第257話 大草原6
◆ダンジョン✹大草原
カーナ視点
ザザッ
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
分かりきった事ですが、転移後の場所には何の痕跡もありませんでした。
だからといって諦めるつもりはありませんが、闇雲に動くのも意味がありません。
ここは落ち着いて一旦思案のしどころでしょう。
「そうだ、ナビちゃん?!」
となれば頼みの綱はナビちゃんです。
ナビちゃんなら、きっとこの状況の打開策を私に示す事が出来るはず?
すうっ
「ナビちゃん?いる??」
ピロン
《こんにちわカーナさん。何かご用でしょうか》
いや、普段はトーとつに話かけてくるのに、コッチから話すと何かスマホのAIみたいな返答。
これが本来の反応なんでしょうか?
「その、この場所にある転移反応を追跡して貰いたいのだけど」
ピロン
《魔力残滓の追跡ですね。最適なアプリをご紹介致します》
「いや、スマホ無いから無理」
ピロン
《こんにちわカーナさん、何かご用でしょうか》
「待てや。さっきの依頼、まだ解決してないわよ?!」
ピロン
《お話が見えません。再入力をお願いします》
「⋯⋯ナビちゃん、ワザとヤッてる?」
ピロン
《⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯》
「ナビちゃん?」
ピロン
《こんにちわカーナさん。何かご用でしょうか》
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
ナビちゃん、もしかして私からの依頼に対応出来ない?
だけどマトモに《出来ない》とはプライドが邪魔して言えず、やむなくAI返事で逃げてるとか?分かりづらい反応しないで下さい。
「はあ、ナビちゃん?分からないなら分からないって言うのも大事よ」
《こんにちわカーナさん。何かご用でしょうか》
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
駄目だこりゃ。
ナビちゃんがポンコツになってました。
つまりオルデアンちゃん達の追跡が出来ないという事です。
どうしましょう。
「は?!そういえば、乙姫ちゃんの玉手箱!」
えー乙姫ちゃんに織姫ちゃんが、ピンチの時に開けなさいと渡された玉手箱が有ったんです。
織姫ちゃんに渡された物でしたが、彼女が手に持って歩くのも大変として私が亜空間収納に預かっていたのでした。
どんなピンチ用か分かりませんが、織姫ちゃん達が拉致されてるのですから既に立派なピンチです。
これは玉手箱にすがるしかありません。
「南無三!お婆さんは勘弁です」パカッ
ボフンッ
さっそく亜空間収納から玉手箱を取り出し、封を解いてそのフタを開けました。
やはりというか、ヤッパリ白い煙が上がり辺り一帯が煙幕で包まれます。
いや煙いから止めて欲しい。
は〜ははきましーた♫
きょうもきーた♪
このがんぺーきにきょうもきーた♫
「んん?」
突然に演歌が流れました。
綺羅びやかな和服姿の何者かが、ゆっくりと地面から現れます。
はいぃ?!
ガキョンッガキョンッガキョンッ
ピカッピカッピカッピカッ
ウィーンッガチャガチャガチャガチャガチャッ
ピロン
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⚫メカ鯛女中頭スペック
設計※※※※※▶サイボーグ1号タイプ
表面装甲※※▶ブリキ1・2mm程度
遠距離攻撃 ▶光子力ビーム(目からビーム)
動力※※※※※ ▶アトム型魔石原子炉(手塚さん監修)
メモリー※※▶MINISDカード128G
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頼んでも無いのに再びナビちゃんからメカ鯛女中頭さんのスペックデータがステイタス画面に表示されました。
表面がブリキで目からビームで動力がアトム型魔石原子炉、メモリーがミニSDカード128Gと前回スペックから変わりません。
メモリーは1TBくらいにすればいいのに、じゃなくって、ピンチの玉手箱から何故にメカ鯛女中頭さん???
((ピンチはチャンス。チャンスは希望。メカ鯛女中、只今推参))
ビシッと手に持つ扇子を決めるメカ鯛女中頭さん。
ええ、私にどうしろと?!
((助っ人に来ました。何なりと申し付け下さい))
「あう、お久しぶり、です」
え?!
ピンチの玉手箱って、メカ鯛女中頭さんが助っ人に来る事だったの?




