
この砂漠にはサンドワームの他にも、あんなメカスネークも住んでるみたいです。
マジにヤバい世界じゃん?!
ジョーダンじゃねーよ。
「サンドワームにメカスネーク。この砂漠進むの、クソゲーに違いないわ」
『主、クソゲーとはなんだ?』
「クソゲーはクソゲー、他に表現方法はないわ」
『そういうものか??』
ヒューリュリ様にクソゲーを説明しても分かるわけもありません。
クリアー出来る見込みがまったく感じられないクソな感覚とか、内容の低いゲームソフトを買って後悔する感覚とかは実際にやったことなければ分かるわけも無いのです。
シューティングGで残機1、コンテニュー無しとか、フザケやがってです。
「このまま進むのは無理ですね。アルタクスさん、どうしますか?」
「カーナ様、アレを見て下さい」
「アレ?」
アルタクスさんが指し示すのは、無数に葬られたゴーレム達の残骸でした。
え、どういう事?
「アルタクスさん?」
「ゴーレム達の残骸は全てが一定の方向を目指しています。つまり彼らが目指した先に、この闘いの原因があるのではないでしょうか」
「そうかも知れないけど、それは私達に関係ある事なんですか?」
「何となくですが、オルデアン様達はその先にいるような気がするんです」
「え、虫の知らせとか?ですが危険ではないでしょうか」
「何も無い砂漠では他の情報を見つけるのは難しいでしょう。であれば僅かな可能性に賭けてみたいのです」
確かに先程も誘拐犯達の情報が無い中、砂漠に上がった黒煙を目指したのは他に情報が無かったからです。
今も同様の状況で誘拐犯に繋がる何の情報もありません。
そして黒煙を目指したら結果としてゴーレムと漆黒メカスネークの戦闘を目撃した訳で、今更危険だからといって少ない情報を無かった事にも出来ないのが実情です。
ここは多少の危険があっても、可能性のある方向に進むのがセオリーとも云えます。
「アルタクスさん、ゴーレムの残骸が指し示す方向に向かいましょう。今はそれが唯一の情報でしょうから」
「カーナ様、ありがとうございます」
「それにしてもアルタクスさん。私に変に気をつかってませんか?確かに私は部外者ですが、この部隊の部隊長はアルタクスさんなんです。部隊長が方針をどんどん決めていいんですよ。私はそれに従いますから」
「はい、分かりました」
アルタクスさんは私の言葉に苦笑気味に答えました。
更にソコで、私が乗っているヒューリュリ様にお辞儀?
対してヒューリュリ様は涼しい顔で頷いてます。
何だか主従関係が構築されてるます。
おやや、まさか駄犬に脅されてたりしませんよね?
「ヒューリュリ様、アルタクスさんに粗相をした?」
『我は何もしていないぞ?此奴には普通に接しておるだけなのだ。だが此奴、昨今の人間にしては中々に殊勝な態度で接してくれておる。フェンリルたる我を敬わねばならぬ事をしっかりと理解出来ておるのだ』
「ほほう?ビール腹フェンリルを敬うと」
『うむ、見上げた心がけなのだ』
「何故そこまで尊大なの?!」
アルタクスさんは、ヒューリュリ様が長い年月生きてきた聖獣フェンリルだという事を理解しています。
だから彼がヒューリュリ様に敬意を払うのは分かりますし、それはアルタクスさんの人徳であると云えます。
だとしても、そこでビール腹駄犬が尊大に振る舞うのは何だか違う気がします。
惰眠をむさぼるに過ぎないヒューリュリ様。
部隊長アルタクスさんより偉そうなのは何だか腹立たしくもあります。
その耳に噛みついてやろう。
私はピラニア。
がぶりっ
『あ?だだだだだだ?な、何故に噛むのだ主!』
「今はピラニアだから?」
『何故だぁ!??』
砂漠の地平線に太陽?が沈み、辺りはすっかり暗くなりました。
気温も砂漠地帯特有で急速に下がります。
昔から砂漠を進むキャラバンは主に朝夕の夜間帯に移動をしてました。
私達もそれに習う事と致しましょう。
こうして私達は誘拐犯達の手ががりを求め、夜の砂漠を進むのでした。




