第355話 ダンジョン異空間19(ラリアット)
◆ダンジョン異空間
カーナ視点
50%
70%
90%
100%!
キュイイーーーーーーンッ
「発射ぁ!!」
ギガッ
あれから色々躊躇しましたが、結局フル充填でトールハンマーを発射しました。
いやね?
こんなばかデカいエネルギー発射して私達が大丈夫かなって思ったんですよ。
だけど結局閉鎖空間も突き抜けるし、次元の亀裂の先もだだっ広い荒野だし、まあ人的被害は皆無かと。
それに錬金ちゃん曰く、フルパワーでやらないと次元の亀裂を広げられないといわれたので、まあなんというか一か八かの博打です。
あと私にはイケメン達をなんとしても救出するという大義名分?使命?があるんで立ち往生してる暇はありません。
だって私のですから!
以上の理由からヤバいと知りつつ要塞砲をフルパワーで放った私。
沸き起こる衝撃波と高熱は予測通りとはいえ、なんとか電磁フィールドもフルパワーにして乗り切ったけど、燻ぶる真っ赤な地面をみたら溶岩じゃんとツバ飲み込んで茫然自失を演出してました。
だけどね、あまりの眩しさに目が痛い今日この頃って、目が痛あぁ?!!
「対閃光防御グラサン必要だよぅ」
とは錬金ちゃん。
ちゃっかり《対閃光防御サングラス》を付けて涼しい顔で言ってました。
そんなの事前に言って下さい。
「いや、確かにモニターには《対閃光防御サングラス着用》って文字が赤字で点滅してたけど、3ミリぐらいの文字で枠外の一番下に点滅って不親切極まりないわ?!」
パワードスーツのAIはモニターに文字入力しかされません。
音声案内が無いんです。
しかも誤字脱字がある殆ど初期のチャットジーピーテーみたいで読みにくいわ!
音声ナビちゃんが消えちゃったから適時フォローも入らないのが一番の問題。
うう、ナビちゃん何処行ったの?
ウザくてもいいから戻って来てよ。
かむばっくナビちゃん!
プシューーーーッバカッ
「くっ、どっかの保険契約みたいに騙され気分いっぱいだわ!こんなクソったれAIしか無いパワードスーツなんて着てらんない。おまけに暑いし。そんで結果は!?」
と、皆んなの目線の先を見れば、ガラスが割れた感じに空間の穴が大きくなっていて、これなら皆んな通れそう。
侍女さんズを呼び寄せて皆んなで仲良く手を繋いで渡りました。
向こう側に抜けてみると、そこは《薄暗い平原》の最初の場所。
森林エリアから出た草原地帯が続く場所でした。
あう、振り出しに戻ってきた?
❇❇❇❇❇
ダンジョン草原地帯
「ここってあの神殿ゾーンから500kmくらいか、それ以上に離れてる場所だよね?またスタートに戻ってきた??」
ここはあのメカ鯛女中さんと一緒にゾンビ神殿を目指した最初の場所だったはず。
メカ鯛女中さんに合掌。
さて、振り出しに戻ってしまったんですが、肝心のアルタクスさん達が居ません。
黒アゲハが何処かに隔離してしまった事以外は行方の情報がありません。
困ったなぁ。
パンッ
パシンッ
「ん?あぎゃ!!???」
私が悩んでいると、額に痛烈な痛み!?
何じゃこりゃあと辺りを見回すと、急に日影になりました。
それとともに鳥の羽ばたく音。
よく見たらその日影は鳥の形??
見上げたら何とペリーが羽ばたいて此方を見てました。
勿論その背中にはトンガリ頭ペンギンと銃マニアの雪ウサギが乗っかってます。
すかさず錬金ちゃんの後ろに隠れて奴の2次狙撃は免れたのですが、G13のクソ野郎はしっかりと私を狙ってました。
ぶっ殺す!
『おおいっ、大丈夫か?』
「あのさ、この状態の私が大丈夫に見える?」
そう言って前髪上げて、真っ赤なオデコを見せた私。
レオナルドも同罪です。
クソが!
『悪い、コイツが早く挨拶したいって言うからさ。気づいてないと思ったからいいかと』
「おい」
絶対にレオナルドは愉しんでます。
ペンギン料理ってどんなのがあるんだろ?
冷たい目の雪ウサギと合わせて不味そうです。
『オレ達はコッチ方面で桁外れに眩しい光を見つけて、それでここに飛んできたんだ。やっぱりカーナ達だったんだな。合流できて良かったぜ』
「良くない。出合い頭にビービー弾の餌食になった私の気持ちはどうするの?」
『そんな事より大事な話があるんだ』
「そんな事?ああ?!」
その瞬間レオナルドとG13にダブルラリアットをかました私は悪くないと思いました。




