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第381話 ダンジョン新神殿5

◆ダンジョン新神殿

カーナ視点


「で?足跡は何処に続いているの?」

「おかしいですね。地下祭壇の後ろに続いてます。この先は袋小路で何処にも行けない筈なんですが……」



あり得ないくらいクッキリはっきりしてる足跡を見ながら、先に続くその向かう先を見て首を捻るアルタクスさん。

袋小路なら件の誘拐犯達がまだ居る可能性があり得ます。

ここは悩む前に前進あるのみじゃない?



「とにかく進んでみましょう。もしかしたら誘拐犯達はまだ居るのかも知れないわ。レッツ袋小路よ!」



私の号令に反発なく進み出す皆さん。

地下祭壇の裏はまだ通路が続いていました。

ならば袋小路になるまで突き進むのみです。

そうして進み続けた私達は見事に通路の終わりに到着したのでした。



「デカい岩で行き止まり」



行き止まりです。

その前に誘拐犯に出会う予定でしたが、姿形もありません。

何処行った誘拐犯?!



「アルタクスさんどうしましょう」

「岩の手前で足跡が途切れてます。しかも戻った様子もありません」

「ミステリーですね」

「みすて………?」

「突き当たる壁に戻った様子のない足跡。これをミステリーと言わずして何をミステリーと呼ぶのでしょうか?」

「???」



うーん、アルタクスさんはミステリーを理解出来ないようですね。

つまり、この世界にミステリーという言葉は無いようです。

ですが誘拐犯達の行方は、このミステリー(謎々)を解がなければ分からない、という事になります。



「だけどどうして足跡が戻ってないんだろう?」



足跡は前を向いたまま目の前の岩に消えています。

つまり岩に向かってそのまま消えた?



「アルタクスさん、このまま前進してみましょう」

「カーナ様?」

「私の考えている通りなら、その岩を通り抜けられるのではないかと」

「岩が幻影かも知れないと?」

「そうです」



これまでの情報からは、誘拐犯達がこの岩の先に進んだという可能性しかありません。

ならばお試しをするべきでしょう。



「でも万が一があります。ここはヒューリュリ様にヤッて貰いましょう。ヒューリュリ様、岩に突進して下さい」

『待て(あるじ)、何故に我が岩に突っ込む必要があるのだ。その人間にやらせれば良かろう』

「それでは万が一があったらアルタクスさんが怪我をしてしまいます」

『その言葉だと、我は怪我しても構わないように聞こえるのだが?』

「そんな事は言ってませんよ。ヒューリュリ様は強いじゃないですか。だから例え岩にぶつかっても壊れるのは岩の方ですから」

『そんな訳あるか!』

「冗談です。そんな怒らないで下さい」



ヒューリュリ様はツーンと後ろを向いてしまいました。

ちょっといじけてしまいましたね。

致し方ありません。

私がゆっくり飛んで確認しましょう。



パタパタパタパタパタパタッ

「はい、タッチ!」

ヒュンッ



そうして私が岩に触ろうとしたら、私の手は空を切りました。

ふむふむ、予想の通りです。

この岩は(まぼろし)に違いないですね。

手を伸ばすと手が岩に消える。

なんか面白くない?



スカッスカッスカッスカッスカッ


(あるじ)、何をやっておるのだ?幻影が確認出来たなら進めはいいではないか』

「いや、リアル岩石に手がスカスカするのって、なんか面白くて」



ヒューリュリ様が私のやりように何か苛ついてます。

何故に?

ああ、さっき私が岩に突っ込めと指示しといて、自分は岩を触りにいった事ですか。

いやそれはヒューリュリ様なら本当に岩を壊せるのではないかと思っていたからの発言だったのですが、過度な期待は不信感を募らせてしまいましたね。

そもそも突っ込めは言葉のあやでもあって、本気ではありません。

だいたい、岩に突っ込めって言われて素直に突っ込む人がいたら、私はその人の見識を疑いますよ?



「ヒューリュリ様、さっきの突っ込めは冗談で、ヒューリュリ様ならこうして触って確認すると思っての発言ですよ。わだかまりを残しているなら、そう理解して下さい」

(あるじ)はいつも《あんまり》なのだ。少しは我を労るのだ』

「はい、分かりました」



だいぶひねてしまったヒューリュリ様。

ちょっとやり過ぎでましたか。

今後はこれまでの接し方を見直しましょう。


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