第195話 事件です。
◆ダンジョン温泉✹竜宮城
カーナ視点
きゃあああ〜っ
「へ?」
((ま、厨房の方からよ?!))
私達が女中頭さんを待っていると突然、厨房の方から悲鳴が上がりました。
何事!?
しかも聞き覚えがある声なんですが???
「声?!」
「何の声じゃ?」
「悲鳴なのじゃ!?」
「おねえさま方、奥の方からです!」
ドタドタドタドタドタドタドタドタッ
三叉構えた魚人兵達が厨房の方に駆け込み、ヒーローショウを鑑賞していた幼女達にも緊張が走ります。
ヒーローショウをやっていたエキストラさん達も、悪役味方役問わず首を捻って成り行きを見ています。
残念ですがヒーローショウは中止ですね。
アクシデントというやつです。
そして私も気になるから鯛女中オバチャン達と厨房に急ぎます。
((ひぃ?!))
((何と酷い!))
((あんまりだ!!))
人だかり⋯⋯ではなく魚だかりが出来ていて魚達が口々に叫んでます。
魚さん達が邪魔で前に進めません。
依然として何が起きているかサッパリです。
「仕方ない、妖精ウイング!」
私は妖精ウイングを使い飛び立ちました。
魚達の頭越しにその先に向かいます。
そうして厨房の入り口を入ったところで、その現場を見てしまったのです。
パクパクパクパクパクパクッ
舟盛りです。
舟盛りに鯛の活き造りが出来てました。
春菊とか大根のけんが添えてあり、つまに人参の微塵切りがありました。
綺麗に盛られた舟盛りは素晴らしく、板さんの心意気がしっかり伝わる出来映えです。
しかもワサビは本物の本わさびでスリ板が添えて有り、醤油は生醤油ボトルの本格タイプ。
お刺身が本当に美味しそう。
「お前達、何事じゃ!」
スタスタスタッ
((乙姫さまだ!))
((乙姫さま!))
((乙姫さまよ!))
はい、ここで竜宮城の主、乙姫ちゃんの登場です。後には成り行きで付いてきたオルデアンちゃん達が続きます。
「こ、これは何とした事じゃ?!」
流石に乙姫ちゃん、鯛の舟盛りには引いてます。
オルデアンちゃん達も不思議な目で舟盛りを見ています。
そうですよね。
文化的にこの辺りは西洋です。
日本文化の生食に馴染みが無いのは当然でしょう。
「誰か、現場を見た者はおらんか?」
((第一発見者は料理長です))
「料理長は何処じゃ?」
((そういえば先ほどから姿が見えませんが?))
((厨房の裏口かも。よくタバコを吸いに行ってました))
「誰か呼んでまいれ。それからこの哀れな鯛は誰じゃ?」
((おそらく女中頭かと))
「え、女中頭?!」
厨房でホバリング中に思わず口走ってしまいました。一斉に私に目線が集中します。
いやんっ
「はあ、カーナだったか?それと客人達よ、アクシデントじゃ。暫しホールで待機しておれ。また状況が分かったら話に行くのじゃ」
こうして私達はホールに追いやられ、乙姫ちゃんと警備兵達の実況見分が続きます。
コレはつまり
「お魚さん殺人事件ですわ!」ワクワク
「そうじゃな!」ワクワク
「お刺身食べたかった⋯⋯」シュン
「おねえさま方、楽しそうです」
いやグルちゃん、私はガッカリだから。
じゃなく、あのキーパーソンだった女中頭が舟盛りになったのは全くの偶然でしょうか?
この女中頭殺人未遂事件、いろいろと裏があるのかも知れません。
え、何で殺人未遂かって?
だって活造りでご存命ですもん。
それから数時間後、なおも実況見分が続き乙姫ちゃんとは会えずじまい。
私達は個室に案内され、竜宮城で一泊する事になりました。
さっそく皆でオルデアンちゃんの部屋に集まりパジャマパーティです。
当然枕投げに発展して、いつの間にか消灯してました。
織姫ちゃん、枕投げ強えーっ!




