第309話 薄暗い平原リターン4(放置プレイ)
◆ダンジョン✹薄暗い平原
カーナ視点
「ちょっと、それは契約違反でしょ?!早く皆を解放しなさい。せめて男子は全員、じゃ無かった、皆を解放して!!」
((アナタと何の約束もしていない。彼らの運命は女神様の領分。私には何の力もない⋯⋯))
「女神?!」
また女神というワードが出ました。
つまり、その女神というのが彼女の上司であり、このダンジョンのラスボスではないでしょうか。
ならば、その人物が全ての決定権を持っているのは自明の理。
「ならば、その決定権のある女神様?に会わせて貰えないかしら。直接私が交渉するわ」
((無理よ…⋯特にアナタは))
「へ?」
その微妙な発言はどういう事?
私は既に会う前から女神さんから面談拒否をされていたというオチなんでしょうか。
「いや、だとしても皆をそのままに出来ないわ。特にタモ網級イケメンのアルタクスさんとイケメン予備軍は私の大事な人達。ここは引き下がれない」
((それは私の関知する事じゃない))
ブゥーンッ
「あ、ま、待っ」
ヒューンッフッ
その時でした。
ゴーストゾンビ少女は瞬時に足元に魔法陣を描くと、その姿はこつ然と消えたのです。
ちょっと、あんまりじゃない?!
シーン
あとに残るは荒野に一人。
放置プレイは勘弁して下さい。
「何なのよ、コレ?カムバック・プリーズ!!」
何なのよ、⋯⋯⋯⋯
何なの⋯⋯
何な⋯⋯
あまりの無体に大声を張り上げましたが、帰ってくるのは山びこばかり。
完全に一人になってしまいました。
ヤバい、このままだと私、寂しさで死んじゃうかも!
フザケンジャネー。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
とはいえ見渡す限りの荒野の平原。
地平線の彼方まで、気持ちいいくらい何もない場所にたった一人で放り出されたのです。
本来はパニックになるところですが、私は意外と落ち着いていました。
「まあ、泣き叫んでも仕方ないし、取り敢えずこれからの事を考えよう」
こうして始まった私のお一人様サバイバル。
一人自炊は前世を思い出しましたが致し方ありません。
いやいやあの頃よりはまだまだマシです。
なんせ前世は、友人達が次々と結婚して家庭を築いていた中、三十路お一人様をヤッていましたから、あの頃に比べれば今は精神的苦痛は限りなく少ないといえます。
一応一歳?でまだまだ未来ある幼女ですし、ハッキリ言って余裕がメチャあります。
そう、あの頃は余裕もお金もありませんでした。
そして、毎日掛かってくる母親からのお見合い圧力。
いやね?あの頃は別にお見合いを全否定はしてませんでしたよ?
だけど三十路までお一人様してると今更面倒くさいというか、お見合い写真の相手男性達も皆んな残り物レベルというか、光るイケメンが一人もい無いじゃないですか!
はい、三十路お一人様で何ゼイタク言ってんだって世間は厳しく問いただしますが、それは私にとってはイジメでしかなく、本人を知らない第三者が勝手に私の身分を決めてかかっているだけです。
三十路だから適当に妥協しろ?
後が無いんだからゼイタクいうな?
本人はね、そーいうレッテルや押し付けは願い下げなんです。
後が無いから夢で過ごすんです。
下手な妥協するくらいなら岸壁から身を投げて星になります。
ても、理想の人は恋愛小説とかアニメや漫画の世界でいつでも会えてましたから、それなりに充実したお一人様ライフだったのではないでしょうか。
という事で、ずっとオタクの世界で夢を見てた前世の私。
だから何言ってんだというところですが、ようは今期の婚期は逃しません宣言なのです。
絶対にアルタクスさんとイケメン予備軍は何が何でも助けますし、勿論その他大勢も助け、たい。
助けますが、私の現状が平原での放置プレイなのは動きません。
どうにもならない今の現状、慌てても致し方ないので事態が動くまで待ちですかね?
そうこうしてるうちに傾く陽の光。
元々薄暗い平原ですが、白夜みたいに地平線スレスレには大陽があります。
それが更に傾き地平線に沈んでいくようです。
そうして夜が来て星が降り出しました。
こうしてアーだコーだと悩んで終わる平原の夜。
寂しいから誰か迎えに来て下さい。




