第193話 海族保管計画?
◆ダンジョン温泉✹竜宮城
カーナ視点
ガヤガヤガヤガヤ
「それで乙姫さま、ウィリアムさまとはキスはいつしたんです?」ワクワク
「子供は何人だったのじゃ?」ワクワク
「乙姫おねえさま、他の男の人とはお付き合いなかったんですか?」ワクワク
「お前達、本当にマセておるの?!」タジタジ
乙姫ちゃんと織姫ちゃん、二人の意外な関係が明らかになった事で、色々と今のガルシアの状況を知りたい乙姫ちゃんと、過去の話を聞きたい織姫ちゃんの間で話に花が咲いてます。
そこにオルデアンちゃん、グルちゃんが加わり何故か女子会に発展してました。
何で?
((カーナちゃん、聞いてよ。うちの旦那、酷いのよ。先日、会社の仕事で遅かった旦那が夕飯の用意し忘れたら怒ってきたの。事前に遅いって連絡くれたら外で食べてくると思うじゃない?私はアンタの召使いじゃ無いっての!))
((私の話も聞いて!この前、背広のクリーニング取り引きに遅れたら古い背広しか無いのはお前のせいだって旦那に言われてカチンときちゃった。そんなに背広が大事なら自分で取りにいけばいいのよ、失礼しちゃうわ))
((ちょっと聞いてよ。私の話は姑問題よ!旦那は大抵マザコンって本当よ!先日、私が姑に料理が美味しくないって泣かれたの。しかも私が姑イジメをしてるって旦那に言ったんだ、あの糞ババアが!そしたら旦那、何で言ったと思う?お前がもっと美味いもん出せばいいじゃんだと。おまけに仕事から帰ると必ず縁側の木馬に乗るのよ?殆ど《冬彦さん》じゃない。怖いわ!))
「あははは、怖いですねー⋯⋯⋯⋯⋯」
そんで私の回りには鯛や鯵の女中オバチャンが集まり、井戸端会議が始まってました。
何で?
「え、臨時パートなんですか?」
((そうよ、竜宮城なんてお客さん来るのが殆ど無いから皆臨時よ。普段は海底スーパーで働いてるわ。新鮮な陸野菜が流行りよ。今度寄ってね))
「あはは、分かりました。近くに来たら寄りますね。ん?殆どお客さんが来ない?」
((乙姫さま、いつも貝に籠もっていて出て来ないでしょ?出て来るのはムーバーかママゾンの品物が届いた時だけね))
「あーあ、普段はニートだから⋯⋯⋯⋯」
そうですか。
唯一のお仕事だった世界の半分管理権を妹神に譲渡したから普段はやる事もないんですね。
でも、それで海の支配者って言えるんですか?
しかし流石ムーバーとママゾン、こんなところにも宅配するんですね??
凄すぎです!!
((海の支配者なんてお飾りよ。だって実際の権限は無いし、苦情は執事のウミウシが妹神さまに苦情メールを送るくらいかしら。仕事が遅くて嫌んなっちゃう))
ウミウシが執事なら仕事はカタツムリ並みに遅いでしょう。
って、ウミウシが執事ってどうなんですか?
「それで肝心の妹神さまですけど、何処に住んでるんですかね?」
((えーと、ココよ))
「え?」
((このダンジョンの最下層にいるの。そこで世界を管理してるわ。私達は貝から外に出れないから、メールでしか接触は出来ないわ))
鯛女中、ダンジョンって言いました?
確かに言いましたよね?!
「妹神さまは、このダンジョンにいらっしゃる?」
((実は乙姫さまが目覚めたのはついこないだなのよ。元々お身体はコチラのダンジョンに保管されていたのだけど、人の一生を経験して元の神の肉体に戻るには《魂の休息期間》が必要なの。だからまだ目覚めて数ヶ月しか経ってないわ))
なんて事でしょう。
乙姫さまは箱入り娘ならぬ貝入れ女神でした。
世相に疎い訳です。
それならニートも納得です。
でも、この温泉のような海のような世界はダンジョンなのでしょうか?
その事について鯛女中は、ショックを受けるから乙姫さまに内緒でと断りを入れて次のように語りました。
((800年程前だったわ。乙姫さまが人としての一生を終了して百年後くらいかしら。妹神さまから通達があったの。『主神さまが世界から離れたので世界環境が激変する。だから竜宮城ごと海の世界の一部をダンジョン内に保管する』って言われたの。《海族保管計画》って言われたわ。乙姫さまが未だお目覚めではなかったから私達の祖先は従うしかなかった。それ以来、私達は本当の海を知らないのよ))
海の一部をダンジョン内に保管(海族保管計画)?
なら他の階層も世界の一部を保管したものなのかしら?
更に謎が謎を呼ぶこの不思議ダンジョンは分からない事だらけです。
でも一つだけ分かった事があります。
全ての謎を解く鍵はダンジョン最下層、裏BOSS妹神さまに会うしかないという事です。




