第30話 …忘れてませんか?
◆オルデアン視点
『顕現、お 煎餅の家!』
ボフンッ
きゃあ!?
御使い様が何か言うと、白い煙がいきなり現れたわ。
前に出された恥ずかしい、ウーブリエットのお部屋と同じ様な煙。
また何か出されたのかしら?
でも前のお部屋の様に、シテいる様子がお外から見えるガラス付きは嫌だわ。
御使い様が私の【お花詰み】に気づいて、ウーブリエットのお部屋の使い方を教えてくれたのだけど、最初はよく分からなかったの。
だって床に穴が無くて、かわりに白い石で出来た椅子があるだけ。
でも御使い様は、その椅子のフタを上げて、私に座るように言ったのよ。
椅子にフタがあるのは驚いたけど、中がくり貫いてあって、水があるのはビックリだわ。
これ、どうやって座るの?
これだと、お尻がお水に浸かってしまう。
あ、御使い様が、さっき上げたフタの後ろを倒してくれたわ。
二重フタになっていたのね。
ああ、これならお尻だけ穴に収まるわ。
それから御使い様は、【お花詰み】のやり方を、レバーを押す動作をしたりして、何とか椅子の使い方を教えてくれたの。
そしたら思いのほか、据わり心地が良くて、ついつい長いしちゃったわ。
けれど、私が終わった頃合いをみて、御使い様が何かを押したのよ。
すると、お尻にプシュッて、温かい水が当たってビックリして立っちゃった。
でも、御使い様が手で大丈夫って表現されたから、信じて我慢して座り直したの。
そしたら、意外!
なんだか慣れてくると、お尻に当たるのが気持ちよくで、何だか、ずっと座っていたくなっちゃって、ボーっとしちゃった。
御使い様は、頷いてお部屋を外から閉めてくれたのだけど、ガラスから御使い様の影が見えて、この扉は外から丸見えの扉だと分かったわ。
たがら急に恥ずかしくなって、パンツとドロワーズを上げて、慌てて立ち上がったの。
すると急に、頭に何かが当たってビックリして座り込んだら、御使い様がドアを開けて入ってこられ、何か箱のような物?を拾っていったわ。
その時、御使い様が何か言うと、その箱のような物が、御使い様の手元から消えたのよ。
私、またビックリしちゃった。
きっと、何か収納の魔法を使っているのかと思うのだけれど、魔石が見当たらないの。
もしかしたら御使い様は、魔石無しで魔法が使えるのかしら。
だとしたら、凄いわ。
だとしたら、凄いわ。
人間は魔石無しに、魔法を使う事は出来ないって勉強の先生達が言っていたから、やっぱり御使い様は凄い。
その後、御使い様は、【お花詰み】のお部屋にある大きい箱のような物を調べていたわ。
でも、最初に入った時はあんな箱は無かったの。
何か、御使い様が嬉しそうに触っていたけど、何に使うのかしら?
分からないわ。
其からは、驚きの連続だった。
ウーブリエットのお部屋は私が出た後、御使い様が手を掲げると消え失せたし、ちょっとケムイ煙がボカンって出たら、丸太を並べたお家が出来ていたわ。
御使い様が凄いスピードで、丸太を並べたお家の中に入って行ったから、私も恐る恐る、後から中に入って行ったの。
そしたら、御使い様が何故かお辞儀をして、満面の笑みで何か、言葉を言われたの。
『はーい、カーナ▪アイーハの新居によくぞ、来られました。歓迎致しますよ』
ああ、御使い様の言葉が解りたい。
御使い様と、ちゃんとお喋りしたいわ。
御使い様の言葉を勉強すれば、分かるようになるかしら?
◆◆◆
◆カーナ▪アイーハ視点
女の子を我が家に向かえて、一日が経ちました。
ログハウス内は至って快適で、私はついにベッド天国を味わう事が出来ました。
未だに気持ち良くて、お布団から出れません。
だって、このお布団、羽毛100%なんですもん。
寝心地、最高級ーーーーーーーーーーっなんですから!!
これ、買うと数万円はするんじゃないですか?
だって私のなんか、こんなミニチュアサイズの羽毛布団なんて、絶対、特注品に違いありません。
随分と贅沢な、お人形遊びになりますもの。
バーディ?バービー?天気予報?
まあ、どうでもいいです。
とにかく、このお布団から、出る事が出来ない、今日この頃です。
はい?
普段着のまま、寝たのかって?
そんな事はしませんよ!
ジャージです。
赤の体操着のジャージです。
何故か、折りたたんでベッドの上にありましたよ。
代えの下着も、ピーマのスニーカーもありました。
体が軽くて、空を飛べる気分でーす。
飛べますが。
はい、私のは、ちゃんと背中の羽根を出す穴付きでしたよ。
女の子の分もありました。
今日から二人はピルキュア!では、ありませんが、二人はお揃いです。
勿論、着替え方は私が披露しまして、何とか理解頂きました。
理解頂いたんですが、逆にドレスがヤバいです。
めちゃくちゃ脱がせずらい。
コルセットなんて、こんな小さいうちから付ける意味、あるんですか。
正直、呆れますね。
しかも、あんなにキツく締めて付けるなんて、内蔵を圧迫して健康被害になりますよ。
何なんですか、この世界の衣料は。
やっぱり、オールラウンダーのジャージは最高です。
あ、実は、この馴染みのジャージ。
語源があるんですよ。
ジャージ”とは本来はイギリス ジャージー島で作られていた厚手の天竺編のニット生地のことです。
現在ではスポーツ衣料やカジュアル衣料のニット製品のことを指すようになっています。またニット生地のこともジャージと呼ぶことがあります。
まあ、繊維業界の用語として、曖昧な表現になったようですが、日本における当て字みたいな感じでしょうか。
だから体操着イコール、ジャージで構いませんね。
どちらにしても、今後はジャージでいきます。
色気がない?
元々です。
ハリー・ホットケーです。
耳糞味ってどんな味?
誰か教えて下さい。
どうでもいい?
そうですか。
ところで、このログハウス。
キャンプ場宜しく、トイレもお風呂もあません。
これは、プライベートルームを出しておけと、いうことですね。
分かりました。
あ、また煙が出るんでしょうか。
でも、亜空間収納に入れてある訳ですから、スキルは常時発動状態の筈、大丈夫ですか。
プライベートルーム、出ろ!
ああ、良かった。
頭で念じるだけで、出でまいりました。
このまま部屋の隅部屋として使えは 、いいんですね。
こんな事なら、最初から設置済みの家をスキルとしてくれれば良かったんですよ。
間取りごとに切り売りスキルなんて、めんどくさいです。
さて、いつまでも寝てる訳にもいきません。
ジャージパーティーは終わりにして、本格的に女の子と意思疎通を試みましょう。
あら、まだ寝てますね。
やっぱり、だいぶ疲れていたようです。
お話しは、起きてからにしましょうか。
はて?
また、何か忘れているような気がするのは気のせいでしょうか。
んん?
そういえば、昨晩、ログハウスのドアを叩く不心得者がいましたけど、『勧誘お断りよ、一昨日来やがれです』って言ったら、静かになったんですよ。
まあ、どうでもいいでしょうね。
皆さま、わたくし、カーナのお話しを見に来てくれて、ありがとうございます。
今後も、私の独りよがりな、恥ずかしい私生活を公開して参りますので、何卒、今後も御贔屓の上、応援お願い致します。
なお、お星さまを沢山付けて頂けますと、私の生活も充実いたしますので、宜しくお願い致します。




