第212話 ゲートウェイ?
◆ダンジョン??
カーナ視点
ガヤガヤガヤガヤッ
「へ?」
「え?カーナさま、突然世界が変わりました。これは??」
「急に背景が変わったのじゃ!?」
「それに大勢の人達が行列を作ってます。ここって?!」
突然でした。
雷が瞬いて視界が奪われたと思ったら、一瞬で世界が変わっていたのです。
しかもここはゲートウェイ。
あの世界中から愛されるアミューズメントパーク、◯◯ニーリゾートの正面玄関がありました。
ホントに何が何だか分かりかねます?!
((本日はご来場、有り難う御座います。当日券につきましてはコチラの中央ゲートウェイで一般チケットを販売しております。場内は大変混雑しております。くれぐれもお連れ様方とはぐれないようにご注意下さい。なお、来月から当園は完全予約制となっております。次回チケットをお求めの際は当方の専用アプリからのご予約が便利です))
そうそう、私が転生する前はまだ完全予約制で無かったチケット販売。
前売りチケットを持たない人は、こうしてゲートウェイのチケット売り場に並ぶんです。
勿論この頃のリゾートは一度に大勢の顧客を捌く為に、チケット販売窓口もゲートウェイ内に何箇所も設けてあったんですが、其れでも長い列が出来たんでした。
懐かしいわ。
きっと今頃の日本では、この風景は見られないんでしょうね。
「カーナさま、凄く入りたいです」ワクワク
「楽しそうなのじゃ!」ワクワク
「カーナおねえさま、お金あります?」ワクワク
「いやここのチケット、値上がりしてるから高いのよ。円以外でもいいの?私が持ってるの、皇国コインで銅貨しかないわ。これで足りるかしら???じゃなくて?!三人とも、分かってるよね?絶対これダンジョンのイベントだから」
よく居ますよね。
お母さんにお願いを強要するワガママなお子さん達。今この三人娘はそんな感じです。
いや、さっき景色がブレて変わったの見てるじゃない?
何でそれでワクワク出来るかな???
明らかに状況は普通じゃありません。
コレも怪しい訳あり世界に決まってます。
しかも並んでるのも全部ゴーストゾンビ•エキストラだし、忘れてるようだけどここもダンジョンの中だからね?
これでチケット買って中入ったら絶対フラグ立っちゃうでしょ!
「はあ、冷静なのは私だけなのね」
「グワワ!」ぐ〜
「いやアンタも冷静って腹が鳴ってるし、口からヨダレ垂らして私のバッテン魚を強請ってるだけじゃん?!」
ウチのメンバーに現実を見れる者が誰も居ません。めっちゃヤバくない?
「カーナさま、ですがこのままココに居ても進む方角もままならないのです。とにかく前に進むしかないのではありませんか?」
「確かにそうよね。オルデアンちゃんの言う通りだわ」
この不思議世界は今、目の前のゲートウェイしか視界が開けておりません。
辺りを見回しましたが背後も左右も真っ白な霧が掛かっていてお先真っ白な状況です。
視界が無い中闇雲に進む訳にも行かず、やはりダンジョンが用意したイベントに乗っからないと進む事も困難なのです。
「今迄のパターンからして、ダンジョン運営側も私の無意識を自由に操作出来てないようだし、ココは多少成り行きに任せて、状況に応じて対処するしかないかしら」
「そうですよ。だから入りましょう」
「そうじゃ、入るのじゃ!」
「カーナおねえさま、入りましょ?」
「グワワ!」
「入るのは決定してるのね。ペリーは『早くバッテン魚出せ』って言ってんじゃん⋯⋯⋯」
仕方ありません。
取り敢えずペリーにバッテン魚を二山出し、ココで待つように言って、オルデアンちゃん達とチケット売り場の行列最後尾に並びました。
しっかし行列がバカ長い。
買えるまでに日が暮れなければいいんですが、などと思っていたら思いのほか早くチケット売り場に辿り着きました。
さっそく販売のお姉さんに伝えます。
「えー、子供四人」
((子供四人?親御さんはご一緒じゃないの??))
「はい、子供だけで来ました」
((えー?!お子さん達、何歳ですか?))
「私は六歳です」
「妾も六歳なのじゃ」
「私も?生まれたばかりなので一歳未満?でいいですか、カーナおねえさま?」
「私は一歳ってなってますわね」
((ええと?六歳に一歳に一歳未満?????))
あー、受付のお姉さんが困った顔をしています。
確かにこれは無理難題ですか。
だって六歳二人に一歳と一歳未満って、普通じゃあり得ない構成です。
そもそも一歳とか、料金体系にちゃんと記載されてましたっけ?
((ええと、一応パークチケットは三歳以下のお子様は無料で入園できます。四歳以上のお子様は有料で、年齢や学年によって料金が異なります。ですから料金体系としては明記されてますけど⋯⋯))
「え、じゃあ、私とグルちゃんは無料なの?」
((は、はい。そういう事になりますね))
「やった!私とグルちゃんは無料よ!!」
「良かったですね、カーナおねえさま」
「私は有料なんですか?」
「妾も有料なのじゃ?」
これはラッキー棚からぼた餅。
四歳以下が無料とは、なんて素晴らしい料金体系でしょう。
まさにグッジョブです。
((ですが年齢詐称は論外です))
「へ?」
お姉さんのお顔付きが変わりました。
めちゃくちゃ疑りの眼差しデズ。
年齢詐称?!
誰が?????




