第251話 大森林7
◆ダンジョン✹大森林出口
カーナ視点
ペリーに乗って一時間余り。
私達は大森林の外れ、森林地帯の終わりのような場所に到着してました。
その先は何処までも続く大草原地帯。
どうやら森は本当にここまでの様です。
「森を出た?目玉おやじは!?」
「今のところ、姿は無いようです」
「逃げ切ったのじゃ?」
「はあ、お姉様方、怖かったです」
「恥ずかし、ながら、私も、怖がりで」
うん、某アニメ映画如くララちゃんくんに張り付きながら辺りを見回している私達。
どうやら妖怪ゾーンは抜けられたようです。
この大森林の木々は針葉樹でその殆どがあのアニメの御神木並み。
いわゆる《小杉の大杉》です。
そんでララちゃんくん、いつの間にか30センチ級ドングリを口に咥えて頬張ってました。
ドングリでか!?
何処から調達したの?って聞いたら、途中の枝から手に入れたとの事。
そして彼はドングリ狩りの名人なんだそう。
毎年名人戦がアルそうな。
ハムスターの名人戦って何?
何かどうでも良くなりそうな話。
歌っちゃお。
あーるーけー、あーるーけー、私は元気ーっ!♪
(まだバッキンガムだから歩けないけど)
真っ黒くろスケって何だろう?
ガンガンあーるーけー♫
(ペリーがね)
「カーナさま、これからどうします?」
「オルデアンちゃん、私の歌に突っ込みは?」
「知りません」
「うーん、冷たい返しが胸に痛い。そして特にいい案が思いつかないけど、もう一度グルちゃんのスゴロクマップを確認したいわ。グルちゃん、見せてくれる?」
「はい、カーナお姉様」
スゴロクマップを広げると、あら不思議。
全てのコマが《上がりマス》の一つ手間のマスに全員集合?!
どうやら一気にクライマックス突入です。
「こ、これは?!」
「全員、この草原の何処かにいるみたいです」
「でも、さっき見たら私達、あと一つは後ろのマスだったわよ?」
「どうやら、このエリア内を移動してる内に別エリアに移動出来ていたようです。あの大森林が一つのダンジョンエリアだったみたいですね」
「なるほど。その大森林を私達が出たのでサイコロ無しにマス移動が起きたという事かしら」
「はい、それで合ってます」
思えば出発マスはいつもよく見てませんでした。
見るのは結果マスだけだった気がします。
私達、案外スムーズにダンジョン攻略出来ていたようですね。
「なら、ゴールはもう少し!?」
「はい、カーナお姉様」
グルちゃんの言葉に皆が一緒に頷きました。
まさに一致団結です。
この勢いで一気通貫ダンジョン攻略へフルスロットル、これで勝利を目指します。
リーチ一発満貫ドラ6ハイテイツモ!
おお???
「よっしゃーっ皆んな引き締まって行くよー!」
「はい」
「分かったのじゃ!」
「はい、お姉様」
「恥ずかしながら、はい、です」
「モキュモキュキュ!」
「グワワワワ!」
はい、殆ど球技選手の乗りですが最後のステージに向け号令を掛けました。
皆も同じ気持ちと信じます。
❇❇❇❇❇❇❇
そうして、ララちゃんくんに出口方角に誘導して貰い、ペリーに向かうように指示しました。
ペリーは私達を乗せながらスピードを上げます。
その時でした。
バッ
「ヒャッ!?」
「カーナさま?!」
「おお、地面が、草原が遠のくのじゃ!」
「まあ、凄いです」
「飛ぶと、下から、視線が、恥ずか、しい」
バサバサバサッバサバサバサッ
ヒューウゥッヒュー
全ての景色が下方に吹き飛んていきます。
手前に草原地帯と向こうに大森林?
遠方には何やら雪を被る山が見えます。
これがダンジョンの中の世界??
殆どカナダにしか見えません。
ま、いいか。
「グワワ、グワワッ」
「はい偉い偉い。アンタこの図体で飛べたんだ?ビックリだわ。私はこのまま旅行に行きたい」
まあ、実際のペリカンは飛べますからペリーも飛べるかも?って思ってはいました。
でも実際に飛んでるのを見るまではペリーはヤンバルクイナの仲間かも?って思っていたくらいです。
(ヤンバルクイナは飛べない絶滅危惧種類BY沖縄)
空の風はやや肌寒いですが座席はララちゃんくん皮下脂肪ヌクヌクのファーストクラス。
果たして行き先はハワイかグアムかサイパンか。
それとも羽田空港TDL?関西空港USJ?
なわけないですかそうですか。
万博は?
「ん?あれは???」
ふと見れば何やら下方に草原を進む一団があり。
でも先頭を進むのは人間ではなく、毛並みの良さげな白いワンコ?
んん?白いワンコ???




