第354話 ダンジョン異空間18(亀裂)
◆ダンジョン異空間
カーナ視点
「もう貴様に時間を割いている場合ではない。いつまでもこの空間をいつまでも彷徨うがいい!」
「はい?」
ブンッ
「!」
その瞬間でした。
黒アゲハの姿は、その背景と共に真っ黒に塗りつぶして消えたのです。
その後に辺りは真っ暗に閉ざされました。
私を消せないからって自分を消してどうするんですかって思ったんですが、冷静に考えれば彼女が転移したと考えるのが妥当でしょうね。
ようは私より優先しなければならない事態が生じた為、構っていられないというのが正確でしょうか。
逃げたな。
「錬金ちゃん、私達は閉じ込められたの?」
「辺りは閉鎖されたのは事実だよぅ。ただ閉ざされたというより、真っ暗な箱の中にいるようだよぅ」
「箱の中?なら、出るのは容易い?」
「多分」
よく見たら空間にヒビ割れがある?
ヒビ割れから見えるのはさっきの荒地の空間じゃない?
「綻び見っけ。そこから出れるんじゃない?」
「そうだねぇ。カーナのパワードスーツなら空間の綻びを壊せるかもだよぅ」
「そうと決まれば《蒸着》!」
シュオンッ
たちまちパワードスーツは私の身体に纏いました。
その間僅か1秒以下?
やっぱりナビちゃんの解説は聞こえません。
何処いったの、ナビちゃん?
(『とにかくココから出ましょう。侍女さん達は離れて』)
空間の亀裂側に居た侍女さんズ。
テリアさんはまだ立ち直れてない状況ですが、なんとか伽凛さんの介助で移動。
それを確認して亀裂に向けて武器を構えました。
ウインウインウインウインッ
「さて、武器を構えたけど何を撃てばいいの?」
「とにかく攻撃してみてよぅ」
とにかく攻撃か。
取り敢えず、どんな武器があるのかな?
山積みの取扱説明書は見たく無いしどうすればいいの?
「取扱説明書はボクが覚えてる。右端の青いスイッチが兵器選択スイッチだよぅ」
「コレ?じゃあ、ポチッとな」ポチッ
ビィンッ
するとモニター画面に装備兵器一覧が掲示。
これがこのパワードスーツの兵器なのね。
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❶バルカン砲
❷ロケットパンチ
❸ロケットランチャー
❹ホーミングレーザー砲
❺対艦要塞砲
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5個もあるけど順番に使えはいいのかな?
ロケットパンチって、あのロケットパンチ??
トールハンマーは対艦要塞砲なんだ。
私のパワードスーツは要塞?
うーん、考えない方がいいかな。
取り敢えず上から順番にやってみよう。
「えーと?バルカン砲発射!」
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリッ
「ひょえ?!」
私の言葉に音声認識みたいで即座に左腕が上がり、パカッと腕から現れたのはバルカン砲の砲身。
そのまま亀裂に向け一気に発射されました。
唸りを上げて発射されたバルカン砲。
約30秒後に停止というか打ち止めです。
弾無くなっちゃったけど?
「えー、どうなった?」
亀裂を見ましたが変化無し。
バルカン砲の弾は暗闇に放つと遥か彼方まで飛んでいる様子。
暗闇は箱なんだと思ったけど突き抜けてる。
ようは立派な異空間みたいで、亀裂が無かったら閉鎖されてる認識もない底無しの真っ暗空間みたいです。
さすがにそんな単純なものじゃない様子。
ちょっと厄介じゃない?
「これヤバいかも。本当に異空間に閉じ込められた!?」
続けて発射したロケットランチャーはミサイルの光が暗闇に消えるまで数分を要しました。
これで真っ暗な異空間に閉じ込められた事が確定です。
ええっ?!
「こんなの、何やっても駄目じゃない?」
「狙うのは空間と空間の狭間、亀裂の繋ぎ目だよぅ。そこに強力なエネルギーをぶつけて広げるしかないんだよぅ」
「わ、分かったわ」
という事は、トールハンマーを亀裂事態にぶつけて広げるしかないという事。
それしか方法が無さそうです。
「では、トールハンマー!」
ガチャンガチャンガチャガチャガチャガチャン。
さっそく右腕に現れた巨大砲身。
これがまさにトールハンマー。
私の最終兵器となります。
ターゲットは亀裂と暗闇の境界線。
さあ、閉鎖空間脱出となるか。
トールハンマー発射です。




