第239話 ミミランド22
◆ダンジョン✹ミミランド
警備員待機所
カーナ視点
何このランドセル倉庫?
あの男、ロリコンきもデブ自宅警備員だけじゃなく、ランドセルマニアでもあったようです。
しかも使い古し女子物限定?!
「しかし一体どこから?」
「恐らくガルシア帝国じゃ」
「え、織姫ちゃん?」
「このバッグは《ガルシアバッグ》と云われ、幼年学校の生徒御用達なのじゃ。グルちゃんも持っておったからカーナたんも知ってると思っていたのじゃが違ったのじゃ?」
「《ガルシアバッグ》??」
「私も織姫ちゃんから青色を記念に貰ってます」
「オルデアンちゃんも持ってるの?」
「《ガルシアバッグ》は幼年学校の生徒を示す身分証になるもの。バッグには魔石がついていて、中と背中が温かく、昼までお弁当がホカホカでいけるのじゃ」
「ありゃ、随分と便利だわ」
よく見たら形こそソックリでしたが、グルちゃんのランドセルとは作り込みが違い、外側に丸い魔石が付いていてもっと簡単な作りでした。
保温機能付きは日本より機能付きだけど、これは寒い世界故なのでしょう。
でも幼年学校って、やっぱり小学校みたいなところの指定品みたいです。
へぇ、ガルシア帝国はやはり地球の日本に色々似てるんですね。
しかもカラフルで驚きです。
「やっぱり授業で使う文具とかも入れてるの?」
「授業の物は教室に置くのが原則じゃ。だから基本はお弁当じゃが状況しだいで宿題とか入れておる。妾のは黒色じゃ」
「織姫ちゃんは黒なんだ⋯⋯」
ここには黒色のバッグはありません。
最初は女子物かと思ったんですが織姫ちゃんは黒で、オルデアンちゃんは青でしたか。
男女で色が決まってる訳でもないようです。
赤やピンクしかないのは単なる自宅警備員の趣味なんでしょう。
ちょっと変態じみていて嫌なんですけど。
「だいたい分かってきたけど、ようはこのガルシアバッグ、盗品だわね?」
「違いない。使い古しの物ばかりじゃから帝国から盗まれたものじゃな」
自宅警備員、トンデモ男でした。
しかもロリコンきもデブ幼女監禁婚姻強要男。
オマケにバッグ窃盗犯で最低な奴です。
「それでグルちゃん、ランドセルは見つかったのかしら?」
私達が織姫ちゃんの話を聞いていた間、グルちゃんは妖精サイズのランドセルを物色してました。
何故か知りませんが、妖精サイズのランドセルも品揃えヨロシク沢山置いてありました。
え、需要があるの?
っていうか何処で作ってるんですか??
「あった!」
ようやく明るい声が響きました。
グルちゃんの手には、見慣れた赤い妖精サイズのランドセルがシッカリと握られていました。
だけど中身を見たグルちゃんの顔は直ぐに曇ってしまいます。
何故??
「ララちゃんが、居ません⋯⋯⋯」
「ララちゃん?」
そういえばゲートウェイでグルちゃんが離れた時、ララちゃんって叫んでいたような⋯⋯?
「グルちゃん?その、ララちゃんって誰なの?」
「ララちゃんはララちゃんです。私の大事な友達です」
「友達⋯⋯⋯」
うーん、ララちゃんの正体が掴めません。
そもそも、ララちゃんって何処かに居ました?
オルデアンちゃん達も首を振るばかり。
皆目正体が分かりません。
困りました。
「カーナ様、ララちゃんが居ません」
「あう、私も捜すから大丈夫よ」
「グルちゃん、私も捜します」
「妾も捜すのじゃ」
「恥ずかし、ながら、私も、捜します」
目を潤ませて私を見上げるグルちゃん。
涙に暮れる幼女に勝てる者などいやしません。
私達は慌ててララちゃん捜索隊を編成しました。
家全体に捜索範囲を拡げます。
だけど本当にララちゃんって何者なの?
「ララちゃーん、何処なの!」
「ララちゃん、出てきて下さい」
「ララちゃん、遊ぶのじゃ!」
「ララちゃん、恥ずかしく、ないから」
それから一時間あまり。
姿の分からない相手をララちゃん呼びだけで捜しましたが一向に反応がありません。
結局見つからないまま一通りの場所は捜し尽くしました。
これからどうしましょうか。
「グルちゃん、呼びながら捜したけど見つからないみたい。ララちゃんはどんな友達なの?」
「ララちゃん、は、私と一心同体なんです」
「一心同体?今までは何処にいたの?」
「このランドセルの中にいました」
「ランドセルの、中に???」
「ずっと一緒でした」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
ますますララちゃんが分かりません。
だいたいランドセルの中、に居たの?
「⋯⋯⋯ちょっとランドセルの中、見せて貰っていい?」
「⋯⋯はい」
グルちゃんから躊躇しつつ渡されたランドセル。
上を開けて見ると、底の方に何かがあります?
「へ?」
見ると、ランドセル内は底がかなり深くなってました。
これはどうやら、マジックバッグ仕様のランドセルだったようです。
そして底に見えたのは、ハムスター回し車と給餌用セット。
ハムスター回し車に給餌用セット???




