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第340話 ダンジョン異空間4(リソース)

◆ダンジョン異空間

ナレーター視点


黒ドレス妖精少女

「寒冷化で全ての生命体に危機が訪れ、真っ先に消える運命にあった人間達。お前達に我が母は慈悲と結界技術を与えた。だが留まるところを知らないお前達の欲望は我が母と仲間達を襲い、妖精族は滅んだのだ。だから私は、お前達人間に責任をとって貰おうと思ったのだ」パアッ


伽凛「ひっ!?」



そう言いながら手元を上に翳す黒ドレス妖精少女。その指先から現れた光はホール全体をモニター化した。

足元が消えて、空に投げ出されたような疑似体験に恐怖を感じて悲鳴を上げる伽凛。


映し出す映像は宇宙空間。

テリア達からすると、ダンジョン序盤に体験した宇宙列車を思い出す。

間もなく、その宇宙の星々が右方向に流れ、左側から現れたのは丸くて青い大きなもの。

テリア達には始めて見るものになる。



「これは惑星と呼ばれるもの。そしてこれが夜空を彩る光る星の一つにしか過ぎない。お前達には想像も出来ぬであろうが、その星の一つが我らの或る世界に匹敵するものであったりする。そして今現れたこの丸い物体こそ、我らの住まうラーデ・アテーナと知るがいい」

「「「?!」」」



ラーデ・アテーナ。

それはこの大陸の名前であり、テータニア皇国建国時の主神と崇めた、世界の創造神の名前だ。

皇国や周辺都市国家は現在、人間に結界技術を授けた|スプリング・エフェメラル《妖精女王》を主神としているが、双璧の神としてラーデ・アテーナも今だ信仰が厚い。

黒ドレス妖精少女は惑星の概念がない彼女らの為、その名前を惑星の名前として世界を語る事にしたのである。



メイ・オーガスタ(近衛制服女)「この丸いのが私達の世界だというのですか?」『きゅいきゅいきゅきゅい?』

黒ドレス妖精少女「信じなくとも良い。ただ世界の有りようを伝えているだけだ。そしてこれは1000年前の世界。此方が現在の世界になる」



今度は惑星と星が左に流れ現れたのは白い惑星。

左に青い惑星、右に白い惑星の映像が映し出された。

その白い惑星が現在の世界なら、1000年でこの世界が白く変貌した事になる。



「1000年が経ち私達の世界(惑星)は白い世界になった。全て寒冷化に包まれたわけ。何でこうなったと思う?それはリソース(生命力)が失われたからよ」

「「「???」」」




リソース(生命力)と言われても3人は分からない。

もちろん胸元の雪ウサギもだ。

だけど黒ドレス妖精少女は構わず話を続けていく。



「簡単に言うと《世界も生きている》のだ。私達は世界が生きる事で、その恩恵を受け生かされている存在。これは花や森、魚や獣、魔物や人間、妖精の私にも当てはまる。今あるこの瞬間、生命ある全ての生き物が世界に生かされていると知れ」



世界も生きている生命。

そしてそこに生きる生物もまた、世界に生かされている存在だという。

そうだとして、だから何だというのか。

3人は彼女の語りたい事が全く分からなかった。


その間もオルデアン姫の侍女テリアは、その黒ドレス妖精少女の後ろに控えるゴーストゾンビ少女に目線を向けたまま動かない。

そしてゴーストゾンビ少女は逆に、その目線から目を逸らしていた。

何とも微妙な関係だ。

そうしているうち、黒ドレス妖精少女は本題を語り出す。



「今世界は病にかかり、その生命力を急速に失いつつある。生かされていた私達は今こそ世界を救う為に生かされた恩恵を返すべきなのだ。そこでだ。お前達にゴーストゾンビになる栄誉を与えようと思うのだ」



何を言っているのだろうか。

黒ドレス妖精少女の言っている事は3人とって恐ろしい話に聞こえていた。

ゴーストゾンビになる栄誉と言ったが、つまりそれは3人にとっては死を意味するという事だ。

当然ながら制服女(メイ・オーガスタ)が真っ先に声を上げた。



「死にたくないので拒否します」

「お前達に拒否権があると思うか」

「って、テト(雪ウサギ)が言いました」『きゅいきゅいきゅいい(ゴクラク、ゴクラク)

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」



またしても雪ウサギの代弁をしたとする制服女。

そして雪ウサギは全く違う意味不明な言葉を相変わらず連呼している。

この女は何故に堂々と嘘をついているのか?

そして胸元の雪ウサギは何故に相変わらず悦な顔で意味不明な言葉を言っているのか?

黒ドレス妖精少女は混乱するばかりだ。


ただ黒ドレス妖精少女は《聖獣は尊重しなければならない》という戒律を自身に課していた。


つまり雪ウサギの言葉が意味不明な以上、万が一にも制服女と胸元雪ウサギだけが心通わせていた可能性も考慮しなければならず、その言葉を信じるしかないという事。

聖獣を尊重するという事は、そういう事になって話が進まなくなる。


仕方なく黒ドレス妖精少女は、制服女を説得する話をしなければならなくなったのである。


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