第218話 ミミランド4
◆ダンジョン✹ミミランド
カーナ視点
だいたい人をクッキーみたいに齧るだなんて、ホラー映画のゾンビ物になってしまいます。
あ、一応私ら以外はゾンビですか。
なら齧るのは当たり前?
んな訳あるかい!
((ほんじゃ第二問題や。次の内容を聞き取ってや))
「みんな、ヘッドホンを付けて!」
「はい!」
「のじゃ!」
◇イントネーションクイズです◇
⚫①ウサギ美味しいかの山⚫
⚫②ウサギ追いしかの山⚫
◇正しいイントネーションはどっち?◇
(実際には同じように聞こえてます)
2回同じ内容の言葉がハッキリと聞こえました。
だけと殆ど違いが分かりません。
ただ選択は2択。
つまり二分の一の確率で、正解を引っ張る事が出来るという訳です。
「って、分かる訳無いじゃない!」
「カーナさま、私分かりました」
「妾もじゃ!」
「え?ホントに??」
「①は一言多いと思います」
「そうじゃ!間違いなく②と違いがあるのじゃ」
「!」
凄い!
この二人、リスニングはバッチリです。
よくぞ気づきました。
ならば答えは!
「この童謡の答えは②よ、絶対②が正解よ!」
((ファイナルアンサー?))
「当たり前、チーム全員の一致で②よ!!」
((さあ、全チーム答えが出揃ったで。真実の答えは①か?②か?運命の答えは如何に??))
ドドンッ
ぼやっと煙が立ち昇り、安っぽい電光掲示板に答えがデカデカと現れました。
ふん、今回は間違いなく正確に決まってます。
とにかく一歩前進です。
ペカッ
⚫①⚫
((答えは①で決定や。回答5チームの内、間違いなのは虫チーム。残念やったな))
「虫って言うな!それと、フザケんのも大概にせーよ!?その童謡に正しいのは間違いなく②でしょ!大体何で①なの?あり得ないんだけど」
((童謡?なんの童謡やねん??これはイントネーションクイズやで?童謡当てクイズとちゃうわ))
「?だったらどんな理由で②なのよ?理由を言いなさいよ、理由を!!」
このドチビ三頭身カメヘンが、仮面かち割ったろか!って思いました。
この結果は絶対納得出来ないと思います。
イントネーションの基準を知らないといけません。
((理由は《ウサギ焼くと美味しい》や。追いかけるばかりじゃ疲れるだけや。だったら焼いて食べた方がスタミナつくし万々歳。最高やろ))
「お馬鹿さんなの?!リスニングの意味が無いしウサギさん焼いたら駄目でしょ!!」
((この童謡は『ゾンビのフルサト』を歌ったもんや。歌詞もあっとるで))
「ゾンビの故郷って何処やねん?!!」
果たして私は、このゾンビ達に動物愛護の精神を説く事が出来るのでしょうか?
ではなく、このリスニングクイズは何の法則も平等性も無く、単に私達を陥れる為のみ用意された罠的イベントだったようです。
((それじゃあ、最下位は虫チームに決定や。罰ゲームを受けて貰うで!))
「「「!!!」」」
ドチビ三頭身カメヘンがそう言うやいなや、あのミミマウス着ぐるみチームが全員で立ち上がりました。
私達の方に目を血しばらしてニヤニヤと迫ってきます。
着ぐるみ無表情が10人同時で迫る姿は元々可愛くないキャラとしてもヤッパリ不気味。
今更だけど、私らよくあのキャラの等身大クッキーなんて食べましたね?
今頃お腹が痛い気がします。
((((((((お前達、よぐも等身大オラ達の仲間、齧ってくれたジョ。今度はコッチの番だジョ。囓られる気持ち、知るといいだジョ!)))))))
「「「!!」」」
ヤバい状況になりました。
回りが完全にアウェイです。
ダンジョンの敵意を感じます。
だとすれば、これ以上付き合う道理も御座いません!
全力で逃げさせて頂きます。
「ですが回りは警備員さん達に囲まれてます。どうやって逃げるおつもりですか?」
「大丈夫よオルデアンちゃん。相手が直接敵意を向けてくるなら、私らにはコレがあるもの!」
という事で遂に使う時がきたコレ。
一度限りの効能ですが、今使わない手はありません。
ちゃっちゃと使ってしまいましょう。
「カーナさま、それは?」
「おお、ご先祖様から賜った玉手箱じゃ!」
「そうよ。乙姫さまからのプレゼント。一回だけ私達の危機を救ってくれるって言って渡してくれたの。どうなるか分からないけど、今私達が命の危機だから、ここで箱を開けさせて貰うわ!」
パカっ!
ボフンッ
「わわっ!?」
「カーナさま、きゃああ???」
「煙いのじゃ?!」
((やや?なんやねんコレは!???))
((((((((煙で何も見えないジョーッ!?)))))))
何と、やはりというか、玉手箱から現れ出たのは辺り一面を覆うほどの大量な煙でした。
これは逃げるのには絶好のチャンスです。
サッサと逃げてしまいましょ。




