第387話 ダンジョン?(氷漬けの国)
◆ダンジョン?(氷漬けの国)
カーナ視点
「え、ここがテータニア皇国なら、私が守り立てた皇国エール工房は何処に?」
と、振り返れば、遥か彼方に広がる街並みはその全てがカチンコチン。
駄目だ、ありゃ。
たぶん人間もアイスクリームになってます。
せっかくご当地ビール人気が復活してたのに残念無念、じゃなく結界はどーした?
あと、カチンコチンになってるの、早くね??
とか私が思っていたら、アルタクスさんは無言のまま前に進みます。
そーですよね、ショックですよね、自分達がダンジョンに居る間に国が全滅したんです。
かける言葉もありません。
「あのアルタクスさん。何と言っていいか、謹んでお悔やみを申し上げ」
「この先から力を感じます………」
「へ?」
とーとつのアルタクスさん。
この先に力を感じるとのワード頂きました。
うーん、それはRPG的なBOSSキャラの気配とかでしょうか。
もしかしてBOSSは《何処かの雪の女王》?
少しも寒くないわ、とか??
いやパクリになるからそれは止めようよ。
と、歩いて行くと何これ??
大広間の真ん中に大きな光の渦が出来てました。
銀河系の模型みたいな感じです。
何なのよ、コレは?
「これも次元の亀裂、のようです」
「次元の亀裂?!」
アルタクスさんの言葉に目を凝らす私。
そーいえば《薄暗い平原》の洪水騒ぎで目にした空間断裂の光、目の前の銀河の光はアレにソックリです。
ふむふむ、流石アルタクスさん。
「と、いう事はオルデアンちゃん達はこの亀裂の先に行ったという事かしら?」
「他に気配はありません。それしか考えられないでしょう。これはいわゆる転移門だと思います」
という事は、また嫌な転移をしなくちゃならないって事だよね?
いやいやもう勘弁してよ、転移酔い!
「では、皆さんで追いかけていかれますか?私はここでお待ち申し上げ」
『そんな訳にいかぬだろう?皆で向かうのだ、主』
「ふぇ?!」
と、の声に振り返れば、ヒューリュリ様とララちゃん君、そして錬金ちゃんにイケメン予備軍の皆さん達。
何故かフルメンバーで揃い踏みです。
あと、ヒューリュリ様の後ろに幻メス犬舞妓さん達の幻影も見えるんだが???
カーナ「な、なんで?」
ヒューリュリ『主の向かう先に付いていくのが従魔の役目であろう』
ララちゃん君「御主人様を助けに行くのです!」
錬金ちゃん「カーナぁ、一緒に行くよぅ」
イケメン予備軍「「「「「我らも隊長と一緒です!」」」」」
待てや。
私は引きこもり予定なんで、これ以上巻き込むのは止めて下さい。
無理やり転移は虐待です。
また吐きまくりになるから勘弁だわ!
「あ、アルタクスさん、名残り惜しいですが、私はこの場に残り」
「カーナ様、それでは行きます!」バッ
「私の意見はー!?」
私の叫び虚しく、アルタクスさんは私をポケットに入れたまま転移門に飛び込んでいきました。
終わった。
ギュルルルッ
再び始まる洗濯機の中、生きた人間を洗濯機にいれんなや。
いや、妖精か。
まわる、まわる、世界はまわる。
私の人生コレばっかり。
合掌。
❇❇❇❇
ヒュルルルルルルルルッ
ドサッ
「どべっ!」
こうして私は、また知らない世界に落っこちるのでした。
たまには優しい場所に落ちたいわぁ。
「い、痛ぁ!って、ここは何処よ!?」
と、辺りを見れば、見渡す限りの砂漠地帯?!
極寒のお城の次は極熱の砂漠って事?
極端過ぎでしょ!
ジリジリジリジリジリジリッ
「ぎゃあああ、熱い、熱い、砂が熱い!冷え症の次は熱中症?何の嫌がらせよ!」
ヤバい、このままでは名物?《妖精の砂焼き》が焼き上がります。
これはふざけてるとしか思えません。
誰かの陰謀では?
ヒュルルルルルッ
「は!?」
ドサッドサッドサッ
ドサドサドサドサドサッ
カーナ「きゃあ!」
アルタクス「!?」
イケメン予備軍「「「「「うわああ!」」」」」
ヒューリュリ『何だ、ここは?!』
錬金ちゃん「また落ちたよぅ」
ララちゃん君「同じくなのです」
遅れて落ちてきたアルタクスさん達。
危うくアルタクスさんに潰されるところでした。
それはそれで本望ですが《妖精焼き煎餅》は勘弁して下さい。




