表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

222/430

第219話 ミミランド5

◆ダンジョン✹ミミランド

カーナ視点


「みんな、逃げるわよ!」

「はい、カーナさま」

「分かったのじゃ」



とにかく、この混乱する警備の隙をついて一気にパークの反対側に駆け抜けるしかありません。

前後左右を気にしつつ、二人を勇気つけながら前に進みます。



「それにしてもカーナたん、こんな煙の中でよく進む方角が分かるものじゃ」

「そりゃあ織姫ちゃん、私は二人より年長だからね」

「一歳じゃ無かったのじゃ?」

「精神年齢が年長かしら。おほほほ、ほ??」



と、織姫ちゃんと話していて、今更ですが重大な事に気づいてしまいました。



「あ、?」

「カーナさま、どうしました?」

「どうしたのじゃ?」

「実は進む方角が分からなかったわ」

「カーナさま、ダメダメです!」

「カーナたんは大戯けじゃ!」



はい、二人から駄目出しをくらいました。

考えてみれば煙で前後左右不覚な上、パークの案内も無しに出口に迷わず向かう方法が分かりません。

今はパーク側が全面的に敵意がある状況。

迂闊にインフォメーションに立ち寄る事も、かなりの危険が伴うからです。

まさにパーク全エリアがアウェイ状態。

何処に向かうも危険と紙一重なのが今の私達です。



パァァァッ

「「「?!」」」



と、そうこうしている内に突然前方が開けました。

急に私の前側の煙だけ晴れ、パーク内施設が遠方まで見えるようになったのです。

そこに係員や他のゴーストゾンビの姿はありませんでした。

これはチャンスです!



「これは乙姫ちゃんの加護かしら?二人共、走り抜けるわよ!」

「はい!」

「行くのじゃ!」

ダダッ



正に天啓を得たり。

こうして私達は、煙の晴れた場所を目指しパーク内に走り出したのでした。

このまま上手くいけばパークから脱出する事が出来る筈です。

この時は安易にそう期待していました。



「あ!?」

「カーナさま!」

「不味いのじゃ!」



世の中、そうそう上手く行く訳もありません。

丁度私達が向かう前方で何かのパレードがヤッてます。

何やらゴーストゾンビ達の人だかりが出来ていて、パークの外れに向かう道をシャットアウトしていたのです。

パレード邪魔過ぎでしょ!?



「どうします、カーナさま?」

「どうするのじゃ?」

「どうしようか、だけどアレだけの数のゴーストゾンビ達が一斉に向かってきたら、私達はとても逃げられないわ」



前方にいるゴーストゾンビはどう見ても数百人単位。今のところパレードに夢中な様子を見せてますが、それがなんとも不気味です。


そもそもゴーストゾンビはエキストラ。

そうするようにダンジョン運営から、予め役柄を決められた行動を取ってるはず。

つまり、パーク運営とダンジョン運営は繋がっている筈ですから、観客行動を取っていようとゴーストゾンビは警戒する必要があると思います。


だけど妙です。

その観客に十数メートルまで近づきましたが、彼らの反応は変わりません。

私はこのダンジョン内に入り、ある程度の悪意には敏感になったつもりでいますが、さっき感じたイベント会場の敵意のようなピリピリ感は前方からは感じられないのです。



「これだけ近づいても前方のゴーストゾンビ達は私達に無関心ぽい⋯⋯?もしかしてパーク運営側でないゴーストゾンビは《一般ゴーストゾンビ》として分けられるかも」

「それはどういう意味じゃ??」

「ゴーストゾンビの中に良い子悪い子がいるって事ですか?」

「オルデアンちゃん、そうだね。可能性の問題だけど、その分け方が当てはまるかもしれないわ」



良い子悪い子の分け方が正しいかは別として、悪意を持ったゴーストゾンビと、その他大勢のゴーストゾンビくらいの分け方は当てはまる可能性があります。

ダンジョン内いるゴーストゾンビはおそらくですが数万人単位。

仕組みがハッキリしてませんが、その一人一人にエキストラとして役目を与えるとして、その指示を瞬時に全員に行き渡られるのは大変な事です。

そんな全体運営をさせられるダンジョン運営は相当な負荷があるはず。


当然ながらピンポイントな手配は出来ず、細分化された命令系統の中、各イベントの運営は其々に中間管理職を置いてる可能性があります。

それがカメヘンカメヘンのようなステージBOSSなのかその裏方なのかは分かりませんが、少なくとも大まかな役柄を与えられたゴーストゾンビを《一般ゴーストゾンビ》、そして独自行動を許されたゴーストゾンビを《敵対ゴーストゾンビ》程度には分けられるようです。

つまり私達が警戒すべきは後者の《敵対ゴーストゾンビ》という訳です。



「カーナさま?」

「うん。オルデアンちゃん、きっと大丈夫。ゴーストゾンビ観光案内所おばちゃんとか、ゴーストゾンビ親切なツアコンお姉さんなんかを悪い子認定したくない。きっと殆どのゴーストゾンビは悪くないわ」

「妾もそう思うのじゃ!みんな普通のゴーストゾンビさんなのじゃ」



織姫ちゃん《普通のゴーストゾンビ》って括りは何?

でもまあ、少しはパーク脱出に向け希望が見えてきました。


さあ、早くパークを出てグルちゃんに合流しましょう!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ