第204話 大惨事です。
◆ダンジョン温泉✹お魚幼稚園(メダカの学校?)
カーナ視点
シューシューシュー
バチバチバチバチバチッ
ドガアアーンッ
火花が散ってガスに火が引火した。
激しく燃え上がる炎。
そして遂には吹き飛ぶガソリンスタンド。
その爆発は一瞬だが町から暗闇を奪った。
そして浮かび上がる一人の人影。
その人物は規格外の体躯と、異様なまでのどす黒い雰囲気を纏っていた。
カツーンッカツーンッカツーンッカツーンッカツーンッ
「ヒヒヒッもう逃げられないよ〜。早く出ておいでぇ」
闇夜に響く不気味な足音。
白ひげの赤い上下を着た男は、静かな住宅街を血塗られたチェーンソーを持って歩いていた。
赤い上下の男は殺人鬼。
そして追われるはヒーローとヒロイン、二人は男から逃れ廃屋の階段下に隠れている。
二人は必死にここまで逃げてきたのだが、殺人鬼の超人的な力によりココに追い詰められてしまったのだった。
ついに始まる猟奇ホラー。
これから恐怖の24時間がはじまるーーーーーー
《《赤の24時間✹チェンソーマンはハイヒール》》
じゃじゃーんっ!
「ジョン、あのサンタは一体何なの?怖いわ」
「静かに。気配を消して息を潜めるんだ。さもないと見つかってしまう!」
「でもジョン。こんな騒ぎになってるのに、何で町の人達は誰も出て来ないの?」
「⋯⋯⋯いいかい、キャサリン。心静かに聞いてくれ。裏のヘンリー叔父さんが殺された」
「え?」
「殺したのはサンタの仮装したチェンソーマンだった⋯⋯⋯⋯」
カツーンッカツーンッカツーンッカツーンッカツーンッ
続く歩く足のシルエット。
何故か足元は女物の赤いハイヒール。
ソレがやがて二人の隠れる廃屋に向かう。
「そんな!じゃあ、伯母さんは!?」
「分からない」
「私達、これからどうなるの?」
「先ずは、この不思議な霧が晴れるまで隠れるんだ。あの遺跡の文字を解読しただろう?おそらく全ての始まりはあの遺跡だったんだ。遺跡を調べられればアイツの弱点が分かるかも」
「遺跡?そんなのどうでもいいわ!町が、皆の安否が先よ!私達も逃げないと」
「しっ!」
「?!」
ガタン、ギィッガタン、ギィッガタン
ハイヒールが廃屋の床を歩いてくる。
二人が居るのはその廃屋の2階の部屋だ。
果たして二人の運命は?
流れるメインテーマ音楽。
霧の中に沈む町。
暫し自然の森の中を進む画像は、平和的演出でとてもホラーとは思えない。
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
「きゃあああ〜?!!」
突然のヒロインの絶叫!
空回りするドアノブ。
そしてチェンソーマンのどアップは、見る者達を恐怖のドン底に落とし込む。
『『『見ーつけたーっ』』』
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「「「「「ぎゃあああー!!!」」」」」
(((((((((((きゃああああああー?!)))))))))))
ぐはぁ!
さすがにB級映画!
少ない資金力で撮影した割には、汚い映像と素人な演技力が地味に恐怖を作り出します。
めっちゃ怖い!怖い!怖いーっ!
お魚幼稚園の小魚達は、あまりの恐怖に巨大ゴンズイ玉となって乙姫ちゃんを囲みます。
いや、完全にパニック映画が上乗せになってるんだけど?!
「カーナたん、オルデアンが変なのじゃ!目を開けたまま微動だにしないのじゃ!」
「織姫ちゃん、オルデアンちゃんは気を失ってるんじゃないかしら?」
「グルちゃんも目を見開いたまま微動だにしないのじゃ!」
「織姫ちゃん、グルちゃんは気を失ってるんじゃないかしら?」
「乙姫ちゃんもお魚の群れに包まれて微動だにしないのじゃ!」
「織姫ちゃん、乙姫ちゃんは気を失ってるんじゃないかしら?」
「カーナたん、妾も下がぐしょぐしょなのじゃ!」
「織姫ちゃん、それはお漏らししちゃたんじゃないかしら?成る程、それで織姫ちゃんは気絶を免れたという事だったのね」
という事で大惨事です。
何が?
ああ乙姫ちゃんの海のDVD、これも手違いでホラーでした。
最悪です。
そしてその後、皆がトイレに行けずに見事にお漏らししたのは言うまでもありません。
はあぁああああー!?
「うむ、これで全部じゃな?」
「そうですね」
「ならばフタを閉めるのじゃ」
「その後,私がお札で封印します」
「うむ、宜しく頼むぞ」
当然ながら全員トラウマになり、サンタ衣装は玉手箱にお札で封印して亜空間収納しました。
お札は霊験高い氷川神社のお札を貼りました。
これでもう大丈夫でしょう。
これでもう大丈夫でしょう。(エコーです)
これでもう大丈夫でしょう。(エコーです)




