第27話 ▪▪▪▪▪の家
『きゃあああ～っ！？』
「一体、何事？！」
プライベートルームから、女の子の悲鳴が上がりました。
プライベートルームには、特に何もないはずです。
ボットンではないですから、手が出てくる事も在りません。
あれは、ボットンの暗闇が怖い子供達の創作です。
まあ、地方のキャンプ場なんかなら、まだ残ってますかね。
とにかく悲鳴ですからドアを開けちゃいますねって、固くて重い！
やっぱりサイズアップは、物理で質量、重量が増えるんですね。
謎です。
おっと、そんな事はどうでもいいのです。
今は、要救護者の救出が最優先…なんですが、この見上げるジャバラ式のドアがどうにも開きません。
こなくそーって、また、乙女が汚い言葉を使ってしまいました。
あ、思ってるだけは、使った事にはならないからセーフですか。
うーん、どうしましょう？
「まさか、【開けゴマ】で開いたりしないよね」
ギギギギギギッ
…開くんかい！
しかも、やたら貧乏臭い音で開きましたよ、このジャバラ式。
一応、音声感応式自動ドアという事にしときます。
ハイテクですね。
さて、この件はさらっと流して、女の子です。
んん？
女の子は床に座り込んでますね？
あ、女の子の後ろにバスタブがあります。
嬉しいーーっ、ついに湯船に浸かれます。
おお、しかもホーロー製です。
ツルツルピカピカ、肌触り最高！
あら？
湯船の内側に、アチコチ穴が空いてますよ？
変な湯船ですね。
んんん？
判らないです。
家のお風呂には穴はなかったですから、後で要検証ですね。
『う、うう』
ああ、また、女の子をほっといちゃいました！
ホットケーキは熱い内に喰え！
ホットケーッ……すみません。
また、脳内駄洒落が炸裂しました。
え？
おもいっきり、ハズシてる？
そうですか。
さて、女の子ですが、頭を抱えて座り込んでおります。
でも外傷も無いようで、何かに驚いただけみたいです。
大丈夫の様ですね。
おや？
女の子の周りに、何か落ちてますね。
小さい紙製の小箱でしょうか。
３個位ですかね。
なんか、絵や文字が書いてあります。
日本語です。
【草津の湯】
…これって《《入浴剤》》、ですかね。
他は…【別府の湯】、【下呂の湯】。
なるほど、バスタブ温泉セットとは、バスタブに入浴剤が付いてる事だったんですね。
なんだ、そうだったんですか。
私ったら、直接、自噴温泉を期待してたものですから、ちょっとガッカリ、いや、かなりガッカリですわね。
はぁ…。
まあ、いいですわ。
後で試してみますから。
え、結局、入浴剤を使うのかって？
当たり前じゃないですか。
有るものは使わなくっちゃ、勿体ないオバケが出ちゃうでしょ。
餅のロンですよ。
はい、私はパタパタと飛び上がって、女の子の手を取り、プライベートルームから二人で退出です。
なんだか、連れショ…見たいですが気にしない。
はい、ルームを亜空間収納っと。
女の子が目を見開いてますが、ホットイテネ。
また、お花摘みの時はガマンしないで言って下さいねって、言葉が通じないのはホント、不便っです。
さて、女の子とちゃんと対面はお初ですね。
先般は、直ぐに抱っこちゃんだったので、対面もヘッタクレもありませんでしたが、こうやって女の子の顔の高さで飛べば、ちゃんと目線で話しができます。
あら？
さっきから飛んでいるのに、まったく疲れを感じません。
前は、このぐらいの時間でフラダンスだったのに、いまはＡＩの自動運転並みに問題なく飛んでます。
これもレベルが上がったからでしょうか。
何にしても良いことです。
今なら成層圏まで一飛びでいけそうな…訳ないですよね。
とにかくまさにムーンウォーク、キャハハッ、た～のしいーっ。
はい、空中回転、はい、八の字飛行、はい、ブルーインパルスーっ、ほ、急停止、はい、急降下……。
オェっ…。
急降下は、封印っと。
は？！
また女の子を忘れていたわ。
はい、今度はちゃんと話しましょう。
私は、女の子の目線の高さでホバリングです。
あら、女の子は片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、背筋は伸ばしたまま 両手でスカートの裾を軽く持ち上げているわ。
これは、なんのお辞儀かしら？
あ、イギリス王室のお辞儀に、こんなのがあったかしら。
ええっと、そうだわ。
カーテシーとかいうお辞儀のやり方があったわね。
きっとそれだわ。
まあ、可愛いお辞儀だわね。
それじゃ、私も空中からスカートの裾を持ってと、はい、出来た。
ふふ、失敗すると思った其処のあなた、残念でした。
もう空中では、私に死角は無しですことよ！
嘘？
そうだわ、ソースでした。
急降下は封印でした。
また、虹を吐いちゃうもんね。
『皇国の守り神【スプリング・エフェメラル】様の御使い様とは知らず、無礼の段、ご容赦下さい』
まあ、女の子が何か言って、お辞儀したままだわ。
急にどうかしたのかしら。
そんなにかしこまってお辞儀されても、私、神様じゃないのだけれど。
どうしましょう。
んんん、そうだわ。
取り敢えず、お茶でも出そうかしら。
ちょっと渋いのが良いのだけれど、どうしたものかしら。
あ、それ以前にお茶はなかったのでした。
困りました。
お茶も欲しいし、お茶請けのお煎餅が欲しいわ。
勿論、ケーキもあった方がいいわよね。
やはり午後のティータイムでしょ。
勿論、朝の食後のティーも、欠かせないわ。
ピロンッ
『スキル▶【お煎餅の家】が、開放されました。お茶の苗木が召喚可能になりました』
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
名前▪▪▶カーナ▪アイーハ(異世界転生者)
レベル▪▶１０(？)
種族▪▪▶花妖精(新種族)
羽根▪▪▶銅色
容姿▪▪▶金髪▪碧眼▪白い肌▪長耳
衣服▪▪▶春のワンピース(淡ピンク)
性別▪▪▶女
年齢▪▪▶１歳(寿命未設定)
身長▪▪▶１０cm
体重▪▪▶秘密
バスト▪▶絶壁(成長次第)
ウエスト▶これから(さあ？)
ヒップ▪▶まだまだ(ガンバ)
特技▪▪▶タンバリン応援(？)
スキル▪▶亜空間収納
スキル▪▶銅鱗粉【成育空間システム化】
スキル▪▶種▪球根召喚
スキル▪▶【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】直径５０m
スキル▪▶バスタブ温泉セット(バスタブ大きさ変更可能。使う者のサイズに合わせ、自動でサイズアップ)
スキル▪▶ご褒美セット
スキル▪▶【お煎餅の家】
スキル▪▶テイマー
従魔▪▪▶聖獣フェンリル(個体名ヒューリュリ)
召喚可能▶ガーベラ◇チューリップ◇オオイヌノフグリ◇フリージア◇エーデルワイス◇菜の花◇ヒヤシンス◇大根の花◇大根(根)(ぬか漬けセット付)◇向日葵の種◇お茶の苗木
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
は？
今のは何？
ピロロンッ
『スキル▶【お煎餅の家】が開放されました』
「はあああああーーーーっ！？」
そこは絶対、《《お菓子の家》》じゃないの？！
皆さま、わたくし、カーナのお話しを見に来てくれて、ありがとうございます。
今後も、私の独りよがりな、恥ずかしい私生活を公開して参りますので、何卒、今後も御贔屓の上、応援お願い致します。
なお、お星さまを沢山付けて頂けますと、私の生活も充実いたしますので、宜しくお願い致します。
