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第224話 ミミランド10

◆ダンジョン✹ミミランド

カーナ視点


「私が思うに、彼女はきっと恥ずかしいのだと思います」

「恥ずかしい⋯⋯それは初対面だから?」

「それもあると思いますが多分、他に理由があると思います」

「他に理由??」



どういう事でしょう?

新妖精さんが《初対面で恥ずかしい》は十分考えられる理由ですが、それ以外の理由となると思い当たるものがありません。

ですが、オルデアンちゃんからは確信を持って言っているように感じるのです。



「妾もそうだと思うのじゃ。アレは恥ずかしいのじゃ」

「織姫ちゃんも?アレ?」



どうやら織姫ちゃんもその理由に気づいているようで、分からないのは私だけのようです。

え、呼び出した私だけが新妖精さんの気持ちを理解出来ない状況?

それは不味い事だと思います。



「⋯⋯⋯えー新妖精さん?アナタの気持ちを優先するので、どうか灯りを点けてもらえないかしら?」

「⋯⋯⋯⋯⋯ので間接で」

「はい?」

「恥ずかしいので間接光でいい?」



恥ずかしいのでカンセツコウでいい?

間接光??



ピロン

《間接光とは光源から直接照射される光ではなく、壁や天井などの物体で反射した光のことをいいます。間接光を利用した照明方法を間接照明といいます》



ナビちゃんからの補足に、更に彼女の気持ちが分からない私です。

何故に間接光???



「えーと?よく分からないけど、私が『間接光で構わない』って言えば灯りを点けてくれるの?」

「⋯⋯はい」



間接光⋯⋯まあ、この真っ暗な状況を打開出来るなら間接光でも全然構いません。

間接だろうが直接だろうが、この状況が変わるならそれに越した事はないのです。

チャッチャと点けて貰いましょう。



「構わないわ。とにかく点けてくれる?」

「はいっ」



何か嬉しそうな声が返ってきました。

間接光がそんな嬉しいんだ?



「それでは点けて下さい」

「はい?」



点けて下さいとはコレ如何に??

意味不明です。



「あー?新妖精さん?」

「はい」

「アナタが点ければいいのよ?」

「ルールですので女王様が点けて下さい」

「女王様って私の事?よく皆間違うけど私は違うわよ。それにルールって?」



モルト君もグルちゃんも呼び出した時に間違ったんだけど何かの合言葉かしら?

それとも、よっぽどその女王様って人が私に似てるのかしらね?

あとルールって何のルール?



「分かりました。では何とお呼びすれば?」

「カーナでいいわ。とにかく灯りが先よ。早く点けて」


ヌッ


「わわっ、ビックリした?!」



私が彼女に灯りを点けるように言った途端でした。突如私の目の前に手が現れたのです。

一応洞穴内は僅かな光はあり何とか手元が分かるくらい。つまり視界としては数十センチはあり、丁度その位置に手が現れたのでした。



「驚かせて済みません」

「ホント驚いたわよ。でも先に灯りを点けて。って何?ヒモ???」



何故かヒモを渡されました。

どないすればいいねん!?



「私にどうしろと?」

「引いて下さい」

「は?」

「ヒモを、引いて、下さい」

「わ、分かったわ」



ヒモを引けとのリクエスト。

しかも最後は《断固》として言われました。

どうやらヒモを引くのは絶対のようです。

引けばいいんでしょ、引けば!


カチッ

パッ

「灯り!」

「わっ、明るい!」

「明るいのじゃ!!」



ついに灯りにを手に入れました。

私はやり切りました。

今モーレツに感動しています。

原始時代の人類になった気分です。

ピテカントロプスとモノリスが頭に浮かびます。


は?

それより彼女は何処ですかね?

今回の光源は間接光という事ですが、照らされた地面から反射した光は柔らかく、鍾乳洞全体に波及して幻想的な佇まいを見せております。

間接光になった事で更に鍾乳洞の幽玄さが際立って、これはコレで有りだと思います。

光源は足元にある傘のような照明器具?

だけど肝心の新妖精さんが見えません。

変ですよね?



「オルデアンちゃん、織姫ちゃん、照明を点灯してくれた妖精さんを見た?」

「見た、というか⋯⋯⋯」

「先程からソコにいるのじゃ」

「へっ?ソコに居る???」



二人が指差しした方向を見ると、そこに在るのは鍾乳洞を照らしている照明器具。

因みに照明器具は、傘が付いていて光は下に向けて放たれてます。

多分、高い位置に設置するペンダントライト(吊り下げ照明)タイプぽいんですが、それをそのまま地面に設置した為、間接照明としていい雰囲気を出してます。

そして傘の下から見えるのは、あの時垂れ下がったヒモ?

それが傘の下から地面に垂れています。


成る程。

最初に頭上で彼女が光源を作った時、頭から垂れていたヒモはアレですか。

つまり現在、地面に間接照明として置かれてはいるものの、やはりペンダントライト(吊り下げ照明)として使うのがこの器具の本来の使い方。

引き紐はその照明スイッチだったという分けです。

すると彼女は、この器具を持って私の頭上を飛んでいた事になり、さっきを含めてルールというのは、《誰かにこの引き紐を引いてスイッチを入れる事》なのかも?


なら彼女は変わらず照明の側に居る訳で、地面に置かれたペンダントライト(吊り下げ照明)を凝視すれば、小さい人の姿が浮かび上がりました。



「ああ、最初からソコに居たのね?⋯⋯」



ソコに居たのは前世バラエティ番組で、素人さんが仮装を競う仮装大会に出るような《ペンダントライトに仮装》した彼女だったのです。


はい?


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