第293話 ???16(ゴムゴムのー)
◆ダンジョン✹???
カーナ視点
モグモグモグモグモグモグモグモグッ
チーン
「加工完了したよ」
「早!?」
「直ぐに施工するよ」
「お願い」
ピョンピョンピョンピョンピョンピョンピョンッ
「はい?!」
錬金ちゃんは暫しゴムの木をお口?でモグモグしてましたが、3分きっかりに電子レンジ終了みたいな音がして加工が終了したようです。
案外早い。
そんで施工するって言って、重力を無視した動きでノアの方舟の外壁に取り付きます。
そして、あれよあれよと凄い速さで高さ十数メートルあると思われる外壁をピョンピョン登っていきました。
スパイダースライムじゃん?!
因みにノアの方舟は全高全幅が十数メートル、全長が100メートルくらいとかなりデカい代物です。
当然前後は既に狭まるプラズマに触れており、バチバチと火花が散ってます。
木造船ですから、このまま何もしなければ私達より真っ先に炎上黒焦げになって、せっかくのノアの方舟が消滅の危機。
錬金ちゃん、どうするのかな?
「カーナ様、何をしているんですか?」
『主、この非常時に何をしておるのだ?』
えープラズマが迫り事態が逼迫する中、ノアの方舟呼んだり錬金ちゃんに指示したりしてた、他者から見たら意味不明行不審者にしか見えない私に心配した一人と一頭が声を掛けてきました。
つまりタモ網級アルタクスさんと駄犬のヒューリュリ様です。
皆さん、この絶体絶命の状態で脱出方法を議論してたようですが、打開策が見つからず私の行動が気になったというところでしょうか。
まあ議論の結果は惨憺たる状況で先ほどもアルタクスさんが炎の魔剣でプラズマに挑み、ヒューリュリ様が風の刃をぶつけてましたが結果は無駄に終わってます。
そんな中、私が脱出に向け何らかの打開策を出したのではないかと希望的憶測も兼ねての声かけでしょう。
ふふん、やはり真打は私なんですね。
では皆の期待に答えてあげますデスデス。
脱出できたご褒美は何を要求しましょうか。
今からワクワクが止まりませんよ。
ムフフムフフムフフフフッ
「カーナ様?」
『主、何を気持ち悪い笑い方をしておるのだ?』
「ムフフ、まあいいじゃない。アルタクスさん、ヒューリュリ様も脱出手段が見つからずに私に打開策を求めに来たんでしょ?」
「はい、もう我々でこの牢獄を抜けるのは難しいようです」
『そうだ。其処で異常行動してる主が気になって声を掛けたという訳だがな』
「誰が異常行動じゃい!」
最近ますます嫌味に磨きが掛かったヒューリュリ様。日頃のお返しというところでしょうか。
あとでお仕置きを考えておきましょう。
先ずは皆の心配を払っておきましょうか。
「オホンッもちろん私の行動は異常行動ではなく、全てはこの牢獄からの脱出の為の行動です。皆さんの期待を裏切るような事はしませんわ」
はい、私は自身の髪をサラッと撫でながら悪役令嬢的返しで不敵に回答してあげました。
全てはざまぁに向けた布石ですわよってね!
オホホホ。
パアッ
「ではカーナ様、この浮かんでいる船?のような建造物もその脱出の為のもの何ですか」
「あう?!」
アルタクスさん、必殺スーパーイケメンナチュラルスマイルで私を魅了いたしました。
流石はタモ網級イケメンの威力です。
クリティカルヒットで私の心臓が持ちません。
もう駆け引きも何もありませんわ!
その瞬間、私は思わずこれまでの経緯を全て暴露していました。
スーパーイケメンスマイル、恐ろしいわ。
「素晴らしい!カーナ様、私達の為に有り難う御座います」
「あう、アルタクスさんの為なら何でもやり遂げる自信はありますわ」
『主⋯⋯⋯』
「ヒューリュリ様、シャラップですわ!」
呆れ顔で私の心の内を知るヒューリュリ様。
口は災いの元ですわ!
「ではカーナ様、今はその新しい眷属のレンキン様?の報告待ちというところでしょうか?」
「そうなりますね。さっき方舟に登っていったばかりだから、報告はもうちょい掛かるかしら。報告がきたら全員乗り込み脱出できると思うわ」
とはアルタクスさんに言ったものの、錬金ちゃんに施工完了予定を聞いて無かったのは失敗でした。
目の前のプラズマはゆっくりですが確実に迫っていて、私も気が気ではありません。
錬金ちゃん、まだあ!?
ドプッ
「へ?!」
と、錬金ちゃんがノアの方舟に登ってまだ五分くらいですが、方舟の上の方から黒いゼル状の流体が流れてきました。
どっぷりとしたタール状のそれは、かなりの早いスピードで方舟を黒く染めていったのでした。
え、これは錬金ちゃんの仕業なの?!




