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第336話 ダンジョン異空間(キラキラ)

◆ダンジョン異空間

ナレーター視点


黒ドレスの少女妖精?は、ベータマックスのテープを近くの本棚に入れた。

本棚には《断罪シリーズ》の棚番が貼ってあり、ベータマックスのテープは数十本もあった。

更にその横の棚には《赤いシリーズ》と書かれた棚に同数以上のテープ巻があったが、その内容は分からない。

側近の様な対応をする黒ウサギは頭を抱えた。



「何!?ビデオテープの最大保存期間が近づいているだと?何だそれは???」

『ゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョ』

「は?保存期間が20年から30年?!それを越えると再生出来なくなる恐れがある?何で今頃教えるの???!」



黒ウサギの助言で何か彼女に緊急事態が発生したようだ。

彼女は激しく吠えると、ガックリと地面につんのめった。


あまりに酷いズッコケ方に近衛隊の面々は直ぐに駆けつけて抱き留めたかったが、映画館のシートに付けられたシートベルトはロックされていて外れない。

そう、アルタクス達が気付いた時、彼らはホールのシートに拘束されていたのだ。


そして誰も助けにいけなかった彼女は、前のめりにオーバーにつんのめった。

そして直ぐに顔を上げたのだが、たっぷりの鼻血が痛々しい。


反応した侍女さん達があわあわして少女を助け起こしたいと思ったが、拘束されてる為に助けにいけない。

かなり残念な妖精少女だが、それでも何とか黒ウサギの取り巻きに肩を預けて立ち上がれた。

鼻血はティッシュを鼻に押し込んで、無理やり止めて事なきを得たようだ。

しかし出血多量のせいか顔が青く気分は最悪らしい。



『ゴニョゴニョゴニョ』

「何?取り敢えずブルーレイにダビングすれば大丈夫だと?ブルーレイはダビング出来るのか?!

しかもVHSよりも長時間録れてこのベータテープ全部録れる??何という事!さっきまであれはレーザーディスクの進化版かと思ってたぞ。科学技術は日進月歩だな。ならば直ちにダビングを開始するのだ。全部だぞ!!」



彼女はまるで日本の昭和時代に取り残されていたような反応だが、もう一度黒ウサギの助言を聞いて気を取り直したようだ。

再び高飛車な顔でホールの皆に向き直った。



「お前達、待たせたな。さあ、断罪の時間だ。先程見た通り、お前達人間は妖精女王の慈悲により結界技術を得て今日まで生き延びてきた。そこまでは良い。だが映像の通り、お前達は妖精女王の恩に仇で返した。人間共はいつの時代も自分達の事しか考えず人間以外の存在は搾取する対象と判断する。細々と倹約して生きれば妖精女王が渡した結界技術だけでも生きられるのに、より多くの富を求めるあまりに妖精国に攻め込んだのだ。挙句に妖精達を搾取し、女王に更なる結界技術を求めた。お前達の罪はその留まるところを知らぬ欲望にあると知るがいい!」



彼女は改めて先程の過去の事について、その意味をアルタクス達に激しく口上した。

映像が事実なら彼女の発言は最もな事。

ただ、近衛隊の中にはキョトンとして聞いている者も多かった。


その時である。

座っているアルタクス達の中で一人と一羽?手を挙げる者達がいた。

それは白いウサギの手と近衛服を着た一人の女性。

白ウサギは何故か、女性の服の胸部に首まで潜り込んでいたが、まるで女性に呼応するように前足()?を挙げていた。



ビククッ

「?!」



その状況に、黒ドレスの妖精少女はビックリしてやや後ろに後ずさっていた。

その背後の取り巻きであるサングラスをした黒ウサギ達も同様である。

これは所謂ちょっと引いた、というところだろうか?



「な、な、何だ、その手は!?」



彼女が引いた理由は一つである。

彼女の絶対支配下にある状況で、人間が雪ウサギと共に手を挙げている。

拘束され身動き出来ないはずなのに、何故か右腕をピンと垂直に手だけ挙げているのだ。


しかも手を挙げている当人はめちゃくちゃ目がキラキラしている。

まるでこれから、楽しい質問をして先生に褒めてもらうつもりの低学年小学生のノリである。


そのズレた感覚が彼女から伝わってきて、その余りのギャップにドン引きしたのであった。


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