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第241話 ミミランド24(謎の少女)

◆ダンジョン✹ミミランド

警備員待機所

カーナ視点


「あ?」



うっかり自宅警備員を《星》にしてから色々気づきました。

確かアイツ、妹神(いもしん)の手先だったよね?

だとしたら奴を脅してダンジョン出口への最短ルートを聞き出す事が出来た筈でした。

それに、このふざけたダンジョンを作った妹神(いもしん)の目的とか、世界が雪と氷に閉ざされた理由とか聞き出す事が出来たかも知れません。

星にしたのは大失敗です。



チカチカッ

((ティンクルティンクルリトルスター))



チッ

あからさまにまだ《星》は光ってますね。

しかも自宅警備員が聴きたくもない歌声を披露しています。

石を投げたら落ちたりしないかしら?



「えいっ!」



私は適当に拾った石を《星》になった自宅警備員に投げました。

まあ、届くわけも無いですけど。



パコンッ

((オウチッ))



何故か反応がありました。

投てきした石が奇跡的に《星》に届いたようです。

殆ど漫画の世界です。

が、結局《星》は地平線の彼方に落ちました。

まんまと逃げられたようです。

致し方ありません。

次回は必ず聞き出しましょう。



「ん?」



ふと見ると、ゲートウェイの外れにコチラを伺う小さな影。

なんですかね、アレ?

まあ私からしたら小さくはないんです。

人間サイズにしては《小さい》というところでしょうか。

妖精には人間皆さんがガリバーさんですからね。

で、《小さい》人間サイズの影の人は、どうもこの警備員待機所の状況を探っている様子です。

うーん、特に気になる訳ではありませんが、私の存在にも気付いて無い様子。

ちょっと捕まえてお話を聞いてみようと思います。



※※※



じーっ



「あの、もし?」

ビクッ((え!?!))

 


えー、回り込んで背後から声をかけてしまい、トンデモなく驚かせてしまったようで、目をまん丸に見開いてフリーズされてしまいました。

結論から云えば小さな影は、灰色の薄汚れたワンピースを着たゴーストゾンビ少女でした。

生前?は6歳くらいでオルデアンちゃん達と同じでしょうか。

茶髪、茶目の白い肌で皇国市民風の容姿。

やはり半透明でワンピースはボロボロ。

しかも裸足で立ち尽くしています。

あまりにミミランド周辺のゴーストゾンビ達からかけ離れた装い。

間違いで他ステージから紛れ込んだような感じでした。

その子が何故か自宅警備員の家をゲートウェイの影から見ていたのです。

通常ゴーストゾンビはエキストラですが、普段はそのステージに見合う適当な役割を与えられていて、只の通行人とか、スタッフとかをヤッています。

その行動原理は他者に関心を示す行動は自身からは取らず、話しかければ自我を伴った会話を返しますがアクションがなければ無反応です。

基本は自身の役柄を超える行動はとる事は無く、あくまでステージ全体の中の役目を果たしているに過ぎません。

そしてその最終目的は外部侵入者の排除に繋がるわけで、一つ一つは漫然とエキストラを演じているに過ぎないのです。


なのに彼女の場合、明らかに独自の自我を持ち合わせ、別の命令系統で動いていると予感させます。

それはまるでステージBOSS並みにハッキリとした自我を持たされ、状況に臨機応変に対応出来る事を意味するのですが、問題は彼女が何の力も無さげな子供のゴーストゾンビという事。

無意味な子供のゴーストゾンビは途中で何回か会ってますが、そこには一貫して私達を危険に誘う行動がありました。


ですが隠れて自宅警備員宅を監視する事に、私達に対するエキストラの意味は見出す事は出来ません。

つまりこの少女の行動は私達を害する行動とは一線を画している訳で、何らかの重要な役目を持っていると思うのです。



「こんにちは」

((⋯⋯⋯⋯⋯⋯!))

「お嬢さんはあの家に用があるの?」

((⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯))



うーん、ここにきて黙りですか。

しかも彼女は私の声掛けに後ずさりしています。

かなり警戒されているという事でしょう。

でも彼女の行動からその目的を察しられます。



「警備員に用があったの?」

((?!))

「そうなのね?もしかして警備員が苦手なの?」

((アナタは何者ですか?))

「通りすがりの者だけど、警備員は知り合いなだけよ」

((え?大丈夫なんですか?))

「まあ、私の方が強いからね」

((ああ、女神様の))

「ん?」



少女は警備員と知り合いと聞いて驚いていましたが、私が強いと言うと何故か納得したようでした。

あれ?

何か口走ったような?



((だったら大丈夫ですね。これ、警備員さんに渡して下さい))

「警備員に?」

((よかったぁ、これで警備員に会わずに済みます。私、あの警備員が苦手なんで))



彼女から受け取ったのは何か入った紙袋?

彼女から本音で安堵の言葉が漏れました。

まあ、見るからに幼女ですからその苦労はそれなりに知れますもの。

だけど彼女、私の顔を見た途端に紙袋を預けるほど警戒心を解きました。

理由は分かりませんが、私の事を信頼出来る人物と認識しているようです。

何で?



((それじゃ、必ずその《ブルーレイ連絡書》を警備員に渡して下さい))



って、ブルーレイ連絡書?!

この子、もしや妹神(いもしん)の直属の部下か何かです?



「あ、待って?!」

フッ

「!!」



彼女は手を振りながら消えてしまいました。

一瞬の出来事だったので御座います。


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