第277話 薄暗い平原(ゴーストゾンビ少女3)
◆ダンジョン✹???
ナレーター視点
オオオオーッ
突然大声を上げる《彼女》。
どうやら少女の言う人物に思い当たる事があるようだ。
依然として《彼女》と呼ぶしかない人物は、黒い羽根をバタつかせ、必死に自身の興奮を抑えようとしていた。
背後の黒いオーラが激しく鳴動、再び天変地異を呼ぼうとしているのを抑えたいようだ。
『これ以上、無駄に力を振るう訳にはいかない。あの出来損ないが戻ってきた?しかも私の宝を奪った上に、ダンジョンの秩序をことごとく乱す人間共に加担し彼の地を目指しておるというのか。おのれ、許さんぞ出来損ない!』
《彼女》はより黒いオーラを取り込み、その表情は殆ど読み取る事が出来なくなった。
より黒になった《彼女》は、まるで全身で怒りを表現しているようだった。
((いえ、奴らは先行する連中を追って))
『いいだろう、私が直々に相手してやる』
((え!??))
『奴らをこの地に案内しろ。私が直接に相手をしてやる。人間共と一緒に、新世界創造の糧にしてやろう』
((その、❇❇❇❇様、本気ですか?))
『私の大事なお宝が奴の手元にあるのだ。これ以上の蛮行は許さん!私自ら引導を渡してくれる。ゴーレム団を召喚せよ!』
((え?ゴーレム団を、ですか?!))
『聞こえなかったか?私はゴーレム団を召喚しろと言ったのだ!』
((過剰戦力です!この地が破壊されてしまいます))
『ふん、この地は私が作った仮初めの地。あくまで世界の因果律を改変する為作り上げしもの。破壊されても瞬時に修復する。何の問題も無いのだ。お前はサッサと召喚すればいいのだ。私は奴らを魔法陣でココに転送する』
((わ、分かりました))
そう言われたゴーストゾンビ少女。
その姿は間もなく風になって消えた。
《彼女》は頷き、天空に向かい何かを描くような仕草を始める。
果たして《彼女》は何者なのだろうか。
そしてゴーレム団とは何なのか。
消えたゴーストゾンビ少女は何処に行ったのか。
怒涛のクライマックスに向かい物語は、一気に加速する事になるのである。
※※※※
ダンジョン✹薄暗い平原
カーナ視点
バサッバサーッ
ドスドスドスドスドスドスドスッ
パタパタパタパタッ
シュタシュタシュタシュタッ
砂塵を舞い上げ突き進む私達は《オルデアンちゃん織姫ちゃん救出部隊》として再編成を完了しました。
以下の通りです。
①ステルス偵察爆撃機の怪鳥ペリー。
(搭乗員▶スナイパー雪ウサG13、偵察連絡係フン・ボルト・レオナルド)
②強襲揚陸艦ペリ馬鳥7羽。
(搭乗員▶近衛隊7人と衛生兵見習いの元メイド2名、記録係り雪ウサ・テト)
③陸戦遊撃戦闘車両ヒューリュリ。
(搭乗員▶私)
④近接偵察車両テバサキ。
(搭乗員▶テバサキ奥さん?)
⑤重機動水陸両用型バーサーカー鯛女中頭。
(部隊主力秘密兵器)
と言う訳で、それぞれに役割に応じた配列としました。
基本、前衛は飛べるステルス偵察爆撃機怪鳥ペリーになりますが、平地の部隊の前衛は陸戦遊撃戦闘車両のヒューリュリ様と私になります。
こうしたのは、度重なるゴーレムの襲撃に対処する為であり、私の嗜好的欲求を満たす為でも何でもありません。
念の為。
ヒューリュリ『主、我は別に乗り物でも何でもないのだが⋯⋯』
カーナ「今は私の乗り物です。だから乗り物は喋らない。判った?」
ヒューリュリ『はあ、相変わらず主の考えは突拍子もないのだ』
レオナルド念話(『おい、今のところお前らの前方には危険は無いな。そのまま真っ直ぐ進めば問題ないぜ』)
カーナ「了解。引き続き哨戒に務めよ」
レオナルド念話(『あのなぁ、そのショウカイとかテイサツとか、訳分からない言葉を使う必要があるんか?』)
カーナ「あるから使ってるの!軍には規律が必要ナの。こうした応答は絶対なのよ」
レオナルド念話(『はあ、そういうもんか?俺は何でも構わないと思うが?』)
カーナ「だったら私の言い方に従いなさい。何でも構わないんでしょ」
レオナルド念話(『はあ、判ったよ。んじゃな』)
カーナ「はい、通信終わり」
ヒューリュリ『ツウシン?念話ではないのか?』
カーナ「はい、乗り物は喋らない!」
ヒューリュリ『⋯⋯⋯⋯⋯⋯』
テバサキ「コケコケコケケコケケ?」
カーナ「はい、アンタも喋らない。喋っても何となくしか分からないから喋らんでヨロシ」
テバサキ「コケ〜⋯⋯⋯」ガクッ
テバサキ奥さん「コケコケ」
カーナ「はい、奥さん何です?え?卵を今度は何処に産めばいい?知らんがな!」
てな具合で、様々に混成部隊な私達。
目的地まであと数十キロメートル。
私達の作戦概要はゴーレムの襲撃を躱しつつ誘拐犯人を撃退してオルデアンちゃん達を救出、そして速やかにダンジョン脱出を図る事で作戦終了です。
それで私達の《ダンジョン旅》も終わる、かな?




