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第207話 スゴロク✶リターンズ

◆ダンジョン温泉✹お魚幼稚園

カーナ視点


意外でした。

何が意外かって?

あのザクレロがお魚子供達に人気です。

何で人気かというと、大きく開けたザクレロの口が子供達の隠れ家に最適だからです。

世の中、何が流行るか分からないものですね。

だけど知ってるのかしら。

その口はビーム発射口だからね?

《口からビーム》されたらグリルされちゃうからね?



「お主、幼稚園の慰問に来て子供達を釣り上げるとは何しとるんじゃ?!」

「すみません。サビキ用コマセだったから成り行きでやっちゃいました。深く反省します」

「反省だけなら猿でも出来るわ。ちゃんと子供達に謝るのじゃ!」

「皆、本当にごめんなさい」

(((((((大丈夫だよーっ、コマセ美味しいよーっ、もっとちょうだーい))))))



乙姫ちゃんに叱られて子供達にサビキした事を謝りました。

子供達は気にして無かったようで、更にコマセを強請られてます。

さっそくサビキ籠に入れて振りました。

子供達が鈴なりです。

大漁大漁。



「お主、まったく反省しとらんのじゃ?!」

「すみません、成り行きで」



コマセを持てばついついサビいてしまう今日この頃。サビラー魂ココに至れりーです。



((今日は皆様、子供達の慰問にきて頂き有り難う御座いました。子供達も皆、喜んでおります))

「うむ。最近の運営は特に問題ないか?」

((はい、これも乙姫様のお心遣いの賜物です))

「そうか、妾も満足じゃ。今後も幼稚園の管理を頼むのじゃ」

((はい、かしこまりました))



子供達が落ち着いたところで、幼稚園園長さんのお出ましです。

園長はマンボウ魚人さん。

バカでかくて5メートルくらいありますか?

ふわふわと幼稚園母屋の上を横倒しになって漂っています。

これは「マンボウの昼寝」と呼ばれ、体温を調節するためにする行為とされています。

マンボウって本当、面白いお魚なんですね。

という事で、幼稚園の慰問は大成功?

サンタ仮装は無意味となり、全員がトラウマ抱えて竜宮城に戻る事になりました。

ホラー映画はもうコリゴリです。


そして冤罪は晴れてませんが、これで舟盛り事件の慰問奉仕が終了です。

私はようやく放免となったのでした。

めでたしメデタシ?





ピコンピコンピコンピコン

「?!」

「グルちゃん、どうしたの?」

「何事じゃ?」

「グルちゃんが?」

「どうしたのじゃ?」



突然ですがグルちゃんのランドセル、矢印@が点滅しながら回転です。

一体何があったんでしょうか??



「グルちゃん?」

「カーナさま、そろそろ待機時間いっぱいです」

「待機時間いっぱい??」



ガサガサガザッ

そう言いながら、スゴロクの紙を広げるグルちゃん。スゴロクをココで始めるの?!



「待機時間とはスゴロクのプレイヤー待ち時間を言います。本来、私のスゴロクはただのスゴロク•マップという空間移動装置だった訳ですが、他にプレイヤーグループが参加した事で、実際のスゴロクゲームとして運用するように定まっているようです。これには強制力があって、スゴロクからの途中退場や無意味な待機時間延長が認められていません」

「それってつまり《上がり》でダンジョンを攻略して出口から出るまでって事?」

「どうもそうみたいです、カーナおねえさま。ごめんなさい」



どうやらスゴロクゲームに強制力があるようです。

でも本来はグルちゃんの固有能力であったはず。

それが強制力を伴うとはおかしな話しです。

これについては乙姫ちゃんが口を開きました。



「うむ、これはダンジョンから侵食を受けておるようじゃ。このスゴロクゲームはダンジョンに取り込まれておるぞ」

「マジですか?!」



成る程。

ダンジョンのシステムが何らかの形でグルちゃんの固有能力に干渉しているという訳です。

だけど、それでグルちゃんは大丈夫なんでしょうか?



「何れダンジョンに取り込まれるのじゃ」

「え」

「「「!?」」」



今乙姫ちゃんからトンデモ発言ありました。

ダンジョンに取り込まれる?

グルちゃんが?

だとしたらヤバくない?!

グルちゃんが真っ青になり座り込みました。

オルデアンちゃんと織姫ちゃんが慰めています。

え、だってグルちゃんは私が召喚した妖精ナンだけど、横取りなんて酷くない!?



「ここは元々妾の女神の身体を保管する為構築した海の箱庭じゃ。異空間に存在して現実世界とは時間の流れも違うのじゃ。どうやら妹はそれをそのまま保管する為に、更にその回りに異空間を何層も作り上げたようじゃ。お前達がダンジョンと呼んでるのはその事じゃろう」

「時間が違う⋯⋯玉手箱みたいに?」

「何でココで玉手箱が出てくるのじゃ?まあ、箱庭としての管理だから、状況としては玉手箱が沢山あるのと変わらんかもしれんか⋯⋯」

「乙姫ちゃんの力で繋がりを断ち切れないんですか?」

「すまぬの。前にも言ったが全ての妾の権能、支配権は妹に渡してしもうたのじゃ。今の妾にはどうにも出来ん。そして妾は女神の記憶を一部しか覚えておらん。妹の事をかなり忘れてしもうたのじゃ。だから鯛女中頭だけが接点、手紙は出せるがこのところ返信は無いのじゃ」



メカ鯛女中頭さんはポンコツが嵐です。

何の期待も出来ないでしょう。

それと、どうもココの乙姫ちゃんは日本の童話《浦島太郎》のお話しに出てくる方とは根本的に違うようです。

異世界だから当たり前ですか。


そして、ダンジョン全ての管理権限は妹神(いもしん)さまが持っている訳です。

ならば私達に出来る事は一つです。


グルちゃんがダンジョンに取り込まれる前に、なんとしてもダンジョン出口に辿り着く事。

これがダンジョン脱出と合わせて必須の課題となりました。

私とオルデアンちゃん、織姫ちゃんは静かに頷き合いました。

暗黙の了解というやつです。

赤い目をしたグルちゃんが私達を見上げます。



「おねえさま方⋯⋯⋯」

「大丈夫、私がアナタを見捨てたりしないわ」

「グルちゃん、泣かないで」

「妾達に任せるのじゃ!」



私達に新たな目的が加わりました。

ここからは時間との勝負です。


こうして私達は、再びスゴロクゲームにサイコロを振る事になったのでした。


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