第286話 ???9(怒り)
◆ダンジョン✹???
カーナ視点
アルタクス「我々の仲間を返してもらう!」
ギュンッガガンッ
ガキキキンッ
ゴーレムA((何だべか?オラ、攻撃を受けているべ。排除したいが手に持ってるのが邪魔で上手く手を振り回せないだべ。放り投げるべ))ググッ
テリア「ああ?きゃああ!」
アルタクス「な?、止めろっ!!」
ああ、大変な事になりました。
緑ゴーレムがオルデアンちゃん侍女さんを持ったまま大きく振りかぶってます。
まさか野球選手の如く、オルデアンちゃん侍女さんを投げるつもりじゃないですよね!?
万が一そんな事をされたら、生きてる人間ならとんでもないGがかかるだけじゃなく、地面に叩きつけられてバラバラになってしまいます。
アルタクスさんが必死に攻撃してますが、ゴーレムの防御が硬すぎでダメージが全く通りません。
これは間違いなく緊急事態。
何とかしないといけません。
「ヒューリュリ様、レオナルド、テバサキでもいいわ!あの侍女さんを助けなさい!」
テバサキ「コケケ?コケコーケ!」(無理無理、押し潰されちゃいます)
テバサキ奥さん「コケケコケ」(旦那さんと同意見です)
レオナルド『あ?オレ?余裕で拒否るわ。人助けはオレの主義じゃねーからな』
雪ウサG13『⋯⋯⋯⋯⋯』カチャ
ヒューリュリ『分かった主、我がやろう』
結局ヒューリュリ様だけ残りました。
雪ウサG13に至っては、私に銃口を向けて拒否りました。(向けんじゃねーよ!)
最初からヒューリュリ様だけ声かければ良かったと後悔した私です。
「行きなさい、ヒューリュリ様!侍女さんを助けるのです」
『分かったのだ!』
時々駄犬とはいえ、基本忠犬でもあるヒューリュリ様。そこは絶対の信頼をしています。
ピロン《その割に酷い仕打ちしてますが?》
ナビちゃん、シャラップ。
そして直ぐに緑ゴーレム前に飛び出したヒューリュリ様。
すかさず体当たりを敢行です。
あ、弾きかえされた?!
直ぐに引き返してのヒューリュリ・キック。
うーん、ゴーレムにノーダメージ。
流石に魔法無しのヒューリュリ様は最初から無謀ではありましたか。
あ、今度はアルタクスさんとの連携?!
ヒューリュリ様にアルタクスさんがまたがり、エンチャントした炎剣でゴーレムの頭に肉迫。
おお、ゴーレムがヨレて尻もち付きました。
初めての効果アリ!
ヤりました。
全てはアルタクスさんの手柄ですね。
ピロン《⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯》
だけど、ゴーレムはオルデアンちゃん侍女さんを手放しません。
ああ!?
オルデアンちゃん侍女さんがついにグッタリしてしまいました。
まさか、このメンバーから初めての死者が出てしまう?!
異変に気づいた、それぞれでゴーレムに対処していた近衛隊の面々もざわつき出し、織姫ちゃん侍女さんがご友人の危機に、恐怖を押しても慌てて駆け寄ってきます。
これ以上は時間を掛けられません。
どうすれば!
緑ゴーレムA((面倒くさいだべ。これ以上、わいに攻撃するなら、この人間、握り潰すべ))ググッ
アルタクス「な?!」ザザッ
ヒューリュリ『チッ、ガラクタの癖に悪知恵が回るのだ』シュタンッ
ちょ、それは怒涛のミスジ学園になっちゃうから??駄目だから!
マジに誰か何とかしてーっ?!
カンコン、カン、カカン、コンカンッ
アルタクス「は?」
ヒューリュリ『何?!』
カーナ「ほえ?」
正にその時でした。
緑ゴーレムがオルデアンちゃん侍女さんを握り潰そうとした瞬間、その回りを目にも止まらぬ《何か》が駆け抜けたのです。
すると緑ゴーレムは動きを止めて固まりました。
つむじ風の如きソレは、駆け抜けた後に緑ゴーレム足元に実体化して止まりましたが、それを見て更にビックリです。
何とその《何か》は、あのプラスとマイナスドライバーを両手に持った、ゴーストゾンビ少女でした。
ええっ?
ライラ((そこの兵士、受け止めて))
アルタクス「!」
ヒューリュリ『何?』
バラバラバラバラッ
ガランッガランッ
ああ、緑ゴーレムの片腕がバラバラに分解されていきます。
やがてオルデアンちゃん侍女さんを掴んでいる手のひらまで分解が進み、解放された彼女が落下してきます。
すかさず、その下に待ち受けるアルタクスさん。
ひゅーん、バサッ
アルタクス「っ、テリア!!」
テリア「⋯⋯⋯⋯⋯」
アルタクスさん、オルデアンちゃん侍女さんをナイスキャッチ!
良かった。
意識は無いようですが、アルタクスさんから大丈夫のゼスチャー。
気絶してるだけのようで安堵でした。
((あ、何で、マスター???))ガクガクガクッ
((お前、やり過ぎた。許さない))ギラッ
と?
ゴーストゾンビ少女の目が赤に染まり、真っ黒な怒りのオーラが上がりました?!
これは威圧?
強力な魔力による威圧が彼女から発せられてます。
だけどそれは、私達に向けられたものではありませんでした。




