第211話 ???
◆ダンジョン???
カーナ視点
「ここもカーナさまが知ってる場所に似てるんですか?」
「見た目似てるっちゃ似てるけど、こんなに閑散としてるところじゃなく、もっと賑やかな場所だったわ。だって子供達に《夢と希望を与える魔法の王国》がキャッチフレーズだもの」
まあ、疑似的に作り出した世界だから色々細部は適当です。
このダンジョンは侵入者の思考を読み取り、良くも悪くも似た世界を作り出します。
そうする事で侵入者を惑わし、正しい道の選択を困難にするのがダンジョン運営側の目的なのです。
ただ侵入者が多数だった場合、その思考を読み取るのはもっともダンジョンと波長が合う人物の潜在意識から抽出するとされています。
(アルタクスさんの説明だけど)
だけど何で侵入者の中で私が選ばれたんですかね?
異世界の記憶が面白いから?
「夢と希望を与える魔法の王国って素敵です」
「楽しそうなのじゃ」
「そうですね」
「グワワ」
「ペリカンに需要がない?冷めてんなペリー」
でも、似てるって思ったら随分と閑散としてるし建物は随分くたびれてます。
全体はまるでゴーストタウンで、人の気配はありません。
ゾンビすら居ないなんて、ここは誰の潜在意識で作られたんでしょうか?
「あ、カーナさま、向こうから誰か来ます!?」
「え、ホント?オルデアンちゃん」
「どうするのじゃ?」
「おねえさま方、分からない事が多すぎます。ここは隠れて様子をみましょう」
「グワワ!」
こうして私達は近くの建物の陰に隠れたのでした。
ペリーはデカいからクチバシだけ隠しました。
無駄にデカいペリカンは《クチバシ隠して身体隠さず》です。
こんなの、絶対無理でしょ!?
((北部の耕作地は全滅だそうだ))
((そうなのか?!なら、不作の中央を補うのは無理という事か⋯⋯))
((其れだけじゃない。他の地域でも不作なんだ。このままだと飢饉になるぞ!))
((一時的に国外から調達出来ないのか))
((これは低温化による異常気象に原因がある。大陸全体の問題だろう。国外も例外じゃない。つまり食料を他国から調達するのも困難だという事だ))
((おい、それじゃあ八方塞りじゃないか!))
((其れだけじゃない。飢饉が収まらなければ次にくるのは暴動だ。食えなければ奪うしか無いからな。国が持たなくなるぞ))
((どうしたら⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯))
ザッザッザッザッザッ⋯⋯⋯⋯
歩いて来たのは見た事もない二人の男でした。
小綺麗な貴族風の衣装を着ていた事から、この世界の人物達?のようです。
彼らは自分達の話しに夢中で、目の前にあったペリーの尻に気付かず通り過ぎて行きました。
どんだけ夢中だったんだよ、って感じです。
「カーナさま、今のは?」
「この世界の人かしら?だけどここはダンジョン内の筈だわ。あの落ち着きようは解せないわね。オルデアンちゃんに面識はないの?」
「お城に来る貴族の方々に似てました。だけど知らない人達です」
「何か深刻な話しをしていたわね」
異常気象な話しをしていましたが、まさか地球と同じの温暖化現象とか?
だけどオルデアンちゃんの国は、既にそれを通り越して氷河期のような状況でした。
ここは確かにダンジョン温泉より気温は低めですが、雪が降るほどではありません。
温泉の効能で忘れてましたが、私の《冷え性》は敏感なのです。
南北戦争で勝利したのはビンカーン。
つまらないですか。
そうですか。
ジジジッジジ
ん?
何か変ですね?
周りの景色がブレてます。
いわゆるテレビ画面が電波状況の悪化で断片的に映すみたいな???
もしかして何か混線してます?
「カーナおねえさま、これは??」
「いや、私に分かる訳ないし」
「カーナさま、なんか怖いです!」
「景色がブレブレなのじゃ!?」
「グワワ、グワ!」
ドンッ
バリバリバリバリッ
「きゃあああ!?」
「いったい何事?!」
「カミナリなのじゃ!!」
「おねえさま方、怖いです!」
「グワワーッ?!」
突然に閃光が走り視界が眩しく瞬きました。
とても目を開けていられません。
これから私達はどうなるの???




