第22話 レベル9 (ヒヤシンス)
じゃあーっ
ふう、大変スッキリ致しました。
まるで成層圏まで突き抜ける 爽快感。
《《快感》》に近いですかね、【機関銃】を撃ちたくなっちゃいました。
さて、プライベートルームを出てから、女の子を介助しないといけません。
ヒューリュリ様のお陰で、面倒事がオンパレードです。
ヒューリュリ様の名前、ホセ▪メンドーサに改名してもらいましょう。
え、眼帯セコンドのおやじさんがいい?
まあ、冗談はこのくらいにして急がないといけません。
あれ?
女の子が座って、何かを擦ってますね。
良かった。
意識を回復したようです。
ふう、これで一段落ですね。
私の出る幕は、ないようです。
今まで通り、草葉の陰におりましょう。
ところでさっきから、何を擦ってらっしゃるのでしょうか?
ちょっと覗いて見てみましょう。
ふーん?
なんか、水溜まりがありますね。
それで白い毛むくじゃらの… 敷物??
おかしいですね。
私、あんなところに絨毯を敷いた覚えはないのですが?
勝手に飛んで来たのですかね。
不法侵入ですか。
この菜の花の中に、アラジンさんが隠れているかも知れません。
それとも、なんちゃら大魔王でしょうか?
私、○くびちゃんの大ファンなんですが。
しかし、よく見ると汚ならしい絨毯ですね。
火曜日の朝に、燃えるゴミに出したいくらいです。
この辺りの清掃車が、何処に来るのか判りませんが、女の子が離れたら、さっさと畳んで隅に置いてしまいましょう。
ところで女の子は、いつまであの絨毯をさすっているのでしょうか。
お腹は大丈夫なんでしょうか。
せっかく私が用意したのですから、是非とも食べて頂きたいと思います。
え~と、私が用意した御飯、ごはん、御飯、ご……。
ああ、あの絨毯の下のようです。
あのバッチイ絨毯の下では、とても食べられるものではありません。
許せませんね、あの 絨毯。
さっさと燃やして仕舞いましょう。
はぁ、取り敢えず、女の子に声をかけねばなりませんが、また抱っこちゃん人形は御免被りたいですね。
あれは三十路精神に、あまり良くはありません。
なんせ、心は大人なんで。
なので、少し遠方から声をかけましょうか。
はい、菜の花の林を抜けてから、女の子を見上げられる所まで参りました。
このまま、菜の花の根元から声をかけましょう。
「【草葉の陰】から失礼します。カーナといいます。あ、生きてます。今日も元気です」
あ、女の子が振り向きます。
気づきました。
あら?急に女の子がウルウルしちゃってます。
どうしたのでしょうか。
『御使い様、ああ、御使い様!生きておられたのですね。良かった。御使い様ーっ』
きゃあああーっ?!
女の子が迫ってまいります。
私、百合じゃありませんてば~っ!!
てっ、思っている間に、また捕まってしまいました。
女の子のオムねにギューされて、おぶっ、顔を押し付けられて、息ができません。
あら、結構柔らかいですね。
この子、いくつですか?
見た目は小学校低学年なのに、オムねはちょっと有りますよ。
私は完全にまな板なのに、酷くないですか?
は?!
ま、まさか、この世界は何処かの小説か、乙女ゲームの世界で、この子はこの世界の主人公なんでしょうか?
良く見たらこの子、随分可愛いですよね。
なら、この差は、主人公効果!?
私はモブで、まな板で人間ですらないって、不公平過ぎません?
とにかく、この世界のオムねの成長速度は、本当に謎過ぎです。
運営には、徹底的に抗議ですね。
あ、女の子が私を降ろしてくれました。
ふう、何とか、抱っこちゃん人形は卒業出来たようです。
しかし言葉が判らないって、不便でメンドーサですね。
どっかに翻訳ソフトはないのでしょうか。
あら?女の子が絨毯を見ております。
何が気になるのでしょうか。
『主、ご主人、許してほしい……』
んん?幻聴でしょうか。
なんだか、恨めしそうな声が聴こえます。
あ、女の子が見ている絨毯が動きました。
んんん?!
あああ、なんという事でしょう。
あのバッチイ絨毯は、ヒューリュリ様でした。
ヒューリュリ様が伏せ状態で、涙を流しております。
しかも、お顔の下にデッカイ水溜まりを作ってって、本当にヒューリュリ様、泣き上戸ですね。
涙腺弱いですか?
あれ?私、何か忘れていましたか。
そうでした。
私、ヒューリュリ様を【伏せ】にしたままでしたね。
あちゃー、です。
ヒューリュリ様、御免なさい。
「解除」
『ぶはぁ!?はあ、はあ、はあ、ご、ご主人、許してくれましたか、はあ、はあ』
ほっ、ヒューリュリ様がフラフラと立ち上がりました。
大丈夫そうです。
少し、お仕置きが過ぎましたね。
ヒューリュリ様の為に、お花を咲かせて何か、ボーナスを手に入れましょうか。
では、早速やって参りましょう。
まずは、ヒヤシンスの、球根を地面に植えてと、それでは始めますか。
私の目の前にあるのは、ヒヤシンスの球根。
ええっと、ヒヤシンスの育て方は?
教えて、教えて、私のナビちゃん。
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日当たり▶ヒヤシンスは日当たりの良い場所で管理します。 芽が出始めてから開花まで日光に当てることが大切です。 極端に日光が足りないと、咲かない原因となります。
温度▪▪▶ヒヤシンスは冬の低温にあたると春に花芽をつけます。原産地が地中海沿岸のヒヤシンスの生育適温は10〜20℃なので、寒冷地では屋外栽培には向いていません。
土▪▪▪▶ 水はけのよい用土に植えつけます。ヒヤシンスは、酸性土では健康的に育たない可能性があるため、植えつけの2週間以上前に、土の酸度を整える苦土石灰を土にすき込んでおくと効果的です。
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よし、よし、これを、ヒヤシンスの、【成育空間システム化】。
「いいかな?いいよね?それじゃあね、今から、今から始めるよ」
私は、ふわっと飛んでヒヤシンスの上、何もない空間からタンバリンを取り出します。
「はいよ、踊るよ、大地の息吹き。あなたが咲くとみんな幸せ。私の声が聞こえたら、どうか応えて下さいな。あなたの幸せが、みんなの幸せ、みんなで、みんなで幸せになろう。タン、タン、タ、タ、タン、タン、タン、タン。タン、タン、タ、タ、タン、タン、タン、タン」
    
私がタンバリンを叩くと、私の背中のチョウの羽から、銅色鱗粉舞い落ちて、みるみるヒヤシンスを包みます。
ほら、ほら、ほら、ぐんぐん芽が出る、葉が伸びる。
あっという間にヒヤシンスの、綺麗なお花が開花する。
これが私、花妖精、私だけの力です。
「ふう、これでレベルが上がったかしら」
ピロンッ
『花妖精レベルが《《9》》に上がりました。スキル【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】の範囲が直径50mになりました(範囲が大きくなったので統合化は消滅)。ご褒美セットが開放されました』
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名前▪▪▶カーナ▪アイーハ(異世界転生者)
レベル▪▶9(?)
種族▪▪▶花妖精(新種族)
羽根▪▪▶銅色
容姿▪▪▶金髪▪碧眼▪白い肌▪長耳
衣服▪▪▶春のワンピース(淡ピンク)
性別▪▪▶女
年齢▪▪▶1歳(寿命未設定)
身長▪▪▶10cm
体重▪▪▶秘密
バスト▪▶絶壁(成長次第)
ウエスト▶これから(さあ?)
ヒップ▪▶まだまだ(ガンバ)
特技▪▪▶タンバリン応援(?)
スキル▪▶亜空間収納
スキル▪▶銅鱗粉【成育空間システム化】
スキル▪▶種▪球根召喚
スキル▪▶【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】直径50m
スキル▪▶お風呂セット(シャワールーム大きさ変更可能。使う者のサイズに合わせ、自動でサイズアップ)
スキル▪▶テイマー
スキル▪▶ご褒美セット
従魔▪▪▶聖獣フェンリル(個体名ヒューリュリ)
召喚可能▶ガーベラ◇チューリップ◇オオイヌノフグリ◇フリージア◇エーデルワイス◇菜の花◇ヒヤシンス◇大根のたね(ぬか漬けセット付)
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皆さま、わたくし、カーナのお話しを見に来てくれて、ありがとうございます。
今後も、私の独りよがりな、恥ずかしい私生活を公開して参りますので、何卒、今後も御贔屓の上、応援お願い致します。
なお、お星さまを沢山付けて頂けますと、私の生活も充実いたしますので、宜しくお願い致します。
 




