第356話 ダンジョン草原地帯再び(あの人?)
◆ダンジョン草原地帯
カーナ視点
さてさてハンセンばりのラリアットが決まって口から泡を吹いて転がってるのはフンボルト・ペンギンと雪ウサギの約2羽です。(知らないよね?)
フンボルトペンギンは白目を向いてますが、雪ウサギの方は冷たい目を見開いたまま口から泡を吹いていて不気味です。
それでもモデルガンМ16アサルトライフルを手放さない根性だけは賞賛に値すると云えるでしょう。
マジやべぇなコイツ。
あれ?
そーいえばレオナルドが何か喋ろうとしてたような??
とフンボルトなレオナルドを見れば、今だ口から泡吹いてますね。
仕方ないから亜空間収納から出した妖精ビール360ml缶の口を開け、その白目にチョロチョロとかけてやります。
するとあら不思議。
真っ赤な目をしたフンボルトペンギンの出来上がりです。
そして慌てふためいて踊り出すレオナルド草。
目にビールは気付け効果抜群ですよね。(鬼畜)
『人でなしぃ!』
「はい。私は人でなしです。そんな事よりアンタ、大事な話があるって言ってなかった?」
『目が痛いから言わねーぞ』
「仕方ないでしょ、アンタがG13の射撃を黙認したんだからこれで《おあいこ》だよ」
『横暴だ、従魔の基本的人権を主張する!』
「人権って違くない?その前にアンタら2羽合わせて、もっと主を敬うべきだとは思わないの?」
『アイツはどう思ってるか知らんが、オレ様は其れなりにお前を敬ってると思うぞ?』
「いや、いつも上から目線でしょ!」
正直レオが上から目線で無かった時なんて全く覚えはありません。
そもそも従魔って主従関係になる事でしょう?
ハッキリ言いたいですが、私は今だ誰とも従魔だと認識出来るような場面に遭遇した事はありません。
人徳のせい?
いやペリーとか勝手に従魔になってる連中は論外だし、テバサキは懐いてるだけだし、ヒューリュリ様は駄犬だし、雪ウサギ達は自分本位に動き回ってるだけ。
私の従魔って一体?
「はあ、まあいいわ。それで?大事な話って」
『分かったよ!言うよ。オレが風呂に入っている時だ。外で何者かの気配がしたんだ』
「アンタが風呂を占拠した件だわね。まさかアレからずっと入ってたわけ?」
『んな訳あるか。ただ普通に毎日入ってただけだな。とにかく何者かの気配がして風呂を出たらコイツが窓から外に向かって狙撃しようとしてやがった。それで、とばっちり受けたらヤバいと思ってG13に体当たりして狙撃を阻止したんだ』
家庭に一羽。
風呂を占拠するペンギン付きログハウス。(そんな風呂要らん)
じゃなく、スキル《お煎餅の家》で出したログハウスの風呂好きになっていたレオナルド。
彼は私がログハウスを離れてからも連日のように風呂に入ってたようでした。
そして勝手にガードマン宜しく出合い頭に狙撃しようとしていた不心得者に体当たりをしたと。
素晴らしいファインプレーです。
そこで外を確認したという訳ですね。
「アンタたまには役に立つのね」
『いつも役に立ってるぜ』
「そういう事にしといてあげる。それでどうなったの?」
『そしたら何と外には駄犬とバレーチームな連中が居たという訳なんだよ』
「ほう、駄犬とバレーチームな連中とな?」
えーバレーチームって何処のバレーチーム?
あ、そういえばレオはダンジョンのサードステージでバレーのコーチと審判をしてたんでした。
その彼がバレーチームというのなら間違いないんでしょう。
ん?駄犬??
「今、駄犬って言った?」
『ああ、お前んトコの駄犬も居たんだぜ。本当にビックリだ』
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
あう、それってヒューリュリ様ですよね?
という事はバレーチームはアルタクスさん達?!
何とアルタクスさん達はログハウスのある荒野にキープされてたという訳だった様です。
良かった良かったと胸を撫で下ろして、胸の無さに今更ながらにガッカリした私でした。
「それで皆んな元気なのね?ログハウスは開放してくれたの?」
『ああ、仕方ないからな。オレ様の自宅を使わせてヤッたぜ』
「元々アンタのじゃないから」
とにかくこれで合流出来れば、元の鞘に戻れてアルタクスさんの胸に飛び込めるというもの。
ムフフフフ、いっぱい甘えたーいんだもん。
レオ『またゾロ良からぬ事を考えているな』
カーナ「アンタに言われたくないわ」
侍女さんズ「「あの」」
カーナ「?」
アルタクスさん達の行方が知れて私が一人ほくそ笑んでいると、侍女さんズが何か聞いてきました。
何でしょうかね?
《テリアさんを励ます会》に入ってというなら、私にはハードルが高すぎて無理です。
自分は葬式の時にも落ち込んでる方の側でオチャラケちゃう不謹慎の塊みたいな者なんで、そーゆーのに縁がない人でなしなんです。
「あの、あの人が居ません」
「あの人?」
あの人とは誰の事ですかね?
はて???




