第338話 ダンジョン薄暗い平原の地下
◆ダンジョン薄暗い平原(地下)
カーナ視点
カツーン、カツーン、カツーン、カツーン
暗闇に響く足音。
その足音は地下に続く階段を歩いている私の足音であーる。
因みに私は裸足なんだけど、この階段は踏むとカツーンて音がします。
ウグイス階段か?
カツーン、カツーン、カツーン、カツーン
「いやいやこの階段、何処に続いているわけ?やったら長くて狭くて煩いんだけど」
錬金ちゃんについて平原の地下に潜ったんだけど暗くてよく分からないところを、ひたすらダラダラ降りてる今日この頃の私です。
階段は途中枝分かれしたところが幾つもあり普通は迷うところですが、錬金ちゃんは迷う事なく枝分かれした階段を選択していて、私は彼?彼女?に盲目的についていくしかありません。
ただ、枝分かれした階段側も興味津々。
進まない方の階段には何故か立て札が立っていて《東京都まで30Km》とか《ここから神奈川県》とかスッゴク気になるワードが日本語で書いてあって、つい足がソッチに向かいたくなるのはやむを得ない事でしょうか。
ぷかぷか飛んでる錬金ちゃんは一定のペースで前を先導してますが、夜目が効くのか迷う事なく進みます。
何か無性に横道に行きたい私はもう好奇心を止められません。
思わず錬金ちゃんに声かけしました。
「錬金ちゃん、この横道にちょっと行きたい。行っていい?」
私は立ち止まり、とある枝分かれした階段を指差しました。
その枝分かれした階段の立て札は《雷門まで30メートル》となってました。
雷門?
雷門っていったらアレですよね。
浅草三社祭じゃん!
「ソコ入ると落とし穴があるよ。落ちたら竹槍に刺さって痛い」
「は?」
「枝分かれした階段は全部罠。入ると罠に掛かるだけ。何にも良い事無いけど入る?」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ヤメトキマス」
いや紛らわし過ぎでしょ!
こんな《転生者ホイホイ》みたいな罠、いったい誰得なん!?
え、もしかして私を狙い撃ち?
ふざけんじゃねー。
因みにこの階段は妖精サイズ。
私達以外は歩く事もままなりません。
この階段の製作者は何時か私がここを通る可能性を予測してこれを作り出していたんでしょうか?
なんてピンポイントな嫌がらせ!?
トンデモねーな、おい。
「むむむ、この階段製作者は私の知り合いなのかも!?だけどそんな記憶は微塵も無い」
などと悩んでたら何やら前方に明かり有り。
お、ついに目的地に到着かと思ったら、目の前に現れたのはゴーストゾンビ少女の放置プレイ前に立ち寄ったあのギリシャ風神殿がありました。
え、戻れた?!
と思っていたら入り口に2号館の文字?
つまりあの神殿の2号館かい!
とにかくこれが、私達を分断した何者かの本拠地でしょうか?
一気にクライマックス、と眺めていたらチョイチョイって呼ぶ錬金ちゃんの姿。
呼ばれるままに付いていったら現れたのは壁一面の沢山な時計?
30センチくらいの学校教室にあるような時計が大量にお出迎え。
で、全部めちゃくちゃな時間を指してました。
何じゃこりゃって見ていたら、錬金ちゃんが一つの時計に触れました。
すると時計がブヨンって波打つじゃありませんか?!
まるで液体みたいに流動的な時計。
不思議だけど何の役に立つの?
意味が分かりません。
「この中に皆んなが居るよ」
「え、その液体時計の中に皆が居るの?」
「正確には中に入るとその場所に行けるの」
「成る程」
いわゆる転移門という事ですね。
なら、時計が表している時間は現地時間って事かしら?
中には時差があるくらい離れた時間差の場所もある様だし、差し詰めココは海外に行く為の空港みたいな場所だったと?!
「いや、マジ便利じゃない?すると、この数十ある時計はこの星の色んな場所に繋がっているの?素晴らしいわ!」
いやいや前世に欲しかった憧れの夢アイテム。
某アニメの《どこでもド◯》じゃね?
猫型ロボが出すというアレより時差が分かる分、コッチの方が優れています。
スゲー。
「とにかく皆に合流しましょう。錬金ちゃん、案内お願い!」
「はーい」
ビュウワーっ
こうして私達は一つの時計の中に潜り込んでいきました。
アルタクスさん、今度こそ会いにいきます。
カーナ行きまーす!




