第247話 大森林3
◆ダンジョン✹大森林
新お煎餅の家
カーナ視点
さて、スキル▶お煎餅の家を使い、呼び出した私の懐かしの家。
バージョンUPでログハウス2階建てになりました。グッジョブです。
ですが問題なのは、そのお煎餅の家前の、無駄にデカい雪ウサギ胸像の事です。
雪ウサギのくせに見るからに判る付け髭を口につけ、如何にもこれ見よがしに被るシルクハットと背広は、偉そーでオトボケで憎たらしさすら感じます。
モノポリー的キャラクターな雪ウサギ胸像。
どっかでお世話になった気がします?
「まさかの28号胸像?!」
「カーナさま、ご存知の方ですか?」
「偉いウサギに知り合いがおるのじゃ?」
「偉いウサギさん何ですか?」
「ウサギさん、恥ずかし、ながら、可愛い?」
「モキュキュ?」
「グワワッ?」
あの糞ウサギ、私達を社畜同然に扱い馬車馬のように働かせた挙句、自分は儲けた金でこんな金ピカ胸像を立てやがりましたか。
許せねーでごぜーます。
もしかして、モルト君も無理やり24時間稼働とか、またヤラせて儲けたんじゃないですよね?
だとしたらギルティです。
「あの、カーナさま」
「何、オルデアンちゃん?」
「家の中に、どなたかの気配があります」
「気配???」
え?
新たに召喚したバージョンUPお煎餅の家に何者かの気配がある?
どういう事???
「分かった。皆、ちょっとドアから離れて!私が確認してみるから」
という事で、皆を下がらせた私。
一人、お煎餅の家のドアを開きます。
ギィッ
「お邪魔してマース???」
殆ど不法侵入ですが、元々私のスキルで召喚した お煎餅の家。
誰にはばかる事もありません。
そして進むと、中は普通にログハウスでした。
部屋には私の憩いの和室スペース(一畳)も健在。
毎日お煎餅が出るお茶請け皿も、星一徹専用ちゃぶ台返し用ちゃぶ台(何のこっちゃ?)もシッカリ標準装備されておりました。
ただ新しいのは2階に向かう階段があるのと、トイレを兼ねたユニットバスの入口が大きくなっていて中に広い脱衣所が有りました。
しかも更に先に扉がある?
つまり本格的な浴槽があるという事で、もはやユニットバスは卒業した様です。
ならばとトイレを捜したら、階段下辺りに《WC》の文字。
ちゃんとしたプライベートトイレが出来てました。
バージョンUP最高じゃね?
だけど人の気配はありません。
オルデアンちゃんの勘違いでしょうか?
カタンッ
「は!?」
と、音のする方を振り返れば、なにやらあります木造の箱??
何故に脱衣所に木造の箱?
何なんでしょうねコレは?
キギーッ
ヒョコッ
「?!」
そして箱のフタ?いえ、ドアが開きます。
どうやら簡易のサウナだったようで、ドアの中からは白い水蒸気が溢れ出てきました。
やがて中から現れた小さな影。
それは?!
『ンン、何者ダ?此処ハ我ノ住まいデアル。部外者ハ出テイッテ貰オウカ!』
と、現れたのはバスタオルを首から掛け、見るからに怠惰太りのデップリしたウサギ。
私を見上げるも、指さしながら上から目線で言いました。
何故に上から目線?!
「えー、それはコッチのセリフ。私の召喚したお煎餅の家に何でアナタが住んでるの?私は許可した覚えはないわよ」
『此処ハ元々我ノ持家《ビール御殿》ヨ。誰ノ許可モイルモノカ』
「はあ?」
コイツ、あくまでも自身の持家だと言いはってますが、私のスキルである時点て何の根拠もありません。
彼は、どう見ても留守だった私の家に不法侵入の上、勝手に自分のだと主張してるおデブな雪ウサに過ぎないのです。
オマケにその風貌は、見るからにビール腹と私腹で肥えまくりの悪人タイプ。
その付けたような口髭がさらに癪に障ります。
ん?付けたような口髭???
「ちょっ、アンタ28号なの?」
『我ノ名前ヲ知ッテイルダト?ムム、ソウカ!分カッタ。オ前ハ逃ゲ出シタ前社長かーなジャナイカ。息災デ良カッタナ』
「何が息災よ、勝手に人の家に上がり込んで!何様のつもり?!」
『フム、会長兼代表取締役社長デ妖精ホールディングス最高経営責任者|CEO《chief executive officer》ナノダガ?モット言ウト前社長ノ経営不振ニヨル業績悪化デ赤字ノ穴埋メヲシタ債権者デモアル』
「ハハーッ私が悪ぅ御座いました。どうぞご自由にお使い下さい」
あう、すっかり忘れてましたが妖精ビール社長を交替した時、債務代わりにお煎餅の家は28号に譲渡してたんでした。
ヤッてらんねーでごぜーますデス。




