第388話 ダンジョン?(熱砂の砂漠)
◆ダンジョン(熱砂の砂漠)
カーナ視点
ドドドドドドッ
「ビクッ?!」
「カーナ様、大丈夫です。あの音は、さっき見たワームでしょう」
そう言って、警戒して出した剣を仕舞うアルタクスさん。
そして前方の土は地中のシマシマワームによって盛り上がり、遥か遠方に去っていくのでした。
サンドワームじゃねーか。
何処だよここ?!
「うう暑い。ここは別の惑星じゃないよね?!」
「ワクセイ?ですか??」
「何でもないレス」
この世界の科学知識は中世並み。
アルタクスさんに惑星の何たるかを解いても難しいでしょう。
えーつまり、転移後の世界は熱砂の砂漠でSFでした。
いや、ホラーな司会者の世界?
しかもサンドワーム付き。
要らんわ!
寒波の次は熱波。
氷漬けとブリザードの次は熱砂とサンドワームの世界ってトンデモなく正反対。
身体が慣れるわけもなく、このギャップに体調不良は必至です。
埼玉で前日20度、翌日32度並みに無理だって。
『主、身体が溶けているように見えるのだが?』
「うん、グダグダのドロドロ。ヒューリュリ様も同じじゃん。フェンリルバターじゃね?」
「モキュモキュモキュ《アタシ達、このままだと干物になるのです》」(ハムスターバター中)
「見て見てカーナぁ、ボク溶けてるよ」ドロッ
「錬金ちゃん、スライム実演しないで。えぐいから。さっきのは言葉のあやで、それくらい暑いって話。幻覚で三人共バターになってるけど」
『だが主、このままだと本当に命に関わるのだ』
「なら、ご褒美セットはカキ氷を頼もう」
『真面目に聞いてるのか主?』
まったく日陰のない砂漠のど真ん中。
ときおりカラフルなサンドワームが襲ってきますが、アルタクスさんとイケメン予備軍が簡単に撃退してくれます。
頼もしい!
しかもアルタクスさんとイケメン予備軍、上着はモチロン薄着で殆ど胸元を晒しているんです。
更にシックスパックがトンデモなく、全員細マッチョが確定でした。
眼福が最大公約数で私の目が花畑!
ヨダレが止まらな、じゃなく、取り敢えずログハウスを出して全員避難しました。
『主、サンクチュアリとかをやればいいのではないか?』
「あれは温室みたいなもの。これだけ日差しが強いと余計に暑くなるだけだから」
そう、小さな箱庭グリーン・サンクチュアリは簡単に言うと空気の層を重層化して外界と内界を隔てる壁を作るもの。
一定の温度を上げてキープする事は出来るけど太陽光は素通りだし、物理的に人の出入りを制限したり出来る程度。
ハッキリ言って冷房効果はありません。
とにかく今は直射日光が熱くてヤバいから、皆んなが日焼けサロン帰りになる程度でログハウスに避難出来て良かったです。
お陰でアルタクスさんやイケメン予備軍は男前が上がって私の目のやり場がヤバいですが、それはこの砂漠のメリット。
デメリットは長くいたら干物かトラバターになる事です。
普通に死ぬでしょ。
カチャカチャカチャッ
キーンッ
カチャカチャカチャカチャカチャカチャッ
キーンッキーンッキーンッキーンッ
はい、全員無言で清涼感抜群のガラス皿にカキ氷を満喫中。
さっそく出したご褒美セット。
何故かカキ氷機と各種シロップ、ガラス皿が現れました。
私は亜空間収納していた氷を取り出し、ヒューリュリ様が握りハチマキでカキ氷屋を開始しました。
肉球で渡されるカキ氷に、ちょっと衛生面を気にしましたが背に腹は代えられません。
山盛りで頂いたカキ氷には定番のいちごシロップを奮発しました。
皆ときより頭にキーンして渋い顔になってますが、無言でカキ氷を満喫してました。
暑い日のカキ氷は少しずつ食べましょう。
「ふー何とか落ち着いたけど、何か室内も暑くない?」
カキ氷で体調は戻ったけど、ログハウスでも外気が下がらない限りいずれ蒸し風呂状態は避けられません。
まあ、私が亜空間収納の雪や氷のストックを出せばいいんだけど、実はあんまり残りが無い。
妖精ビール工房社長時代にたまたま妖精ビール出荷の為、道を拡張するんで雪や氷を亜空間収納に入れて道を作り出す事をしていたんです。
一旦亜空間収納すると何の労力無しに除雪出来るんで便利。
その時かなり亜空間収納したんだけど、邪魔にならない場所に捨てちゃった。
だって回りは雪国状態でしょ?
幾らでも雪や氷があるんだから要らないよね。
こんな必要になるなら、もっと取っておけば良かった。
そうすれば砂漠でスキーが出来たのにと後悔中の私です。
え?
どんな後悔って??




