第202話 指定?してい?
◆ダンジョン温泉✹海底?
カーナ視点
ガラガラガラッ
「グワワ!」
海底(温泉?)を進むペリー馬車。
サンタクロース?なのにトナカイ役は馬車の中で、ペリカンが引く馬車って何者??
ま、いいか。
因みにペリー馬車はシャボン玉の中で走る意味あるんか、って思っていたら、ペリーが走る事でシャボン玉が回転して水中を進めるんだそうです。
おお、一応物理的意味合いがあったんですね。
非効率ですが、ちょっと納得です。
ちょっとね。
「ところで乙姫ちゃん、クリスマスって知ってたんだ?」
「クリスマス?何じゃソレは?」
「は?」
なんでしょうね?
何やら雲行きが怪しくなってきました。
だってコノ赤い上下はどう見てもサンタクロースです。
オマケにオルデアンちゃん、織姫ちゃんが仮装してるのは、ちゃんと角があるトナカイですよね?
あ、赤鼻が落ちた。
コロコロ。
オルデアンちゃんが必死に赤鼻を追いかけます。
追いついてパッとお鼻に付けました。
こっち見て愛想笑いが可愛いです。
そんで並んだ織姫ちゃんとのトナカイツインズ。
ん、こんなトナカイ、飼ってみたいですよね。
さて、脱線しましたが乙姫ちゃんの事です。
クリスマス知らない発言でしたが、それは私達に用意した慰問衣装と整合性が合いません。
これは確認が必要です。
「サンタクロース、この衣装がか?」
「え、それも知らずに用意したんですか」
「うむ、これは鯛女中頭が昔から慰問衣装として用意しておったものじゃ。これの方が慰問にてきしておると言っての」
「はあ」
確かにその衣装の意味を知る地域においては《慰問に適している》とは思いますが、ココはダンジョン内の温泉海底です。
果たしてお魚達に、そんな需要があるのでしょうか??
鯛女中頭いや、今は《メカ鯛女中頭》ですか。
彼女は何処からこのサンタクロース衣装を慰問に最適と判断したんでしょう?
「うむ、それについては思い当たる事があるの」
「思い当たる事?」
「うむ、前に妹から送られたDVDに海の事でないのが入っておったのじゃ。きっとそれを参考にしたのじゃろう」
「どんなDVDですか?」
「これじゃ!」
「コレは!??」
乙姫ちゃんが取り出したのは赤くパッケージされた映画のDVDでした。
これを参考にしたの???
「B級映画特集、赤いシリーズ?」
「うむ、他にもあるのじゃ!」
「ほうほう、他にもあると」
なるほど。
妹さん、もとい妹神さまはアメリカB級映画のファンか何かなんですかね?
神さまだから地球の情報をよく知っていらっしゃる?でいいのかな??
でも何でB級映画ファン???
しかも赤いシリーズって、山口梨恵シリーズみたいじゃない?(古いわ!)
とにかくレーベルをチェックしてみますか。
「どれどれ?」
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①赤のクリスマス慰問
②赤い海に沈む幼稚園
③13日の赤い男
④惨劇の夜✹血塗られた赤いサンタクロース
⑤海底街の赤い悪夢
⑥プレゼントは生首で
他、エトセトラ
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「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「どうじゃ、凄かろう?」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「お主、目をパチクリしてどうしたのじゃ?」
「はあぁあああああああああーっ!?????」
「な、何じゃ!?うるさいのう」
コレ、ホラーじゃん?!
完全にホラーシリーズじゃん!
しかも⑥って赤いシリーズですらないよね?
プレゼント、生首って言ってるじゃん!
これを見てサンタクロース慰問を考えたの?
何考えてんだ、あの《メカ鯛女中頭》!
「これ、乙姫ちゃんは中身は?」
「見ておらん。なんぞ鯛女中頭がR指定だから駄目とか言っておっての、見れんかったのじゃ」
「はあ、それは良かったです」
本来の年齢は知りませんが、乙姫ちゃんの見た目は織姫ちゃんとソックリな幼女です。
それがR指定ホラー映画見てたら絵面的にもアウトでした。
そこはメカ鯛女中頭さんの差配に拍手です。
「とにかく、これは危険なので私が回収しておきますね」
「危険なのか?せっかく上映会を開こうと持って来ておったのじゃが」
「は?いや駄目でしょ、幼稚園でホラー上映しちゃ!?」
「ほらーというのか?映画は楽しいものじゃから皆に見せればいいと言われたのじゃ」
「幼気な幼女にそんな事言った奴は誰なの?!」
「鯛女中頭じゃ」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
どうやらメカ鯛女中頭さんはポンコツなようです。
誰か彼女のメモリーを1TBにして下さい。
(現状ミニSDカード128G)




