第252話 大草原
◆ダンジョン✹大草原
カーナ視点
「もしやヒューリュリ様では！？ちょっとペリー、この辺りに降りられる？」
「グワワワッ」
「よし。じゃ、お願い。皆んな、降りるわ！」
私の声に全員が頷きました。
気持ちは皆一緒のようです。
私の依頼を受諾したペリー、旋回しつつ着陸態勢に入ります。
と、その時でした！
ギガッ
一条の閃光がペリーの羽根を掠めました。
激しい揺れに全員必死にペリーに掴まります。
一体何が？！
「ってペリー、大丈夫なの！？」
「グ〜っ！」
「「「「きゃああああーーーーーー？！」」」」
「モキューーーーッ！！」
緊急事態です！
ペリーが先程のビームの洗礼を受けました。
羽根が痛いのか、明らかに今までの羽ばたきとは違い顔に苦悶が覗きます。
まもなくペリーは羽ばたけなくなり、グライダー状態となって急速に高度を下げていきました。
キィイイイーーーーーンッ
ヒュウウゥーーーーッ
「お、落ちる？！ペリー！」
「グワワ、ワ、グワ」
「きゃああああーっ？！」
「落ちるのじゃ！」
「モキュモキュモキュキューーーーッ！」
「ララちゃん？きゃああ！」
「ヒャアあぁい！？ララ、ちゃんくん、恥ずかし、ながら、丸まって、私達を？」
※※※※※
ヒュルルルルるるるるーっ
ぼーーーンッボン、ボボン、ボ、ボンボンボン。
ゴロゴロゴロゴロッ
シーンッ
モコッ
モコモコモコッモコッ
「モキュキュウ！！」ババーンッ
「ぶは？！」
「きゃあ！？？」
「ヒャい、ココは何処じゃ？！」
「ララちゃん？きゃう！？？？」
「恥ずか、し、ながら、何処？？」
えーっ、一瞬訳が分からなかったんです。
現在私達は見渡す限りの草原地帯、そのど真ん中に立っているようです。
ララちゃんくんの咄嗟の機転により、文字通り丸め込まれた？まん丸ララちゃんくん肉詰めで、ポヨンボヨンを味わいました。
え？
はい、ポヨンボヨンボヨンボヨンポヨンです。
何を言ってるのかって？
私も何を言ってるのか分かりません。
だって突然に視界を奪われ《あったかドックリ幸せだなぁモード》になってまして、今だにちょっと御眠だからです。
更に訳分からなかったですね。
えーと？
ララちゃんくん→グルちゃん通訳→皆によれば《ララちゃんくんエアバッグ着陸》を成功させたみたいです。
何ですかね、ちょっと前にあったNASA火星探査機のエアバッグ着陸を連想下さい。
私達は当初、《ペリーカン航空第996便羽田→ダンジョン出口行》に搭乗。
無事にあと一マスで《上がりマス空港》に着陸。
そしてにマイルが貯まり、お買い物が出来るはずでした。
しかも私はプレミアム加入してますから、あとちょっとで３万マイル貯まって、次回二人分の航空券がタダになる予定だったのです。
それなのに草原地帯上空で緊急のアクシデント。
メーデーメーデーと緊急発信後に自動脱出装置が作動し
「カーナさま、また妄想ですか？」
「は？！私は何を？」
ええ、ええ、現実逃避してる場合ではなかったですよね。
大変失礼シマシタ。
オルデアンちゃんに現実に引き戻されて、改めて皆の点呼をしたところペリーさんが居ません。
ああ、と見回せば、今だ空中でクルクルとグライダー中、やがて遠方に落ちていきました。
ようは私達、ペリーから振り落とされた、という事でしょうか。
まあ、ビーム攻撃を受けて本人はパニック。
荷物どころではなかったようで、振り落とさた事を責める訳にもいきません。
従魔とはいえ所詮は《犬畜生の類》。
どれほど懐いても最後は我が身が第一何でしょうからね。
『主、《いぬちくしょう》とは何だ？』
「ああ、犬畜生は、犬などの獣や道徳に反する行いをする人を罵って言う言葉ね。皮肉的に使われる方が多いかしら？」
『そうなのだ？ならば我は違うな。我は聖獣にしてフェンリルである。敢えて言うなら狼が形は近いかも知れんが』
「ああ、狼なら十分に犬畜生ね。正真正銘の犬畜生だわね。だって獣系の広い意味に適用だから」
『何だと！？そんな広い使い方は間違いではないのか？狼や聖獣は除外すべきだ！』
「ああ、聖獣ねぇ。大きな意味ではアレも犬畜生に入るかしら？」
『なん、だと？我が犬畜生？？』
「だって《獣》ってついたら犬畜生でしょ」
『あ、主、あんまりなのだ』
ん？
そういえば私、さっきから誰と話てるのかしら？
こんなダミ声な人物、仲間に居なかったよね？？
「あら？この水溜まりは何かしら。雨でもないのに水溜まりが出来てるわ。ん？オルデアンちゃん？？？」
「カーナさま、酷いです」
何が？
