第366話 ダンジョン薄暗い平原再び6(絶縁ノアの方舟)
◆ダンジョン薄暗い平原
カーナ視点
まあ冗談はさておき、アルタクスさんの呪いは気になりますが、その前に私達は目前にある難問に先に対処せねばなりません。
難問とは勿論、亀裂から溢れた大量の温泉だか海水たか湧き水たかです。
迫る水は津波のようなものでしたが、幸いにも進む速度は方向により均一ではありませんでした。
上空を旋回する怪鳥ペリー、その背中から珍しく的確なレオナルドの指示もあり、私達は順調に神殿への道のりを縮めていけました。
鳥馬達は不思議な事に疲れる事を知らず、そのまま走り続けてくれましたから、へばったのはヒューリュリ様だけです。
仕方なく制服女子の鳥馬にヘバッた駄犬を横積みしました。
ペリ鳥馬はどうやらカロリーを大量に蓄えていたようです。
どうりで私があげる餌を二山三山食べても強請ってくるんで、その食い扶持に呆れていたのでしたが、それが今の持久力を支えているようです。
また、本人達も止まれば命に関わると本能で理解してる様子。
当然ながら必死に走り続けているのが分かります。
ですが流石にそろそろ限界でしょう。
初めて見ましたが鳥類の汗が額から飛び散る様はちょっとダーティー。
やべぇんじゃね?
「カーナ様、これ以上は鳥馬達が持ちません。どうやらココまでのようです」
「アルタクスさん、私が何とかしてみるわ!」
「カーナ様?」
アルタクスさんのお初な弱音頂きました。
その申し訳なさそうで諦め顔の暗いイケメンも中々に悪くありません。(悪趣味)
ココは私がウルトラCを発揮してアルタクスさんの心を鷲掴みしたいと思います。
「ここで出します!絶縁ノアの方舟、おいでませ~!!」
ズゴゴゴゴッドーン!
はい、お忘れかと思いますが、亜空間収納に収めていたプラズマ騒ぎ時に使った真っ黒ラバー包みの《絶縁ノアの方舟》です。
あのプラズマ鳥籠を回避し、神殿まで飛行した後に不要になった《絶縁ノアの方舟》。
一旦、亜空間収納に収めた私達は、ペリ鳥馬達を待機させたまま神殿内に突き進んだのでした。
(第292話〜第296話)
そのオーバーテクノロジーな《絶縁ノアの方舟》。
そうはいっても溢れる温泉に津波なら、一応船ですから今活用しない意味はありません。
まあ、ちょっと空も飛べるし?
殆ど宇宙船じゃね?と思うんですが今更です。
とにかく目の前に出したのは130フィートのクルーザー級。
人間だけなら余裕ですがペリ鳥馬達の空間も入れるとたいして大きくありません。
まあ今回も応急処置ですから、とにかく皆で乗り込みましょう。
「はい、皆んな乗り込んで!」
こうして全員乗り込んで飛び立つ私達。
何で最初から用意せんのと一部の駄犬やペンギン達に疑惑の目で見られましたが、しょうがないじゃない。
さっきまで忘れてたんだから。
そもそも前回も無意識で亜空間収納してたみたいで、神殿に入った途端に忘れました。
アルタクスさん達ゴメンナサイ。
そして飛び立って数秒でした。
あっという間に眼下の荒地は湖だか海だか温泉だかに変わりました。
まさに危機一髪ですか。
「カーナぁ。この舟、あまり飛行は出来ないんだよぅ」
「なら着水しかないわね。あとどのくらいなの錬金ちゃん?」
「もう、5分も無いよぅ」
「了解。皆さん、そういう事です。全員近くの場所に掴まって下さい。今から着水します」
とはいえ、甲板にいるペリ鳥馬達に何かに掴まるは無理な話。
甲板はゴムの真っ黒ツルツルボディ。
こういう場面は想定してませんからね。
「とにかく手綱を結んで舟全体に回しましょう。皆んな、手伝って!」
慌てて居住スペースから皆が出ると、早速作業に入ります。
刻一刻とリミットが近づき水面が近づきます。
出来るだけ流れる水面と同等の速度を保ち、着水の衝撃に備えます。
「着水!」
ザバンッザザーッ
《絶縁ノアの方舟》は見事に着水できました。
多少船体が荒れましたが、ペリ鳥馬が多少ジャンプするだけで済みました。
こういうところは種族的に鳥だからでしょう。
彼らはパニクる事なく、終始安定して落ち着いていました。
良かった良かった。
こうして私達はこのまま、唯一のオルデアンちゃん達に繋がる手掛かり。
ゾンビ神殿に再び相対する事になります。




