第353話 ダンジョン異空間17(緊急)
◆ダンジョン異空間
カーナ視点
ピロン
《稼働限界です》
プシューーーッ
「ああっ?!」
プシューーーッ
「うえっ!?」
結局稼働限界を向かえ、私達はパワードスーツから強制排出されました。
ようはもう喧嘩は終わりという事です。
だけど向こう側のパワードスーツから聞こえたAI?の声。
ウチのナビちゃんにソックリじゃなかった?
「ちょっと今の声は?わっわ!?」ガバッ
「貴様?私から離れろ!」ガスッ
「痛っ?!」
ナビちゃんかと思って黒アゲハのパワードスーツ側に近寄ったんですが、足を引っ掛け二人で転んでしまいました。
直ぐに退こうとしたら黒アゲハの奴、私の腹に蹴りを入れやがりました。
後方に吹き飛ぶ私。
ふざけんじゃねー。
「ちょっ、酷いじゃない?!」
「貴様と馴れ合うつもりは無い」
「はあ?」
何お高くとまってるんですかね?
私と何が違うっていうのよ。
色違いだけどさ。
「ナビ、もう一度ゴーレム達を呼び寄せろ!コイツを今消さねば後々の目障りになる」
「ちょっ、それ本人の前で言う?それよりナビって、まさかウチのナビちゃんじゃないよね?」
「うるさい!ナビは私のシステムだ。貴様なぞ知らぬぞ!」
「ナビちゃん私よ、カーナよ、返事してよ!」
「黙れと言っているのに!」
ビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッ
「な?!」
「緊急ブザー???」
其の時でした。
私達二人が言い争いをしていたら、突然に緊急ブザーのようなものが空間全体からしたんです。
え、何の緊急ブザーなの?!
ビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッビーッ
「って、めっちゃ煩い!?おまけにずっと鳴り響いてルんだけど???」
「ナビ、何があった!!」
ピロン
《緊急事態発生!緊急事態発生!緊急事態発生!コアが奪われました!システムがダウンします》
「何だと?!」
「ちょっ?システムって一体何の話なの??」
ズゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーッ
ガラガラガラガラガラガラッ
その緊急ブザーに慌てている黒アゲハ。
更に彼女の支配下にあるナビちゃんみたいな声が、コアが奪われたとか、システムダウンとか、訳の分からない話を連発中。
ちょっとついていけないと思っていたら、背景の空にいつか見たあの景色がありました。
どういう事?
「あ?!あれは神殿付近の空の景色???」
そう。
それはあの、巨大歯車群だったのです。
前に薄暗い平原の途中で見たヤツ。
それと全く同じ情景が目の前に繰り広げられていたのでした。
「崩壊が加速した!?おのれ人間どもが!!」
その空をやたら焦った目で見上げていた黒アゲハ。彼女は私から離れると空間から取り出したキーボード???を凄い速さで打ち出しました。
その目前には幾つものモニター画面が展開し、3D投影されてます。
ですが、そのどれも真っ赤な画面になっていて、画面上に映る景色はどれも、崩壊する歯車群が映っているようでした。
「ナビ、全域にリソースを展開!崩壊速度の算定をやり直せ!!それとコアの現在位置の把握だ。早く奪還しないと支えきれない!緊急フェーズを実施せよ!」
ピロン
《緊急フェーズに移行。全システム崩壊修復モードへ切り替えます。全システムオールレッド。通常補助業務、簡易アシスト業務、ステイタス開示システム、常時検索システムが閉鎖されます。緊急補助リソースタンク全解放。崩壊ポイントへの緊急供給を開始します》
淡々と聞こえるナビちゃんみたいな声?
だけど黒アゲハは私の事は勿論、そのナビちゃんみたいな声にすら、いちいち反応する時間を惜しむように、まるで機械並のスピードでキーボードを操作していました。
その額には汗が滴り落ちていて、一体どれだけの緊急事態が起きたというのでしょうか?
「崩壊って?」
「話かけるな!!」
めっちゃウザいって顔されました。
自分ソックリな顔であの表情は結構キツいものがありますよね。




